全国大学生協連第67回通常総会

本総会の開催にあたって

開会宣言

全国大学生協連学生委員
理事 加藤 有希

それではこれより理事会を代表して全国大学生活協同組合連合会 第67回通常総会の開会を宣言いたします。
初めに本総会の資格審査について報告いたします。本総会は9時55分現在、215会員生協、代議員総数356名中、本人出席3名、書面出席352名、委任出席0名、計214会員 355名の参加で本総会は立派に成立しておりますことをご報告いたします。(拍手)

続きまして、本総会を運営するにあたり、総会運営規約に基づき、議長の選任を行います。 議長は、理事会より推薦いたします。議長には、芝浦工業大学生協の佐々木誠司代議員を推薦させていただきます。よろしければ拍手でご確認ください。(拍手)

全国学生員会 副委員長 林 優樹

理事会からの挨拶

全国大学生協連 会長理事 生源寺 眞一

全国大学生協連 会長理事
武川 正吾

全国大学生協連第67回通常総会の開催にあたりまして、理事会を代表して一言ご挨拶を申し上げます。師走のお忙しいときに朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。

この1年は数年前と違って新型コロナウイルス感染症も収束して、少しずつ明るい方向に向かってきているかと思います。ただ、まだ2019年の水準にまでは達していないというのが実情のようであります。今回の通常総会を通じて、来年度元に戻る、あるいはさらにそこから発展していくというようなかたちで、大学生協が続いていけばと思っています。

初めにご紹介がありましたように、一つは日本社会事業大学生協が解散してしまい大変残念でしたが、新たに豊橋創造大学生協が設立されたということで、これは非常に喜ばしいことだと思いました。

今日は、来年度に向けてしっかりと議論をしていただければと思います。
ご清聴ありがとうございました。

新規設立生協紹介

新たな「なかま」が増えました!

新規設立生協の紹介をさせていただきます。
今年度は、「豊橋創造大学生活協同組合」が誕生しました。
新しい大学生協の誕生を、皆さんとともに喜びあいたいと思います。

※画像をクリックしていただくと動画をご覧いただけます。

第67回通常総会
議案提案

2023年度全国学生委員会 委員長 高橋明日香

全国大学生協連
2023年度
全国学生委員会委員長 
高橋 明日香

みなさんこんにちは!
全国大学生協連学生委員会で学生委員長を務めています、高橋明日香です。

本日は第67回通常総会の第1号議案~第6号議案の提案をさせていただきます。議案検討会議は129生協・364名の参加で作り上げることができました。ありがとうございます。

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第1号議案 全国の大学生協の2023年度活動のまとめと2024年度活動方針決定の件

まず、第1号議案の位置づけです。これから提案をする第1号議案は、全国の一つひとつの大学生協、事業連合、全国大学生協連に関わる全ての人の進むべき方向性を示す方針です。学生も、生協職員も、教職員も、皆さん一人ひとりに関わる方針です。

第1号議案は3章で構成されています。第3章は、2023年度の大学生協の到達点が書かれた第1章、今後予想される社会の動きと私たちへの影響が書かれた第2章を踏まえてまとめています。

第1章
2023年度の大学生協の到達点
第2章
2024年度予想される社会の動きと私たちへの影響
第3章
2024年度全国の大学生協の活動方針

それでは、第1章から説明していきます。

第1章 2023年度全国の大学生協の到達点

ここでは、2023年度の活動方針と、大学生協2030Goalsの2つの視点から2023年度を振り返っています。
2023年度、大学生協は「つながる元気、ときめきキャンパス。~協同で広がる、組合員の元気!~」をテーマに取り組んできました。

組合員をど真ん中にし、各大学生協で組合員の声をヒアリングする活動が改めて大切にされてきました。また、コロナ禍を経て、正課外活動も復活し、組織委員会活動も回復しました。組合員をど真ん中に置き、様々な活動を旺盛に行えたことで組合員の元気をつくれたのではないでしょうか。実際の活動が議案書7ページよりまとめられています。組合員と共に生協食堂を憩いの場にした取り組みや、全国大学生協共済セミナーの活動交流を経て、ベジチェックや自転車点検企画など、組合員の健康で安全な生活を守る取り組みが、多くの大学生協で行われました。

