1855 年に創立された、ミシガン州イーストランシング市にある総合州立大学です。公立の大学でアイヴィ ー・リーグ大学レベルの教育を受けられる、いわゆるパブリック・アイビー(Public Ivy)の一つである。
ミシガン州内出身の学生が9割以上を占めます。現在は 12 のカレッジから構成され、150 以上の専攻分野を持つ大規模大学。
人気の専攻分野は会計学、ビジネス、心理学など。全米最大規模の寮設備を備えているものの、寮生活をしている学生は5割に満たない。バスが巡回するほどの広大なキャンパスで、授業と授業の間の時間を 20分設け、学生が遅刻しないよう配慮しています。スポーツは全米大学ビッグ 10 に入るほど盛んで、学生サークルが 350 を数えるなど、課外活動の機会も多いです。
また、大学の中に火力発電所や警察機構、博物館、美術館、プラネタリウム、大劇場、野外劇場、そしてホテルを持ち、授業内容と同様に教育施設も充実した学校です。
学生 約 46,000 人、学費年間 34,000 ドル 寮費&食費 9,000 ドル、入寮率約 41%
イーストランシング市は、大都市シカゴとデトロイトの中間に位置する自然豊かな町です。 イーストランシング市には日本食レストランの他にも、メキシコ料理やインド料理、中華料理や韓国料理など様々なレストランやバーがある他、近くには大型ショッピングモールやウォルマートなどのスーパーマーケットやエンターテイメント施設が数多く存在します。
ごみの削減の取り組みに力を入れており、下膳口の水は循環し繰返し利用されており、ごみは小なく圧縮され、コンポストは学内の農場で肥料として使われます。また、大学の中にリサイクルセンターがあります。
1学期に1回どれくらいの量のごみがリサイクルされているか監視しています。また、授業で学生に環境やゴミについての話をすることで、食べ残し量が半減してきています。(1人4オンス×35,000 食=約4tが半減)
住宅とホスピタリティサービス組織は、約 800 名フルタイムと約 600 名のパートと、年間で約 3,300 名の学生を採用し、国内最大の卖一キャンパス寮システム、フルサービスの店、受賞歴のあるホテルやレストラン、ゴルフコース等キャンパスのあらゆるサービスの運営と維持をしています。
この組織の中の戦略的な 6 部門のうちの一つである「料理•サービス事業部」は副学長に管轄され、住宅
(寮)のダイニング、学内のダイニング、ホテル、コーヒ ーショップ、コンビニエンスストア、レストランや MSU ベイカーズ含むすべてのキャンパスのダイニング機能を担っています。そして料理の卓越性、持続可能な食の実践、そして健全な経営、そしてキャンパス•コミュニテ ィのための卓越した食の体験を提供することを目標としています。
・ 寮生全員がミールプランに申し込む必要があります。
・ 半期ごとの更新になっています。
・ 寮外生は「使い放題のミールプランの購入」「ダイニング利用券のパッケージの購入」「ミールプラン以外の都度支払」を選ぶことができます。
ミールプランに加入すると、毎日(週7日)無制限で利用可能。食堂以外でも売店でも利用可能な商品
(利用には多尐の制限あり)が準備されています。
■(参考資料)ミールプランの一覧表
プラン名 | 販売価格 | プラン内容 |
DineOn Platinum. | $2,885 半期ごと ($2,585+$300) |
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DineOn Gold. | $2,735 半期ごと ($2,585+$150) |
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DineOn Silver. | $2,585 半期ごと |
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BRODY HALL の入っている建物
・学内には5つの食堂があり、その中で1番大きな食堂で大学直営です。
・ 営業時間:7:00~24:00 年中無休
・ 1 日利用者:平均 5,000~5,500 人 新学期は 8,000人を超えることもあります。朝食が 800~900 人、昼食が 1,400~1,500 人、夕食が 1,800~2,000 人、アイドルタイムに 1,000~1,500 人が利用します。
・ 席数は推定 1,000 席ほどです。
・ 年間利用高 83 億円 (学内全体で)
・ ミールホルダーは約 15,000 名(学内全体で)です。
集中調理をする厨房の調理機器
