こんなにまじまじと瓦屋根を見たことがあっただろうか。
この本を開いたときに持った最初の印象でした。私たちが生活している中で当たり前に存在している瓦屋根。そこには、その歴史や作られた当時の想いが込められていました。
瓦は、仏教の伝来のともに日本に伝えられてきたそうです。今では民家に使われている瓦も、初めは寺院や城郭など特別な建物に使われていました。職人たちが改良を重ねて、現在のように民家にも使われるようになりました。
瓦と言っても、時代によって作り方や使われ方は様々。例えば、南北朝時代に作られた飾り瓦には憤怒の表情を浮かべた鬼が描かれていたり、戦国時代には城に使われた瓦に家紋を彫ってその『家』の繁栄を願ったそうです。
こうした話を聞くと、ただの飾りと思っていた瓦にも様々な想いが込められているんだなと思いました。物事を表面だけで判断するのではなく、「作られた背景にはどんなことがあったんだろう」と疑問を持つことで自分の中で世界が広がった気がします。
この本を読んで、街を歩くのが少し楽しみになりました。慣れ親しんだ風景でも目を付けるとこが少し違うだけでこんなに変わるのだなと驚いています。
建築や歴史に興味のない人でも、読めば絶対視野を広げることができる。私が同じ大学生のみなさんにもぜひとも読んでほしい一冊です。
宇都宮大学 中嶋茜