大学生協をより理解するために

21世紀を生きる大学生協のビジョンとアクションプラン

21世紀を生きる大学生協のビジョンとアクションプラン

 全国大学生協連では、第50回総会で確認された「21世紀を生きる大学生協のビジョンとアクションプラン」のパンフレットを発行しました。

 グローバル化による日本社会の変質と大学の急激な改革の中で、向こう10年間を見据えた大学生協の運営が必要とされています。

 その状況の中で、この「ビジョンとアクションプラン」は、一つひとつの大学生協が自らの方向を定める格好の指針となっています。


大学改革と大学生協

全国大学生協連 庄司興吉前会長理事 著作

大学改革と大学生協
発売
丸善株式会社出版事業部

庄司興吉会長理事現、清泉女子大学教授 東京大学名誉教授
博士(社会学)
東京大生協理事(1999〜2003)を経て、全国大学生協連副会長理事(04〜05)、同会長理事(05〜14)

 全国大学生協連の庄司前会長は、大学生協がさまざまな困難に直面する度に大学人として、適切なアドバイスをし、そして今後の大学生協の進むべき方向性を示してきました。

 庄司前会長が連合会の会長理事に就任中、さまざまな機会に報告され、発言したものを記録に残してきましたが、それらを体系的にまとめて、今日の大学生協の現状、課題、今後の発展の道筋を明らかにしたものが本書です。

 特に、副会長時代から会長就任の翌年にかけて「21世紀を生きる大学生協のビジョンとアクションプラン」の策定の起草委員長として、この論議を先導してもらいました。このビジョン論議に会長として関わったことが、その後の会員生協や連合会の活動へのさまざまな形での発信に大きく影響しています。

 読者の皆さんに、本書の中で特にここだけは熟読していただきたいという部分があります。

 それは、第3章「ビジョンとアクションプランを創る」です。この章は、会長が理事長・専務理事セミナーで総会に提案する「ビジョン(案)」を理事長や専務理事に説明した時の、大変熱のこもった講演を収録したものです。「ビジョン」で示している内容がいかに大学生協の発展のために重要かを、非常にわかりやすく解説しています。読者の皆さんが今日の「大学生協のビジョンとアクションプラン」の背景や内容を充分に理解していただく上で、読んでいただければ幸いです。

 「ビジョンとアクションプラン」は、ICAの協同組合原則でもある「協同、協力、参加」に「自立」を加えたキーワードをもとに四つの使命、八つのビジョンで構成されています。この協同組合原則でいう「協同」「協力」に大学生協らしい意味付けを行い、かつ大学のなかにあることをふまえ、組織と経営の「自立」の重要性を指摘しています。こうしたビジョンは、まさしく今後の大学生協のあり方を徹底して論議する中で導き出されてきました。本書でこうした論議の核心部分を読み取っていただければと思います。

 会長は、社会学者の立場から長年「グローバル化」について研究されてきました。この研究の一つの成果として、日本の大学生協が国内にとどまらず世界的にも大変ユニークな存在であり、学生の成長と大学(高等教育)の発展に重要な役割を担っていることを明らかにしました。本書は、こうした大学生協の現状、課題、ビジョンに加えて、大学生協の活動の社会的な意味や価値についても学ぶ機会になるでしょう。

 ぜひ、多くの皆さんに、本書をご一読いただきたいと思います。また、学内においてより深く大学生協を理解してもらうために大学関係者の方々にも本書をお読みいただければ幸いです。
(編集部)