進学の動機や就職活動に見る
大学院生活における文理の差

第8回全国院生生活実態調査より

【調査概要】

調査方法 Web調査
調査実施時期 2013年10月17日~ 11月8日
調査対象 全国の国公立および私立大学に在籍する修士課程(博士課程前期)・博士課程(博士課程後期)専門職学位課程の大学院生
回答数 4,114(全国21の大学および研究機関)

全国大学生協連では、大学院生を対象とした「大学院生の生活実態調査」を3年に1度実施しています。
8回目にあたる2013年は21生協で実施し、4114名から回答を得ました。

全国の大学院生の数は、2012年から減少傾向が続いているものの引き続き25万人超となっており、専攻によっては大学進学の際に大学院進学も念頭に置かれるようになりました。

「第8回大学院生の生活実態調査」では、大学院生の進路決定までの意識や研究生活の実態など、専攻による大きな違いや、同じ大学内で過ごしながらも学部生とは異なる生活実態が明らかになりました。 この中から今回は、大学院への進学動機や就職活動の実態についてのデータをご紹介いたします。

大学院(修士課程)進学 決定時期 (図表1・2)

2004年から大学院修士課程への進学を決めた時期を調査していますが、「大学入学前から決めていた」は年々増加し、2013年には21・7%となりました。特に理系では25・2%(文系12・1%)と高く、4分の1を超える院生が大学入学前から大学院への進学を決めていたということになります。

この間、大学受験に際しては、保護者のオープンキャンパスへの参加やウェブによる情報収集力が強まっていますが、学費の準備や就職への不安などから大学院進学率も大きな関心事の一つであると思われます。こういった背景もあり、進学大学検討の際には、すでに〝学部課程と修士課程の6年間の大学生活をイメージした〟理系受験生の増加傾向があるのではないでしょうか。

一方、文系については学部4年時が30・7%(理系19・8%)と最も多くなっています。全体を見ると最も多い学部3年時(33・6%)は就職活動が開始される時期と重なるため、進路の決断をする学生が多いと思われますが、学部4年時の決定が多い文系院生については、就活終了後の決定者が多いとも考えられます。

また、大学院への進学動機は「専門知識を身につけたかった」が71・1%(文系68・6%、理系71・7%)と文系・理系ともに最も多くあげられていますが、理系は「就職に有利」(文系9・0%・理系47・2%)のほか、「進学が当たり前だと思った」(文系8・3%・理系41・9%)、「周りの人が進学した」(文系3・4%、理系18・8%)といった受動的にも見える動機が多く、文系は「資格を取るため」(文系34・1%・理系3・7%)が多くなっています。

【図表1】 大学院進学(修士課程進学)を決めた時期 (%)

【図表2】 修士課程に進学した理由(複数選択)

就活状況に見る 文理の差(図表3・4・5)

日常生活の悩み、ストレスを尋ねた設問では「将来の進路」について文系の53・7%(理系41・3%・医歯薬系41・6%)が悩んでいるとしています。次いで多い「研究活動」(42・4%)と比較しても10ポイント以上高く、進路に不安を持つ文系の院生が多く存在することがわかります。

大学院生の就職活動は、平均期間が6・5カ月と、前回(2010年)の7・4カ月から大幅に短縮されました。2012年からは就職活動の開始時期が12月に変更されたことが大きく影響しており、研究時間の確保にもつながっています。

また、大学院修了後に予定する就職先にも文理の差が見られます。「一般企業」は理系で80・3%(文系45・0%)、「公務員」は文系で25・0%(理系5・7%)と高くなっており、就職活動の進め方も文系では自由公募:学校推薦=80・4:1・3、理系では自由公募:学校推薦=61・1:27・5と理系の推薦利用が大きく表れました。こういった就職の現状も、文系院生の「将来への進路」に対する不安を大きくしている要因であると考えられます。

【図表3】 就職活動の期間

【図表4】 卒業・修了後に考えている就職先)

研究費負担が大きい 文系院生 (図表5・6)

進路に関する悩みのほか、「生活費や授業料などお金に関すること」も文系が40・9%と、理系(22・2%)より高くなっていますが、研究対象の違いがその要因の一つとしてあげられます。

理系の研究活動が主に実験やシミュレーションであることに対して、文系はフィールドワークや論文調査が多く、1カ月の生活費のうち「書籍購入費」が6・4%を占めています(理系2・4%・学部生の文系2・1%)。また自己負担の研究費(半年間)のうち「書籍代」が文系4万210円に対して理系1万2480円とその差が大きいほか、「学会費や学会参加に伴う交通費や宿泊費などの費用」(文系3万4740円・理系2万7380円)、「フィールドワークなどの調査費用」(文系4万5890円・理系2万6840円)も文系の自己負担額の大きさが顕著で、研究活動のスタイルの違いとともに、大学内での研究費配分の違いも背景としてあると思われます。

さらに1カ月の支出のうち「趣味・娯楽費」が占める構成比は、理系の11・0%に対して文系は7・8%です。一方で学部生の生活費の構成比は文系の「教養娯楽費」が10・6%で理系の8・7%を上回っています。理系と比較してアルバイト収入も多く、時間的なゆとりのあった学部生時代を過ごした文系の院生にとっては、その変化の大きさもストレスの要因として存在しているのかもしれません。 (編集部)

【図表5】 悩み・ストレスに感じること(複数回答)

【図表6】 半年間の研究費自己負担

『Campus Life vol.39』より転載


ページトップへ