とりわけ組合員の多数を占める学部生で構成されている学生委員会の人数が、一時6000人台まで減少しましたが、2023年9月時点で8000人を超える学生委員数になっています。組合員をど真ん中に置き、様々な活動を旺盛に行えたことで組合員の元気をつくることができました。コロナ禍でも絶えることなく、大学生協で働き、活動してきた方々がいたからこそ、2023年の活動につながっています。本日は、時間の関係で詳細にお話しすることができませんが、議案書では取り組みを詳細に記載しております。ぜひ、ご覧ください。

次に、大学生協2030Goalsの視点で2023年度を振り返ります。
大学生協2030Goalsとは全国の大学生協が大学コミュニティに貢献し続けるため、大学生協が2030年までに何を成し遂げるべきかを具体的な目標(Goals)として設定し、目標達成のための行動指針(Action Plan)を明らかにしたものです。大学生協がこれからも守りたい価値、そしてこれからの社会において創造したい価値などをまとめています。ここでは、vision③(大学生活の頼りになるパートナー、セーフティネットとしての大学生協)のみご紹介いたします。

2023年は、組合員のこころとからだを育む生活基盤としての食生活支援の活動も増えました。また、協同組合間協同や地域社会との連携で、学生の生活支援ができた大学生協もありました。6月には初めて、全国社会的課題委員会主催でLGBTQ学習会を行うことができました。

2024年に向けては、Goal12ジェンダー平等に向けた取り組みはまだまだ少ないので、進めていきましょう。2024年も学習の機会を設け、2030年に国籍・人種・宗教・性自認・性的指向や障がいの有無にかかわらずすべての人が快適に利用できる商品やサービス・事業環境をつくるために、生協内での学習する機会を設けることが大切です。

第2章 2024年度予想される社会の動きと私たちへの影響

ここでは、社会の動きとして、社会情勢や、平和と国際政治に関すること、大学の動きや組合員の生活を取り巻く環境についてまとめています。

ウクライナ侵攻やガザ地区への攻撃など市民の平和が脅かされる事態が世界各地で起こっています。ガソリンや電気・ガス代などのエネルギー価格や、食料価格など、生活必需品の価格上昇は、大学生活を送る上で厳しいものになっています。18歳人口の減少傾向は今後も続き、2033年度には100万人を切る見込みです。学部生の充実度の変化、文系院生を中心に在宅での研究スタイルも定着、教員が感じるオンライン授業対応の苦労など、学部生・院生・教職員・留学生の大学生活はより一層多様化しています。

第3章 2024年度全国の大学生協の活動方針

2024年度の全国の大学生協の活動テーマは、「つながる元気、ときめきキャンパス。~組合員との対話を大切に、大学生協でつながる仲間を拡げよう~」です。

「対話」には、大学生協が、アンケートを取り、組合員の声を形にするだけではなく、組合員同士・組合員と大学生協に関わる人たちが、互いに願いを共有し、考え合う中で、答えをともに創り出すための行動、という想いを込めております。対話を重ねることで、深い共感が生まれ、信頼関係を構築することにもつながります。「対話」を全国の大学生協の合言葉にしましょう。

次に2024年度の全国の大学生協の活動方針を提案します。まずは、横軸です。2024年度の方針では、すべての大学生協の事業と活動で取り入れたい、3つの重要な視点を設定しています。3つ全てにおいて、「対話」を大切にしています。
一つ目は、大学に頼りにされるパートナーであり続ける大学生協であるために、大学生協の価値を大学とともに考える、という視点です。二つ目に、大学生活の頼りになるパートナー、セーフティネットとしての大学生協であるために組合員にとって身近で、組合員とともにつくる生協店舗(購買・食堂)、という視点です。三つ目に、人と人とのつながりや協同を大切にできる大学生協であるために、大学生協で、活き活きと働き・活動できる組織づくりを重要な視点として置いています。

それぞれに意識したいポイントも設定しておりますので、議案書をお読み取りください。
続けて、縦軸4つの方針とすべての大学生協の事業と活動で取り入れたい行動について提案します。活動方針①組合員が参加し協同する場づくり、活動方針②健康安全、活動方針③これからの学びと成長、活動方針④社会をつくる、です。

