国際活動

大学生協がつくる 元気な大学生活、元気な協同社会

ICAアジア太平洋地域・ 大学/キャンパスコープ委員会ソウルワークショップ

7月4日~7日、韓国・ソウルにてICAアジア太平洋地域・大学/キャンパスコープ委員会 (委員会議長は全国大学生協連庄司興吉会長理事)およびワークショップが行われ さまざまな企画・討論・学習を通して、学生や職員が交流しました。 韓国大学生協連で初めて開催されるセミナーは、創意と工夫に富み、楽しく積極的な交流が進みました。

韓国の大学生協とは2000年より事業や連帯活動についての情報・経験の交流が行われるようになり、01年からは職員研修の受け入れや韓国スタディーツアー、学生理事の交流セミナーも開催されていました。

韓国では大学生協の数が2012年の1年間で1・5倍に増加し、新たに大学生協に関わる学生・職員が急増している状況です。そんな中でこの韓国・ソウルにて行われたICAアジア太平洋地域・大学/キャンパスコープ委員会ワークショップは、『大学生協がつくる元気な大学生活、元気な協同社会』をテーマに掲げ、「各国の大学生協・協同組合の状況や社会的背景、活動を学び合う」ことや、「参加国の文化や歴史背景、教育の実態などを交流する中から学び合う」ことを目標として、世界や社会情勢に目を向けることのできるグローバルな視点を身につけた学生を増やして大学生協の活動を盛り上げようとしています。

より意欲的な海外の大学生協

初日の歓迎交流会が行われた「文學の家」には、アジア8カ国からの参加者が集いました。日本、韓国、インド、インドネシア、フィリピン、シンガポール、タイ、スリランカ。

まず驚いたのが歓迎交流会の中での情報交換。どの国の参加者も他国の大学生協に非常に興味を持っており、あっという間に質問攻めにされます。どの国でも大学生協をより良いものにしていこうという想いは変わりません。特に目についたのは、学生の意識。同じ学生でありながら大学生協のためにできることを模索しているその姿は、日本で見るより意欲的なものでした。


アジア8カ国から95人、日本からは24人(学生18人)が参加

その姿勢は宿泊するユースホステルについても変わらず、同じ部屋で宿泊する韓国の学生に日本の大学生協・生協学生委員会について根掘り葉掘り質問されました。そうして話していく中で、日本の大学生協・生協学生委員会の特性が浮き彫りになるように感じられました。普段、他ブロック・他大学のことは気にかけても他国の大学生協のことを気にかけるような機会は設けられていません。こうして他国の大学生協の話を本人の実体験を踏まえて直接聞くことができるのは、このワークショップの醍醐味とも言えます。

 

意見が異なるから深い話し合いができる


初日の歓迎交流会 
ここでも活発な意見交換で論議が深まります

二日目の開会式を終えて本格的にワークショップが始まります。開会式後にはキョンヒ大学の食堂で昼食を終えてキョンヒ大学生協訪問へ。その後国民大学生協を訪問し、二日目終了。三日目は東国大学で、「健全な大学生活・健全な協同社会を作るための大学生協の役割」というテーマに基づいたグループ討論。その後韓国の地域協同組合の視察。  

大学生協訪問では当地の大学生協の工夫や、日本の大学生協との比較によって生まれる新しい視点を考える機会が存分にありました。ショップの商品の陳列や食堂の仕組み。この生協訪問を通して、日本では当たり前だと感じているものを当たり前だと感じないようになったと思います。勿論、国・体制・規模によって違いが生じるのは当然ですが、その中でもただ享受するだけにならない姿勢は必要なのではないでしょうか。

グループ討論では各国の参加者が思う存分意見を述べていました。この討論は国による違いは関係なく、全員が目指すべきテーマに沿って各々が真剣に考えることのできるものでした。自分の国の大学生協の情報を基に意見を交わし合う様子は、協同の名にふさわしいものだと感じました。「自分たちにとって必要、だから自分たちでつくる」という考え方を形にする地域生協の訪問も刺激的でした。納得できるまで話し合う、意見が異なるから深い話し合いができるという考え方には共感しました。欲しいものがあれば、したいことがあれば、みんなで話し合って作っていけばいいという、生協らしい生協がそこにはありました。

活動に誇りを持ちより活発に展開を


夕食交流会で韓国料理実習。
チヂミやトッポキを作りました

 ICAアジア太平洋地域・大学/キャンパスコープ委員会ワークショップに参加して見えたもの、それは本当に多くありますが、一つに学生の力の強さを感じました。そもそもこのワークショップを中心に作り上げていったのは韓国の大学生協の学生です。その姿を見ていると、日本の学生も負けていられない。さらにより良い生活を作っていくことができると思います。  

アジアの中でも日本の生協学生委員会の活動は誇れるものです。学生委員が自分たちの活動に誇りを持って、そしてより良い活動を展開していくことが、大学生協の強みであると実感しました。日本からの参加者は総勢24人。各々がこの体験を広げていくこと、そして各々が自ら行動していくことが期待されます。

(中国・四国ブロック事務局 芥川翔一郎)

『Campus Life vol.37』より転載