わが大学の先生と語る「蒲谷先生の推薦図書」


『敬語表現』
蒲谷宏・川口義一・坂本惠
大修館書店/本体2,200円+税
従来の敬語研究のあり方を乗り越えようと試みた本。敬語の新しい分類、「丁寧さ」の原理などについて、専門書ではありながら、わかりやすく記述したものです。後に続く著書の原点とも言うべき本で、私にとって思い入れの強い本です。

『道は開ける』
D・カーネギー〈香山晶=訳〉
創元社/本体700円+税
ハウツー本の古典的名著。現在の様々な自己啓発本の元祖として、『人を動かす』とともに読み継がれています。ハウツー本と呼ぶにはふさわしくないほど、人間の本質を突いている内容であり、迷ったり、疲れたりしたときに、お薦めです。

『待遇コミュニケーション論』
蒲谷宏
大修館書店/本体2,800円+税
『敬語表現』、『大人の敬語コミュニケーション』(ちくま新書)など「敬語」に関する著書の根幹にある「待遇コミュニケーション」という考え方について、まとめたもの。理論的な考察だけでなく、シナリオなどを用いて具体的な課題についても述べています。

『明暗』
夏目漱石
新潮文庫/本体750円+税
夏目漱石の小説の代表作として挙げておきます。『三四郎』『それから』『門』、『彼岸過迄』『行人』『こころ』、『道草』、『明暗』と読み進めていくとよいでしょう。水村美苗『続明暗』(ちくま文庫)も併せて読んでみてください。

『国語学原論 続篇』
時枝誠記
岩波文庫/本体840円+税
私の提唱する「〈言語=行為〉観」に強く影響を与えた本。学部生のときに読んで、感銘を受けました。言語に対する見方が根本的に変わります。まずは続編を読んでから、『国語学原論』(上・下)へと進むことをお薦めします。

『春の雪』
三島由紀夫
新潮文庫/本体710円+税
三島由紀夫の小説の代表作として挙げておきます。「豊穣の海」の第一巻として書かれたものですが、それに続く『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』の中では、最も印象に残った作品でした。『金閣寺』『仮面の告白』など著名な作品も必読でしょう。

『発想法 ─創造性開発のために』
川喜田二郎
中公新書/本体720円+税
「KJ法」の創始者の著書として、『続・発想法』とともに今も広く読まれているもので、質的研究を行っている人にお薦めです。ただし、その奥にある思想にも踏み込んでほしいので、ぜひ、『KJ法』(中央公論社)も読んでみてください。

『路上のボールペン』
山田太一
新潮文庫/本体427円+税
脚本家山田太一の珠玉のエッセイ集。山田太一といえば、多くの優れたテレビドラマの脚本家であり、小説家としても知られているわけですが、それらの背景にあるエッセイも、山田太一らしさを感じさせる、非常に興味深いものです。『月日の残像』(新潮文庫)なども。
P r o f i l e

蒲谷 宏 (かばや・ひろし)
1957年生まれ、神奈川県出身。
早稲田大学大学院日本語教育研究科教授。
1986年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了、博士《文学》。早稲田大学日本語研究教育センター教授(1995-2001)を経て、2001年より現職。
専門は、日本語学・日本語教育学、待遇コミュニケーション(教育)の研究。

■主な著書
『敬語表現』『待遇コミュニケーション論』『敬語マスター』『敬語だけじゃない敬語表現』(以上、大修館書店)、『大人の敬語コミュニケーション』(ちくま新書)。

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