終わりに、次の言葉を合言葉に2024年度の活動を進めていきましょう。
つながる元気、ときめきキャンパス。
~組合員との対話を大切に、大学生協でつながる仲間を拡げよう~

以上で、第一号議案の提案となります。

第2号議案 2023年度事業報告書・決算関係書類等承認の件

次に、第2号提案について、重点課題に沿った振り返りを行います。会員再生計画作成支援を継続し、約8割の会員生協が会員再生計画を策定することができました。事業再生の具体化として、SEQ学生支援企画を実施し、4679名の学生が受診しました。たすけあい奨学制度の認知も少しずつ広がり、金城学院大学が大学として初めて団体賛助会員に加入いただきました。

続いて決算報告を行います。経常剰余金は、マイナス6.6億円となり、2期連続で経常剰余段階での赤字決算となっています。一方で、大学生協共済連清算益の特別利益計上、会員経営支援金などにより、当期剰余金は、30.2億円となっています。
様々なことがあり、2023年9月時点で88.6億円程度の資金保有となっており、財務状況は安定しました。以上、2023年度事業報告書・決算関係書類等承認をよろしくお願いいたします。

第3号議案 2023年度学生総合共済事業のまとめと2024年度以降の活動基本方針決定の件

続いて、第3号議案について提案いたします。
まず、2023年度の大学生協共済連活動のまとめを行います。大学生協の共済事業は、コープ共済連のもと新たなスタートを切りました。学生総合共済は、2年連続15万人加入を達成することができました。

4年ぶりに全国大学生協共済セミナーを対面で開催し、職員・学生委員・学生アドバイザーなどがわたしたちの共済を考えることができました。2024年度は、加入者目標が16万2916人となりました。共済学習をこれからも進め、わたしたちの共済を広げていきましょう。

以上、2023年度学生総合共済事業のまとめと2024年度以降の活動基本方針決定の件について承認をお願いいたします。

第4号議案 2024年度事業計画及び予算決定の件

続いて、第4号議案について提案いたします。
はじめに2024年度の事業計画について提案します。これからの大学生協づくりに向けて、すべての会員生協で進める3つの大切にしたいことをまとめております。

  1. 組合員の参加と協同により、くらしの向上を実現する生協運営を強めましょう
  2. 「組合員のくらしに貢献できる大学生協事業」「会員・連帯の経営に貢献する大学生協事業」を再確立しましょう
  3. これからの環境変化に対応し、将来にわたり持続可能な経営を可能とする経営基盤を構築しましょう

大学生に寄り添う大学生協に向けても、各生協のチャレンジを学び合える連帯活動を行っていきましょう!

続いて2024年度の予算計画について提案します。経常剰余段階で、8.3億円の赤字で計画しております。2024年度方針具体化の中で、会員生協再生具体化を支援しつつ、大学生協連の経営構造をどう改善していくか、引き続き総合的な見直しが必要となっています。

その他議案書P101からは第5号議案として2024年度の理事・監事候補者の皆さんをご紹介しておりますのでご確認ください。議案書P119からは第6号議案として2024年度の役員報酬の上限額について提案していますのでよろしくお願いいたします。

以上で第1号議案から第6号議案の提案を終了いたします。

第67回通常総会
議案討論

東北大学生活協同組合 笹木 瞳(常務理事・学生委員長)

議案討論①

東北大学生活協同組合
笹木 瞳
(常務理事・学生委員長)

東北大学生協で常務理事並びに学生委員長を務めております、笹木 瞳と申します。私のほうからは、第1号議案を深める立場で発言をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

東北大学生協では、全国の大学生協の皆さんと同じように経営的・組織的にもコロナ禍の影響を大きく受けました。2022年度の学生委員会としては、新入学生委員が例年の半分以下であったことから、学生委員全体の人数も大幅に減少しました。また、総代選出率も大きく低下し、共に活動する仲間の獲得が難しい1年でした。

このことを受け、2023年度では、大学生協とつながる人、学生委員会とつながる人を増やそうと、学生委員・理事・生協職員が共に取り組んでまいりました。総代・学生委員の紹介をさまざまな場所で行い、その結果として2023年度の学生委員会では、昨年度を大幅に超える新入学生委員を獲得することができました。また、教職員・院生組織委員会に所属する院生も増加し、仲間を増やすスタートを切ることができたと考えております。