・ Leading with Food がコンセプト。ハウジングとミックスで「食体験を拡大する」「食に対する関心を高める」「外で食べるよりもおいしいと感じてもらう」その為にコ ーナー毎のコンセプトをはっきりさせています。
・ 入口で入店のチェックを受けると、あとは食べ放題になります。トレーがあり日本の大学生協を利用しているような感じもします。
・ オーダーコーナーもあり、注文すればその場で作ってくれます。
・ コーナーごとに分かれていますが、野菜のカットや翌日の仕込み等は、集中的なキッチンで行なわれており、カウンターで調理していると言っても1から作っているわけではなく、ある程度加工された状態でスタ ンバイされているのです。
・ 集中調理する大きな厨房には、スチームコンべクション をはじめとする調理機器が並んでいます。
・ 各コーナーが独立した作りになっているので、入店したら好きなコーナーに並び注文ができます。
以下各コーナーのコンセプトとメニュー内容
1(home style ホームスタイル
・ アメリカの家庭料理の再現。メニューは 2 種類出しています。チキン丸焼き、ターキー料理。夜の定番になっています。
VegeOut コーナーの外観
2(VegeOut べジアウト
・ ベジタリアンとビーガンメニュー。動物由来不使用。地元食材を使用(ローカルマーケティングにこだわり)地元性にこだわることで「新鮮」「安心」を演出しています。
・ 学内で栽培されたハーブ、学内野菜を使用しています。サラダ 4 種(完成品)、ベジ用スープ 1SKU、メ インディッシュ 4SKU、ベジサンド、フルーツなどです。
Dolce コーナーのショーケース
3(dolce ドルチェ
とても人気のあるデザートコーナーです。二つのMSU のアイス、14 種のミシガン州のアイス。
4(CIAO チャオ
・ ピザ、サンド。レイトナイト対応(ピザ、サンドウィッチ が中心)
5(CAYENNES カイエンズ
ローカルフード(西部料理、メキシカン)トルティーアを店舗で製造、当日仕込みです。
6(Pangea パンゲア
・ 多国籍料理。朝は朝食コーナーとして活用。Made to order のコーナーとして運営されています。
・ 朝食はオーダー制のオムレツ(具は 7 種類ぐらい。ベーコン、オニオン、法連草、チーズなど)。昼食・夕食ではオーダー制のどんぶり。混雑時は15分待つこともあるが利用者は多いです(概ね全利用者の 30~40%が利用)。
・ 昼と夜の組み合わせは 4 週間のサイクルで展開しています。
6 つのフライパンを駆使して調理
具材は7種類程度
7(Boiling Point ボイリング ポイント
・ 生パスタを作る機械が設置されています。
・ 具(例:ベーコン、ほうれん草、ガーリックなど)を選んで調理してくれます。生パスタからのゆで時間は 3 分、次の日に調理すると 7 分ぐらいです。
・ 調理時間を待てない人向けに作り置きもあります。
人気のカリフォルニアロール
8(S2 (salad+sushi)エスツー
・ サラダバーと寿司を提供。週に何回か天ぷらを出してとても人気があります。巻きずし(カリフォルニ
アロール)が中心です。
9(BRIMS TONE GRILL ブリームストーン グリル
ハンバーガー等。9 品提供(基本的にオーダーコーナーだが作り置きも併設)
10(KOSHER CUISINE コーシャ キュイジーヌ
カシュルート(ユダヤ教の食のタブー)の規則に従い調理から提供まで別業者。
一日の利用者数は30名程度。政治的な課題として取り組まざるを得ないそうです。
日曜〜木曜の夜だけの提供です。
LANDON HALL の入っている建物
・ 営業時間:7:00~20:00
・ 1 日利用者:平均 3,000 人
「静寂」の区分の席
・ コンセプト:シズル感、Global taste
・ 大学の歴史的建物の1階部分にホールがあります。
・ ストーブ付近は熱がこもりやすく温度が熱くなりがちですが、ストーブの壁には水が流れており輻射熱の拡散を抑制する効果がある作りになっています。
・ 席数は 160 席ほどでしたが、350 席ぐらいに増やしました。木造基調を重視した内装で席を「うるさめ」「ほどほど」「静寂」の 3 段階に区分 ホールが細長いので、厨房近くはうるさく、遠いと静かになります。
・ セルフで取れるコーナーや、ラビオリ、ハンバーガーなどトゥーオーダーで提供する窓口もあります。
・ BRIMSTONE GRILL ブリームストーン グリル朝食、ワッフルの提供を行なっています。
・ 営業時間:7:00~21:00
・ 1 日利用者:平均 5,000 名 朝食 1,000 名、昼食2,000 名、夕食 2000 名が利用しています。
