未来と向き合い平和について考える~大学生協の戦後70年特別企画~

Book Review #17


Peace Now!2015参加者
白梅学園大学
子ども学部子ども学科2年
吉田瑛美奈さん

へいわってすてきだね

著:安里有生/画:長谷川義史
出版社:ブロンズ新社

 私が戦争や核兵器について関心をもち、学習をしたり意見や自分の見たもの聞いたことを周囲に発信するようになったのは昨年からです。大学生協のpeace now!NAGASAKIに参加をしたのがきっかけでした。peace now!は私の人生のターニングポイントとなりました。それまで戦争から目を背けて来た私。怖い、辛い、見たくない、終戦記念日が近づくとテレビなどで放映される映画やドラマ、戦争体験が記録されている本や新聞から目を逸らし、平和や戦争について深く考えることも、恥ずかしながらしてきませんでした。しかし昨年、自分の足で長崎の地を踏みしめ、70年近くたっても鮮明に残る戦争の深い傷跡、人々が紡いできた想い、そして平和への強い願いや祈りを肌で感じ、学生として日本人として人として戦争や原爆の脅威を継承し平和な世界を作っていく責任が私にもあることを実感しました。
 今年は戦後70年が経ち被爆体験者の方の平均年齢も80歳を超えました。あの非人道的な戦争を実際に体験した方の話が聞けなくなることで、戦争の記憶が風化し再びあの惨事が繰り返されることは決してあってはなりません。資料館などで見てきたものは、実際に体験していないものにはどうしても想像がつかないほどの地獄絵図でした。これがたった70年前この日本にあった光景であると思うと本当に恐ろしくてたまりません。あまりに多くの人が亡くなり、家も食料も財産もすべてが焼き尽くされ、放射能に包まれた日本。戦争は人が人でなくなってしまう、人が人を殺すことがあたり前になってしまうそんな恐ろしいものです。戦争や原爆は人間らし行動をとる余裕を与えないのです。
 現代の日本は、内戦や紛争もなく、たくさんのものにあふれ、便利になり、豊かな経済大国となりました。そのせいか、私達の戦争に対する関心や平和のありがたさを感じる機会が非常に薄くなってきている気がします。家族に囲まれ、学校に通い勉強ができること、好きな人と一緒にいられること、夢を追いかけ叶えることができること、そんなことができるのは、戦争がなく、私達の命と暮らしが保証されているからではないでしょうか。この絵本に書かれている平和を感じる瞬間も、ひとつひとつが日頃見る光景なのです。安里くんが感じる平和それは、率直で素直な、当たり前だけどでもその当たり前に気づかなきゃいけない平和なのではないでしょうか。
 戦災の激しかった沖縄、広島、長崎は子どもの頃から平和学習がなされています。その地域から距離が離れれば離れるほど、意識や知識が薄くなっているのではないかと、peace now!で出会った全国の学生と話をして思いました。戦争は沖縄とアメリカがしていたのでも、広島とアメリカがしていたのでも、長崎とアメリカがしていたのでもありません。日本とアメリカが戦争をしていたのです。地域によって意識が違う、学んできたことが違うなどは、あってはいけないと私は思います。1人1人が過去と向き合い、平和な未来を作るために、考え行動していくことが大切なのではないでしょうか。この絵本を読み多くの子どもたちが戦争について学び、今ある平和を感じることができたら、それは日本の大きな財産になると思います。これからの世の中を支える若い世代が当事者の意識で戦争を捉え、平和に感謝し守っていくことが必要です。そんな意識の導入としても、また深く平和とは何かを考えた後でも、この絵本はとても読みやすく、自分の考えをさらに深めることができる絵本です。綺麗な沖縄の風景と、強く素直でとても優しい安里くんの詩。戦争の絵本というと衝撃的な絵の物も多いですが、「へいわってすてきだね」は私達の生活に身近な、そしてすごく大切な平和を教えてくれる心温まる絵本です。みなさんもぜひ読んでみてはいかがでしょうか。

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