東北大学生協全体で取り組んでいる活動として、総代活動が挙げられます。東北大学生協では、総代選出、総代会の運営について、生協職員・組織委員の代表で構成される総代会プロジェクトにて協議を行っています。今年度はこの総代会プロジェクトに加え、理事や組織委員一人ひとりがこの総代選出、総代会運営により深く携わることで、総代選出率を向上させることができ、さらに大学生協の仲間を増やすことができました。

また、総代会のテーマとしては「組合員とともに作る大学生協」を掲げ、「組合員還元企画」を総代と共に考え、総代と共に実現すること、総代会で出た意見は基本的に実現することにこだわって、準備や運営を進めてきました。

総代活動では、3つの目指すポイントを掲げ、「総代の声を聞くこと」「総代と対話し声を深掘りすること」「総代とともに実現すること」を目標に取り組んでまいりました。
この流れに沿って、総代会前には各キャンパスで事前討議として、組合員還元企画や生協への要望についての協議を行いました。
また、総代と対話し声を深掘りすることについては、総代会当日にこの要望について専務理事自らが回答し、実現に向けて対話をし、一緒に考えていくことを総代に呼びかけました。
組合員還元企画の協議内容は、各キャンパスの総代が総代会で自ら発表し、総代会全体で共有を行いました。
総代と共に実現することというポイントについては、この発表内容を各キャンパスに持ち帰ったことで、さらに企画内容を深め、実現につなげることができました。


キッチントレーラーでは組合員の要望が多かった
給食メニューを提供(川内北キャンパス)

このように総代活動として、総代会を起点にし、年間を通して一緒に考えながら、共に大学生協を作ることができたと思います。その結果が、この組合員還元企画の実施につながっています。
この1年、東北大学生協では、つながりを増やすこと、組合員・総代と共に作り上げることにこだわりながら活動してきました。その結果が、組織委員・総代といった仲間が増えたこと、全キャンパスでの組合員還元企画の実施、成功を収めたことにつながっていると思います。
この組合員還元企画については、午後の実践事例交流会にて詳細をお話しいたしますので、ぜひ皆さんにもお聞きいただければというふうに考えております。
私からの発言は以上です。ありがとうございました。

宮崎大学生活協同組合 江口 智哉(常務理事・学生委員長)

議案討論②

宮崎大学生活協同組合
江口 智哉
(常務理事・学生委員長) 

本日は、第1号議案について賛成の立場で宮崎大学生協の取り組みを紹介させていただきます。

宮崎大学生協では、コロナ禍の早い段階で大学と協力しながら食堂の運営を続けてきました。しかしながら、本来は学生にとって憩いの場となる生協食堂は、いつの間にか学生にとって単に食事をするだけの場になっていたのではないかと思っています。営業時間を変えたり、メニューのバリエーションを減らしたりなど、生協の経営再建のために必要だったとはいえ、学生にとっては居心地の悪い食堂であった可能性は否めません。
学生生活実態調査の質問項目で、「生協を身近に感じるか」という質問の回答が、コロナ前より大きく数字を落とす結果になっていることは、そのことを示している可能性があると思っています。全国の調査でも学生の学内滞在時間が減っているという報告がありましたが、生協の運営も無関係でないということを理事として考えています。

宮崎大学生協ではそのことを重く受け止め、少しでも生協を「身近」に感じてもらうため、一声カードやアンケート、総代会での学生への聞き取りを通して組合員の声を拾い、改善を繰り返しています。お叱りの声もたくさんいただきながら、食堂のメニュー改善や書籍購買店の営業時間の変更を行いました。書籍購買店はコロナ前より営業時間を延ばすなど、組合員が利用しやすい環境づくりを行いました。


カフェコンサート(2023年6月食堂にて)