・ 席数 670 席
・ できるだけ、カウンター側で製造工程を可視化する為に、裏の厨房では最低限の加工だけをして、仕上げをホール内の厨房で行っています。作るところをパフォーマンスとして見せています。スタッフの配置は裏:ホールで3:7の割合です。
・ USDN 規格食材(日本でいう JAS 規格のようなもの) を採用し、Student organic farm で収穫された野菜を使用しています。
・ 学内の C-STORE(売店)で販売する焼きたてのピザなどの調理も行なっています。
Greatlakes Plate コーナー
・ 寿司で生ものは出していません。一度加熱されたものだけ、例えばスモークサーモンとかを使用しています。
・ BRODY HALL と同様な業態がいくつかあります。
・ このホールだけのコーナーは次のものです。
1(Greatlakes plate
五大湖食材などを使用したコーナーの提供が 75%を占める。地元食材を中心に、オハイオ州の羊、五大湖の魚を使用し、付加価値を演出しています。
2(BLISS
手巻きクレープを製造しています。
・ 営業時間:7:00~20:00 (昼食 3,000 名)。朝食7:00~11:00、昼食 11:00~14:00ア イドル 14:00~17:00、夕食 17:00~20:00
・ 1 日利用者:約 5,000 名
・ 席数席 820 席 (リビングルーム込)
・ 環境評価の高いダイニング設計となっています。
・ 食堂が3つのテーマ設定になっています。
1(ガーデンウォーク・・・ベジタリアン系
2(メインストリート・・・チキン、ダイナー系
※ダイナーとは気取らない、カウンターがあるような雰囲気のお店の事
3(デリコーナー・・・・・サンドイッチ、朝食コーナー
トレーはなく、一皿に料理をのせるスタイルです。
・ ローストビーフをお客の目の前で切り分けるなどのパフ ォーマンスが売りの食堂です。
・ 他のメニューは同じキャンパスの食堂で出ているメニ ューとあまり変わりないです。
・ サンドやサラダは 14 時~17 時とか、別のコーナーは一旦お昼が終わったら閉めて、17 時に再開するなど窓口をフレキシブルに使っています。
・ 留学生が 2,500 人、うち中国からの留学生が 1,200人と半数ぐらいを占めるので、それにあわせた味付けなどの工夫もしています。
C-STORE は3つの業態に分かれています。
1(Cafe(コンビニ+エスプレッソマシンコーヒー+ホットフード)
2(Refresh(コンビニ+エスプレッソマシンコーヒー)
3(EXPRESS(コンビニ+セルフコーヒー)
ミールプランでも 1 日 1 回メニュー限定で利用することが出来ます。
C-STORE カウンター ピザを販売
ドーナツを販売。テイクアウトフードが充実
・ 利用者のニーズを非常に重要視しています。
・ アンケートでは3つのミッションを掲げています。
1(学生たちのニーズや要求をつかむ。
2(要求にこたえる。
3(真剣に取り組んで成果を学生達に知ってもらう。
・ 2 年前から月に一回のペースで学生にアンケートを取っています(年 1 回の頻度では足りないと判断)。
・ アンケートは簡単な質問ものが中心だが、突っ込んで聞いてみたい項目を 1 つ混ぜています(以前のアン ケートで気になった項目の掘り下げとか)。
・ 対象者は全学年から多小バランスをとり、同一人物が複数回にならないようにランダムに抽出しています。
・ メールを送信してのオンラインでのアンケート。
・ 質問項目に5段階で答える方式が中心(すごく良い、良い、どちらでもない、悪い、すごく悪い)です。
・ 質問項目は味・新鮮さ・見た目・スピード・接客・席数について等です。
・ アンケート結果をすぐにチームで分析し、改善に取り組み、その結果をきちんと宣伝することで、アンケートも集まり、アンケート結果も良くなっています。
・ また、結果は全店舗横並びで分析したりして改善策を考えています。
・ 学生に重要な項目を聞いた結果は、味→新鮮さ→ 見た目の順番です。
・ アンケートは 3,750 通送り、700~1,000 通ぐらい回答があり、小ない時だと 350 通の返信です。
・ アンケートにはインセンティブをつけており、25 人に10ドルがプレゼントされます。
組織体制をしっかりと築いています。
co-operative シェフは総料理長であり、各店舗のメニ ュー開発のマネジメントも担当。リクルートやシェフの 昇格も担当しています。
exective シェフは各店舗の料理責任者であり、各店 舗の食材、メニュー編成などを担当しています。
Sousシェフは店舗及び各ラインのリーダー的存在です。
