大友啓史監督インタビュー〜大学時代の読書欲〜

大友啓史監督インタビュー〜大学時代の読書欲〜

大友啓史監督

1966年岩手県盛岡市生まれ。

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。

90年NHK入局、秋田放送局を経て、97年から2年間L.A.に留学、ハリウッドにて脚本や映像演出に関わることを学ぶ。帰国後、連続テレビ小説「ちゅらさん」シリーズ、「深く潜れ」「ハゲタカ」「白洲次郎」、大河ドラマ「龍馬伝」等の演出、映画『ハゲタカ』の監督を務める。2011年4月NHK退局、株式会社大友啓史事務所を設立。同年、ワーナー・ブラザースと日本人初の複数本監督契約を締結する。

12年8月『るろうに剣心』、 13年3月『プラチナデータ』を公開。14年夏、映画『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』2作連続公開、14年度の実写邦画No.1ヒットを記録。日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞、毎日映画コンクールTSUATAYAファン賞、日本アカデミー賞話題賞など、国内外の賞を受賞。

次回作は、2016年8月6日公開の『秘密 THE TOP SECRET』。
続いて、秋に『ミュージアム』、2017年に『3月のライオン』前後編が2部作で、それぞれ公開予定。

著書に「クリエイティブ喧嘩術」(NHK出版新書/13年)。

››『秘密 THE TOP SECRET』(2016年8月6日公開)

››『ミュージアム』

››『3月のライオン』2部作

大友監督の学生時代・・・流行を読む・・・

中村 :学生時代にどのような本を読まれていましたか。

大友氏:僕らの前の世代、1980年代の頭ぐらいから、栗本慎一郎さんや中沢新一さんといった方々が学問を肩のこらない間口の広いものにしようとして、例えばテレビ出演するとか様々な活動をされていて。学問の世界にもスターみたいな存在が出始めていた時期でした。同時に広告文化が時代の先頭を走っていて、それといろんなものがクロスオーバーして、職業や業種の壁がなくなって、学際化、業際化、国際化が叫ばれ…そのちょうど終わりぐらいに僕は大学生でした。難しいことを難しく言うのではなくて、どう噛み砕いて言うか、優しく伝えていくか、というコミュニケーションのあり方が、時代の中心的な課題であったように思います。

当然のように栗本慎一郎さんや中沢新一さんの本は読んでいましたね。その上で、そこに連なる著者や関係性のある本も随分読みました。村上龍さんとか島田雅彦さんとか、あの頃のちょっととんがっていた方の文学は網羅していたし、山口昌男さん、浅田彰さんとかミシェル・フーコーとか、彼らがバックボーンにしているフランスの哲学とか、文学とか…そういう所もだんだん興味深くなっていって。その中でも僕が夢中になっていたのは、丸山圭三郎さんの本ですね。言語哲学の分野の人ですが、好きでよく読んでいましたね。

中村:学生時代の読書スタイルはどのような感じでしたか。

大友氏:今と世の中のムードが違うんですね、俺らのころはバブルだったから。服装なんかも華美だったし、大学生も派手だったし、アート系の映画館も乱立していて、世界中のローカルな映画も見れたし。学生時代を楽しむには、流行の本を読んでなきゃ楽しめないんじゃないか、というの感覚もあったんですよね。当時の学生達の間で、これ読んでなきゃかっこわるいよねみたいな。ちゃんと読んでる人とそうでない人は分かれたと思うんですけど。俺はちゃんと読んでいたかどうかと言われたら分かんないけど、乗り遅れないようにね、結構頑張っていた気がします(笑)。

ビートたけしさんの書いた本なんかもその連なりなんですよね。そういう本を読んで、自分の知らない知識とか出てくるとなんとなく悔しくて。だから新書とかを読むんです。新書を読めば一般的なことが分かる。読みたい本を深く読みこむための参考書のような意味合いでね、雑多に多ジャンルを。よく分からないものもあったけど、よく分からないものに触れているのが楽しかったんでしょうね、きっと。今読み直してみると、ああこういう本なんだって読んでいて分かることが多い。例えば立花隆さんが書いた田中角栄を巡る政治の中の裏の裏の動きとか、そんなの学生が読んだって分からないんだけど、やっぱりなんだか面白かったんですよね。そういう世界が世の中にあるんだっていうことも含めて。

 


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