食堂も、ただ食べるための学食ではなく、楽しいという雰囲気を持ち合わせた学食を目指しています。
その1つの取り組みとして、23年度は食堂内で2回、学内サークルによる演奏会を実施しました。夕方の来店者の多い時間をねらって行いましたが、皆コロナ禍の食堂のように同じ方向を向き、食事をしながら演奏に聴き入っていた姿が印象的でした。
食堂内の演奏会は、コロナ以前も行っていた取り組みです。もうコロナ前に戻らないということも言われますが、宮崎大学生協では、自分たちの働きかけでできることは元に戻していくというスタンスで取り組んでいます。本日午後の実践事例報告会で報告もいたしますので、良かったら発表を聞いてください。

また、宮崎大学生協学生委員会では、学園祭の時に「健康ランド」というアルコールパッチテスト・血圧検査・肌年齢測定・体脂肪測定・酩酊体験の5つの検査や体験ができる企画を行いました。この企画では、大学生だけでなく地域の小学生から年配の方まで幅広い年齢の方にも参加していただくことができました。


2020年のライトアップの様子(木花キャンパス)

さらに12月、学生委員会だけでなく、学内の構成員と共に点灯式を行いました。この式典では、イルミネーションの点灯だけでなく、ビンゴ大会や軽音サークル、アカペラサークルなどのさまざまなサークルの演奏会、そしてスープなどの配布も行い、大学を盛り上げました。

このように宮崎大学生協学生委員会では、組合員だけでなく、大学・学生・地域に貢献できる取り組みを意識しながら日々活動に取り組んでいます。まだまだ運営への課題は多く残っていますが、今後も組合員・大学・学生の保護者・地域に貢献できる組織を目指して頑張ります。
以上、宮崎大学生協の発言とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

討論のまとめ

全国大学生協連 2023年度全国学生委員会委員長 高椅 明日香

全国大学生協連
2023年度
全国学生委員会委員長 
高橋 明日香

東北大学生協 笹木代議員、宮崎大学生協 江口代議員にご発言をいただきました。ありがとうございました。

昨年の大学生協連の総会では、大学生協は誰のものか、大学生協はどのような存在であればよいか、そのような点を中心に議論しながら私たちは一つの方向に向かって確認をしてまいりました。
今回の総会では、2023年度、各大学生協で会員再生計画が策定・施行され、大学生協再生の具体化が本格的に始まった中、大学生協とつながる仲間を増やす活動に取り組まれ、組合員とともにさまざまなことにチャレンジする実践が全国で進んでいることを改めて確認でき、これからの大学生協づくりに向けて組合員との対話の重要性を強く感じられました。

東北大学生協の発言からは、組合員への還元の取り組みを総代や理事とともに考え、創り上げる重要性を改めて感じることができました。全国の大学生協を見てみると、2023年度に行われた総(代)会では、103の大学生協が総(代)会当日にグループ討議や分科会を行いました。総代と生協職員がともに大学生協の現状を見つめ、自身の生活をもとに大学生協に期待することや求めることを話し合うことができました。しかし、「声を聴くだけで終わっていないか?」「声を聴いてもできないことだから無理だと言っていないか?」という点を各大学生協の2023年を振り返る中で考えていただきたいです。

2024年度は、東北大学生協のように、組合員や総代、理事から“声”を聴きだし、できる限り実現するという意識を持ち、取り組みを進めていきましょう。すぐには実現が難しいこともあると思いますが、組合員と対話を重ねていきましょう。
大学生協2030Goalsの中では、組合員自らがつながり合い、たすけあうことで組合員共通の生活上の課題を解決し、願いを実現できる大学生協を守りたい価値としています。2023年度多くの大学生協で策定された、会員再生計画の具体化を進める中で、組合員との対話を大切に、組合員が本当に願っている大学生活は何なのかを知り、組合員の生活向上に向けてさまざまな挑戦をしていきましょう。

宮崎大学生協の発言の中で、今組合員は、食堂はただ食事をするだけの場所で、食堂を自由に使えることを知らないかもしれないという視点から、楽しい生協食堂づくりに向けて活動に取り組まれた点が印象に残りました。お話にあったように、第58回学生生活実態調査では、大学生協を身近でないと感じる人が31.7%という結果になっています。

アプローチ方法はさまざまですが、宮崎大学生協のように、日頃からある組合員との一つひとつの接点を大切にし、大学生協を身近に感じる学生が増えるように、組合員とつながれる関係をつくっていくことはとても重要です。大学生協が組合員の大学生活に身近なものになれば、大学生協への信頼感が高まり、運営に参加する組合員が増えていきます。対話を重ね、組合員にとって身近で、組合員とともにつくる生協店舗づくりを進めていきましょう。

