スリラム商科大学で開催されたセミナーに参加しました。アジア太平洋地域における協同組合事業と若者の起業機会について考えるセミナーです。ICEI(ICAアジア太平洋地域・教育機関協同組合委員会)やNCUI(インド全国協同組合連合会)の方からのご挨拶、基調講演、日本・フィリピン・マレーシア・ネパールから各国の協同組合事業や若者の参加の成果と課題についての報告が行われました。
日本からは、大学生協での学生委員会の取り組み(店舗での取り組みや、健康安全、友達づくりの取り組みなど)と大学生協の課題と展望について報告しました。
若者が多いにも関わらず雇用の機会が不足しているインドでは、Cooperative Businessの考え方がとても重要視されています。若者は、協力して、ニーズのあるところに事業を創り出すことを期待されています。これからのインドを支えていく学生さんたちにとって、日本の大学生協での「学生が積極的に参加している様子」はとても刺激的だったようです。
交流の時間では「学生の生活が多様化する中で、どのようにニーズを捉えるのか」「キャンパスの中に生協をつくるにはどのような手順を踏めばいいのか」などの質問が寄せられました!
インドのバンガロールにあるチャーナキヤ大学で日本の大学生協についてのプレゼンを行いました。チャーナキヤ大学は大学自体が設立して1年もたっていない新しい大学で、大学生協の設立を目指しています。学生もまだ1期生の100人ほどで少ないですが、その生徒が大学生協を主体的に作っていくメンバーとなることが期待されてこのプログラムが組まれました。
プレゼンの内容としては、まず、日本の大学生協が行っている事業や活動についてやコロナ禍における日本の大学生協の状況について、そして今後の日本の大学生協が取り組んでいくことについて説明をしました。
次に日本の大学生協学生委員会の取り組みについてと今後の展望について紹介しました。健康安全の取り組みや友達づくりの取り組みなどを紹介し、日本の大学生協は学生が主体的に運営参加をしていることを伝えました。
最後にチャーナキヤ大学でも大学生協が設立を目指しているということで実際に日本の大学生協設立の事例を発表し、その中で学生がどのような役割を果たしたかということを説明しました。
発表を通して、日本とインドでは全く大学生を取り巻く環境や文化が違いますが、大学生協という協同組合は学生自身が主体的に運営参加をすることで作られるものであり、大学生協と関わることで協同組合の仕組みや大事にしている考え方を学んでいくことができるものだということを伝えられました。
ニッテミーナクシー工業大学を見学しました。
見学の前に大学の方からニッテ大の概要やニッテ大の生協についてご説明いただきました。
ニッテ大にはCredit/Stationary/Jan aushadhi(薬局関係)の3つの協同事業があります。
特に学生が関わっているのがStationary分野です。キャンパス内にお店があり、文房具や生活用品を扱っています。ニッテ大の学生さんは「コープの自分たちの声が反映されるところが好き」と報告しており、世界共通の生協の魅力を実感することができました。
角田 咲桜
2022年度
全国学生委員長
「協同組合での教育が人の成長・国の発展に貢献できる!」ということを強く感じ、「大学生の約半数が加入する大学生協が、日本の協同組合を盛り上げていくのだ!」ということを決意した6日間の出張でした。貴重な場に同行させていただいたこと感謝いたします。
インドでは、若者人口の多さに対する雇用機会の不足などの国の課題が背景にあり、協同組合の思考が強く求められています。また、根深く残るカースト制度が背景にあり、組合員1人1人が平等である協同組合の考え方も重要視されていると感じました。協同組合の思考と起業精神が結び付き、国からも手厚いサポートがあるというのはとても新鮮でしたが、まさに本質をついていると思いました。
第66回総会第1号議案第2章では、経済産業省が出している「未来人材ビジョン」をもとに、「2030年及び2050年には「問題発見力」、「的確な予測」、「革新性」が仕事に必要な能力として一層求められると考えられています。そのため、社会課題に向き合い探求学習を始められる環境整備や、自分の属する環境を改善し続ける力を身に着けることが大切になります。組合員の参加と協同で、組合員自身の生活向上を目指す大学生協は、大学生がこれから求められる力を学習・経験できる場としての役割を担うことができます。」とまとめました。このことを国と考え、協同組合を本気で学習・経験の場にしようとしているのが今のインドだと思います。
インドと国の現状や背景は異なりますが、日本でも協同組合で参加・参画するという経験は、その後の人生に活かされます。
日本では大学生協の存在が“当たり前”になってきていたり、昔に比べると生活が豊かになってきており、「大学生協の取り組みに参加して、運営に参画して生活が良くなった!」という実感が持ちにくくなっています。しかし、だからこそ、何事も組合員の声を出発点(ど真ん中!)に、何事も組合員とともに成し遂げることを大切に取り組み、大学生協で学生が学習・経験し成長できる場としての役割を担いたいです。
組合員が組合員とともに造ってきた歴史、学生が参加・参画できるフィールド、事業活動として取り組める環境がある日本の大学生協ならできる!と確信しています。
日本の大学生協でも「組合員のよりよい生活」を目指し、卒業後も「主体的に生きる人」を輩出しようとしています。その精神に加え、私は「大学生協が“協同組合”を学ぶ場になる。学生1人の人生を変える。」と思いながら、これからも大学生協で頑張っていきたいと思います。
林 優樹
2022年度
全国副学生委員長
これからも協同組合人として頑張っていきたいと強く決意をしたインド出張となりました。このような貴重な機会に出席させていただいたことに感謝しているとともに、これからも世界の協同組合との交流を通じて日本の大学生協のアイデンティティを深めていってほしいと感じました。個人的には生協設立の話をここですることになったのは何かの縁だと感じ、これからも自分の中の軸としておきたいことだと再認識しました!
日本の大学生協は60年以上も繋いできた歴史から、学生が運営に参加しやすい体制、全く規模の違う大学同士でも事業的にもそこから作られる活動的にも連帯ができる仕組みが整っているということが世界に誇れるアイデンティティであることが分かりました。これからも組合員の積極的な運営参加について、連帯で学びあい励ましあいながら深めていければと思いました。
また、インドは大学に進学する人が割合としては少ない、学生はほとんど実家暮らしである、アルバイトをしていないなど、学生の状況も全く日本と違いました。日本の大学生協は、大学や地域に深く根ざしながら、学生の生活をサポートしていくことができる組織だと思いましたし、そこを改めて追及していけるといいなと感じました。
これまで私は株式会社の仕組みと協同組合の仕組みを対比して考え、協同組合は何かをみんなの力で成し遂げることを目的とした組織という風な理解をしていました。ですが、インドではそうではなく、協同組合の原則、仕組み、そして大切にしている考え方を持ってビジネスチャンスを作っていく、起業に繋げていくという発想であることに驚いたとともに、改めて協同組合の重要性を考えさせられる機会になりました。
大学生協は社会に出る一歩手前の教育機関として、そして大学生活をフィールドとして自分たちで声をあげ、作り、育て、運営をしていくという成功体験のできる小さな社会である協同組合の1つとして、協同組合の成り立ちや原則、仕組みから考えられる協同することの大切さを組合員である学生と考えていきたいと感じました!
中森 一朗
全国大学生協連
専務理事
※おまけ:今回の出張でも日本からのお土産をたくさん持参したのですが、とりわけ大学生にヒットしたのが「タヌローワッペン」でした!もしみなさんがこれからインドに行かれて「タヌローワッペン」を見かけたら、それは私たちが持参したものだと思いますよ!