ヒットマン、と聞いてマフィアや殺し屋を想像したのだが、実際は60過ぎの元犯罪者なだけであったのは、してやられたといったところか(笑)
とあるホテルの受付係の経歴から物語は始まる。その後、ホテルにやってきた出所したばかりのヒットマン、教会をやめて彷徨い歩いてきた牧師らと彼は出会う。彼ら「反社会トリオ」による、ヒットマンを中心としたビジネスを経営していくのがこの物語のストーリーだ。
三人が各々を補いつつ、崖っぷち合法ビジネスを進めていくのはハラハラとコメディの両立する、「失敗しそうな子供の演奏会」を見ているようである。ストーリーを通して、「読者の気に食わないもの」はスッと消える構成なので、なかなかに食後(読後)の喉周りが宜しい感じであった。
くだらない、けれども何かしら幸せな、深さのあるものを食べてみたいのであれば、是非ともこの小説をご賞味くださいませ。
岐阜大学
成瀬 正峰