まとめといたしまして、繰り返しになりますが、組合員にとって大学生協が自分たちの組織だと感じられ、これからの大学生協をともに創っていけるように、第一号議案で提案した、組合員との対話を大切に、「大学と大学生協の価値をともに考える」「組合員にとって身近で、組合員とともにつくる生協店舗」「大学生協で活き活きと働き活動する」この3つの視点を大切に活動していきましょう。

学生の皆さまの近くには、生協職員や組合員、職員の皆さまの近くには学生委員や組合員がいることを忘れずに、組合員と一緒に経営課題の答えを見出していくことを大切にしていただき、2024年度の活動を皆さんと一緒に進めていきたいと思います。

以上をもちまして、全国大学生協連理事会からのまとめとさせていただきます。
ありがとうございました。

退任代表挨拶

兵庫県立大学名誉教授 井内 善臣

兵庫県立大学名誉教授
井内 善臣

ただいまご紹介を頂きました全国理事の井内です。
私は今回の総会をもって理事の任期を終えることになりました。「無事に任期を終えることとなりました」と言いたいところではありますが、昨今、大学生協を取り巻く厳しい環境下では円満退任とはいきません。

私が大学生協連と関わることになったきっかけは「CIEC(シーク)」という愛称で呼ばれる「コンピュータ利用教育学会」と大学生協連が共同で開催しておりますPCカンファレンス、いわゆる全国学会での出会いでした。
2004年に神戸大学で開催されましたPCカンファレンスで現地実行委員の一人として協力をさせて頂いたことが始まりです。
この実行委員就任を契機に、神戸事業連合、阪神事業連合、関西北陸事業連合と関わり、その中で大学生協連とは、地域あるいは全国としての理事を長期に務めることと相成りました。最近は全体区分として事業連合理事長の立場で、約17年間大学生協連理事を務めさせて頂きました。
生協生みの親である賀川豊彦の生地が神戸であったこと、一時期は徳島に在住をしていたこと、そして私の学んだ徳島の高校の卒業生であったこと、これも何かのご縁だったのかもしれません。

理事会での議論を通じて、最近では電子教科書を念頭においたDECS計画やディズニーランドでの海外インターンシップなどの議論を通じて、自身の専門分野の研究や教育、さらに大学での運営の一助になる情報を得る貴重な機会を頂きました。
また、通常、教員は活動の場が自身の大学のみで「外の世界や他大学」との接点を持つ機会は余り有りませんが、理事会は全国各地からの関係者が一堂に会し様々な知見を得て、また人とのネットワークを築くことができました。
理事会を通じて、知人、友人が全国に広がったという想いで改めて感謝申し上げます。

大学生協はコミュニティを重視する組織であり集団であると認識をしております。
ここ3年くらいはコロナ禍でもあり総会を含めて対面会議がほとんど無くなり、コミュニティの危機が叫ばれ理事会での議論も少し熱を失ったような気がします。今回の総会もオンラインでの開催となりましたが、近い将来に理事会も含めて一堂に会する機会が訪れると思います。また、それを期待しております。

再度、大学生協連 会長理事、副会長理事、専務理事、理事の皆様に感謝申し上げますとともに、大学生協連だけで無く会員生協ならびに関係者の方々のご健康と益々のご発展をお祈り申し上げます。
簡単ではございますが、退任の挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。

金城学院大学 大学院 山口 朝香

金城学院大学 大学院
山口 朝香

金城学院大学大学院の山口朝香と申します。2023年度全国院生委員会の委員長として全国理事を務めてまいりました。学部生の頃に学生委員会に参加してから7年、大学生協で活動をさせていただいてまいりましたが、全国の皆さんとつながって、様々なことを経験することができ、私自身も成長を感じています。

私は文学研究科国文学専攻というところで主に古典文学の研究活動を行っていますが、研究テーマとして「中世の精神世界」を扱っています。疫病や災害、戦乱が多く起こる中世という社会において人々がどういうメンタリティで生きていたのか、というのを探っているのですが、このテーマを据えることができたのは大学生協で「よりよい大学生活」を皆さんと考えてきたのが根底にあります。
研究を通して、中世の人々は具体的な手法だけではなく、うまく生きていくための心の持ち様があったのだろうと検討し、今修士論文を書き上げているところです。

