新入生を迎える活動と事業

ミッションを共有し、学生と職員の協働で進めた新入生の立場での新学期活動

広島大学生協では、新入生サポートセンターへの来場者数が昨年を36%も上回り、自宅生説明会にも138組の参加がありました。

新入生のための住まい紹介とサポートセンターを、学生リーダーを中心に学生と職員が一丸となって進めました。広島大学生協の2011年の新入生サポート活動を紹介します。

ピアサポート(学生目線)で「伝える」

受験生&新入生Web サイト2011
広島大学生協・新入生サポートセンター

最初に、広島大学生協の今年の新入生を迎える方針について教えてください。

今年の方針は、「新入生や保護者の方に必要な時期に必要な情報を伝えきる」ということです。それを、学生自身が直接伝える、"ピアサポート"で進めました。

大きく分けて「住まい」と「新入生サポートセンター(以下、新サポ)」が2本柱になります。新学期事業には、方針とその結果としての数値目標があります。そこに向けて、住まいや新サポの学生を中心に、職員も一緒になって進めました。学生リーダーを中心に学生サポーターが運営するという形です。

数値目標を達成するには、職員だけが考えても無理があります。学生サポーターが思いっきり動ける環境をつくっていき、活躍してもらう。彼らの活躍が実際の数値という形で結果を出していくということを常々話してきました。新サポリーダーのメンバーは見事にそれを理解してサポーターを引っ張ってくれました。

こだわったのは、なぜ数値目標を揚げるのか、なぜ卒業迄のサポートをするのか、そして究極的にはサポートを受けられる学生を増やしていくことが到達点だという理念の部分の共有です。この部分で共感できれば自信を持って彼らと話ができます。

学生が提案するという試みは数年前から取り組んでいましたが、今年はあらためて、学生・職員の協働に挑戦しました。

それぞれの学生が得意分野で活躍できたという印象です。プレゼンのプロ、カタログづくりのプロ、パソコン選定や提案にすごい情熱を持ったサポーターがいたり。その結果が利用の数字に出たのだと思います。

受験生&新入生Web サイト2011
広島大学生協
吉山功一専務理事

住まいはどんな様子でしたか。

昨年までの経験者の学生に教わりながら進めたような感じです。

住まいは約1700室を確保していますが、すべてが新入生の希望を完全に満たすというわけにはいきません。その調整は最前線の学生にとって難しいものだったと思います。

新入生の住まいに対する要望はたくさんあるのですが、条件を変更してもらいながら、相手の身になって考え、少しでもいいところを紹介するようにしています。

新サポの学生がイノベーションの経験を積み重ねてきているのと同様、住まいのサポーターも経験を積み重ねています。その経験を生かせる2年目からは特に輝いています。

受験生&新入生Web サイト2011
広島大学生協・新入生サポートセンター

今年は「伝える」を重視されたようですが、サポーターにはどういう形で伝わっていたのでしょうか。
例えばパソコン1千台という数値目標にこだわることがなぜみんなの共感になったのでしょう?

数値に対する共感は「新入生の笑顔のために」という考え方に依ります。生協のサポートは新入生の笑顔のためにあり、笑顔を増やすことがサポーターの共通認識でした。例えばパソコンに関しては、学生の使い方は社会人よりも荒く、学生の修理件数が多いことを認識してもらい、また自分も故障で困った経験を持つ学生です。4年間保障は大学生協だからできることで、学生生活を送るうえでメリットが大きく、できる限り多くの新入生に利用してもらいたい、だから伝える工夫をする、という思考の流れが確立されました。

そして、「目標達成したらすごい!」と思えることも大きな要因です。

自宅生説明会を見学しましたが、職員と学生の間に信頼関係があるようですね。

ミッションを掲げて達成するために、常に学生の力が必要で、学生との信頼関係づくりは重要な課題です。会話、メール、ツイッター、スカイプ等、コミュニケーションツールはなんでも使います。

今年は学生と職員ではなく、一つのプロジェクトチームになっていたのではないでしょうか。

また、今年は一つひとつのパンフレットやプレゼンなどの質が向上した年です。サポーターのデザインへのこだわり、何より「伝える」ことへのこだわりの現れです。サポーターのやりたい形を職員がくみ取り、その都度適切なアドバイスをするためにも、同じフィールドで働くということが活かされました。共通の認識、目標を持っているから、アドバイスができるし、それを受け入れることが出来ます。

また、職員の考えを理解してもらえるよう、できる限り会議の場にも同席させました。お互いに言いたいことを言える、受け取り合うことにつながり、本当に一緒にやっている感覚を持っています。

学生は総勢でどのくらい関わっているのですか。

新サポは総勢45人、 住まいは100人弱、家具の組み立ては40人です。家具の組み立てや、パソコンもインターネットにつながるまでサポートするなど大変だったけれど、そのサポートがなかったら新入生はもっと苦労したということですね。

合格前の住まい紹介も、保護者アンケートなどで要望が寄せられていたことです。一つひとつのとりくみも大事ですが、今年は広島大学生協全体のサポートを見て知ってもらって信頼が高まったのだと思います。

保護者アンケートの書き込みは、思ったより評価が高かったです。評価の実態を知った上で新学期を組み立てることが大切です。

(編集部)

※この記事は、座談会で行われたものをインタビュー形式に編集部で構成しました。

ざ★ポイント

  • 学生目線で「伝える」
  • 得意分野で刺激し合う関係
  • 具体的な数値で目標を設定

『Campus Life vol.28』(2011年9月号)より転載