lineシェフは提供ライン等での仕上げなどを担当しています。
・ 大学のダイニングサービスは変化し、シェフが行うパフォーマンスの場面が増え魅力が増しおり、ホテル業界で働いているシェフ達から人気の転職先とな っています。 その為、募集すると比較的に多くの応募があり、選考に困っていません(とくに州立大学の職員となるため、年金などの福利厚生もいいということらしい)。 一方で内部昇格も増えています。
学生アルバイトを多く採用しています。教育訓練では 衛生関連やポリシーなどは Web トレーニングを導入しています。
利用券パック | 1回あたり利用額 | プラン販売価格 | プランの販売合計 | 総収入 | 販売した利用回数 |
175Pack | $6.75 | $1,181 | 1518 | $1,792,758 | 265,650 |
125Pack | $7.75 | $969 | 390 | $377,910 | 48,750 |
100Pack | $8.25 | $825 | 1,333 | $1,099,725 | 133,300 |
70Pack(2013年に終了) | $8.00 | $560 | 25 | $14,000 | 1,750 |
50Pack | $8.75 | $438 | 1,312 | $574,656 | 65,600 |
40Pack(2013年に終了) | $8.50 | $340 | 25 | $8,500 | 1,000 |
25Pack | $9.25 | $231 | 912 | $210,672 | 22,800 |
10Pack(2013年に終了) | $8.75 | $87.50 | 49 | $4,288 | 490 |
教職員用10Pack | $5.99 | $59.99 | 12,647 | $758,694 | 126,470 |
18,211 | $4,841,202 | 665,810 |
使い放題プラン | マネー抜き販売価格 | プランの販売合計 | 総収入 |
プラチナ(電子マネー$300込) | $2,585 | 12 | $31,020 |
ゴールド(電子マネー$150込) | $2,585 | 9 | $23,265 |
シルバー | $2,585 | 46 | $118,910 |
合計 | 67 | $173,195 |
朝食 | $5.99 |
昼・夕食 | $9.49 |
昼・夕食: | $4.99 |
・ ミールプランに対しては「高い」という声に対して「より充実した食事の提供」「施設をリニ ューアルすること」で答えています。
・ 施設がより豊かになり、食事の環境が良くなることで寮外生の利用を増やしていくことができている結果、右のグラフのように毎年20%伸長を果たしていることになっています。
収入内容 | 収入額 (卖位$) | 割合 |
ミールプラン収入 | 76,965,712 | 83.50% |
小売事業(C-STORE) | 7,503,321 | 8.10% |
スタジアムSHOP等 | 3,064,557 | 3.30% |
サマーセッション会議等 | 2,261,035 | 2.50% |
ミールプラン以外の食堂利用 | 1,926,414 | 2.10% |
フードコートの賃料 | 279,395 | 0.30% |
ケータリングや会議室などの貸し出し | 127,663 | 0.10% |
合計 | 92,128,097 |
・ ほとんどの収入がミールプランとなっています。ミールプラン以外の食事利用者は 2.1%しかいません。
・ 小売の規模も小さく、ケータリング事業は思っていたより規模が小さい。
内容 | 割合 |
フードコストや商品仕入れ(原価) | 32.1% |
人件費 | 27.8% |
保険や福利厚生等 | 6.3% |
大学などへの間接経費 | 5.8% |
公益費(水道代など) | 5.4% |
その他費用 | 3.3% |
事務用品 | 3.2% |
クリーニング費用 | 1.2% |
利益(NET) | 15.4% |
・ 利益率 15%といことは$13,800,000(13.8 億円)の経常利益ということになります。Brody HALL が総工費 48 億円という事なので、3 年で利益回収していることになります。
・ 労働分配率は 40.9%。
・ 食材原価率は 32%となり、日本の大学生協とはかなり違う、この数値はチェーンレストランの数値に近いです。
・ 総利用数が 5,932,000 名となっています。(食堂トータルの客数)
・一食当たりの食材原価額では店舗ごとに若干の違いがありますが、$3.117~$3.738 となっています。