正直に言う。
題名を見て、引いた。
カニバリズムを彷彿させるような題。
しかしその題とともに表紙にあるのは、センチメンタルな情景の中に佇む少年少女。
まさに、混沌である。
一切の中身の想像はつかないが、薦めてもらった友人の手前読まないわけにはいかなかった。
怖気づきながらも手に取り、数ページ読み進める。カニバリズム要素が見当たらないことに安堵した。
そこに書かれていたのは青春。そして、生と死。
物語のテーマとしては少々月並みかもしれない。
しかし、このテーマの一つの、生と死。
私は、物語を通してそれに触れ合うことが、遠いようだが、
実は最も身近に生と死を考えられる手段ではないかと考えている。
生と死に向き合う機会が諸兄らはどれほどあるであろうか。
日々の中で、生と死を知り向き合う機会があるとするならば、
多くはメディアを媒介したものに触れるのではないであろうか。
遠い地での戦争、事件、有名人の死。端末や地上波で知る多くの死。
そのどれもがリアルだが、どうもリアルに感じられないことはないであろうか。
では、物語はどうであろう。
読んでいるうちに、登場人物に自分を重ねることもあれば、その人の気持ちになることも、度々。
読書家の諸兄らなら一度ならずとも経験はあるのではないであろうか。
私はこの本で物語の良さ、そして物語でしか感じられないリアルを再確認することができた。
なんか伝わんないっすね(=゚ω゚)ノ
ようするに、この本読んだら「死」とか「生き方」とか考え直せます。(たぶん)
登場人物が若いので、若い方ならかなり共感できると思います。(たぶん)
物語だからこそ伝わる生と死。そんなことを意識させられた一冊です。
京都橘大学
内田周作