本日、2024年度の方向性について「対話を大事に」というお話がありました。大学生協においても、単に物を売るだけではなく、人と人とがつながって共通の願いを語り合い、助け合っていくことで達成を目指してきたというのも、私たちが長年の歴史の中で確立してきた魅力なのではないでしょうか。

これからも魅力ある大学生協であり続けるために、全国で組合員が願いを語り合っていけるような大学生協であっていけたらいいなと思っています。長い間お世話になりました。ありがとうございました。

東洋大学生協 専務理事 柏木 浩樹

東洋大学生協 専務理事
柏木 浩樹

東洋大学生協の柏木です。私は2020年12月より3期、大学生協連の監事を務めさせていただきました。

監事は理事の義務の履行状況を監査し、監査報告書を作成し会員生協に報告する義務があります。そのため各監事は、他の監事と意思疎通及び情報の交換を図るほか、理事会等に出席し、理事及びその他の職員からその職務の執行状況について報告を受け、必要に応じて説明を求め、重要な決裁書類等を閲覧し、財産の状況については監査法人の報告を受けて確認してまいりました。

この3年間は、学生にとっての3つの危機(くらし、学び、コミュニティやつながり)、生協にとっての3つの難局(経営、コミュニティ形成、生協組織)から始まり、大学生協2030Goalsの策定、大学生協の再生、大学生協共済連の事業譲渡と残余財産分配、会員生協再生、大学生協事業の再生など、大学生協創設以来の難局の時期に関わらせていただきました。大学生協の存続や存在価値、会員生協の経営に大きな影響を及ぼすことについて、大学生協連の理事会では様々な階層の方が真剣に議論をされていることを目の当たりにしてまいりました。

私の足元では大学生協の再生・大学生協事業の再生はまだまだ遠い先にありますが、今回の経験を生かして、諦めることなく、組合員の参加と大学との協力によって、組合員のくらし向上と大学生協の価値向上を実現してまいりたいと存じます。

大学生協に関わる全ての方と、今後も共に頑張りましょう。ありがとうございました。

新任役員挨拶

全国大学生協連 監事 後藤 高宏

全国大学生協連 監事
後藤 高宏

この度、大学生協連の監事に就任しました近畿大学生協の後藤です。

コロナ禍を経て大学の学修スタイルや大学生の生活は大きく変容し、引き続き大学生協事業への影響が継続しています。しかし、24年方針事業計画にもあった通り、新たなニーズに沿って「組合員のくらしに貢献できる大学生協事業」「会員・連帯の経営に貢献する大学生協事業」を再確立し、持続可能な大学生協組織を構築する必要があります。

近畿大学生協でも今後を見据えた「中期計画2023-2025」を作成し執行しています。その中でコロナ以前の利用に戻らないことを前提に事業構造を再構築し、大学とのパートナーシップを強化することを重点課題としています。

世界情勢が不安定な中で物価高騰やエネルギー問題、最低賃金の上昇など大学生協を取り巻く環境は厳しいですが、今後を見据えた大学生協連の取り組みや諸活動に微力ながら貢献できれば幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。

大学生協東京ブロック学生事務局 学生委員長 田村 莉穂

大学生協東京ブロック学生事務局 学生委員長
田村 莉穂

2024年度東京ブロック学生事務局学生委員長の田村莉穂です。24年度から全国理事を務めさせていただきます。

私は昨年度も東京ブロック学生事務局として1年間活動してきました。その経験を生かして、東京ブロック、北甲エリアがより良くなるために1年間いろいろ考えて取り組んできました。今後は今までの経験も踏まえて全国の大学生協が元気になれるように、笑顔があふれるように、精一杯私なりに頑張っていきたいと思います。

1年間どうぞよろしくお願いいたします。

昨年開催しました全国大学生協連 第66回通常総会(UNIV.CO-OP総会特集号435)はこちらからご覧頂けます。

UNIV.CO-OP436 総会特集号TOPへ戻る