読書推進

大学生の読書活動の推進を図る 読書マラソン 東京学芸大学生協

大学生協が行っている読書マラソンは〝在学中に本を100冊以上読むこと〟を目的とした読書推進企画です。

読書マラソン参加者は、エントリーしたのち、まず本を読み、その本の感想をPOPカードに書きます。東京学芸大学生協ではPOPカード10枚をカウンターに提出するごとに、300円分の生協書籍部利用券がプレゼントされます。

東京学芸大学で生協読書マラソン委員会が発足したのは約10年前、2003年の秋のことでした。読書マラソン委員会は読書マラソン参加者をより一層応援するため、週2回のミーティングを通して読書推進企画を提案、その内容を議論し、徐々にその活動範囲を広げています

企画棚


委員会の主な活動の一つに、書籍部の一部の棚を使用して委員が企画した本棚(以降、企画棚)を作ることがあります。毎月テーマを設定し、学生に薦めたい本などに手作りのPOPを添えることで、学生の読書を推進しています。  

これまでに作った企画棚で特に注目を集めたのが、「本の枕」です。「本の枕」とは、本全体を本の冒頭の一文のみが書かれたカバーで覆い、題名、著者名を隠す、というものです。カバーで隠されているわけですから、購入者が本を選ぶ手がかりとするのは題名や著者ではなく、最初の一文だけです。今まで、読んだことのない作家の本、ジャンルに出会うきっかけを目的として企画しました。  

最近、5月には新入生向けに「学科の先輩おすすめの本」をテーマにし、委員以外の学生に協力を仰ぎました。東京学芸大学には多くの学科が存在するので、すべての学科を揃えるのは非常に大変なことでしたが、それだけにバラエティーあふれる企画棚が出来上がりました。

書評誌を中心に据えた 委員会継続のこつ


委員会の活動の軸となっているのが書評誌『どくまら』の編集、発行です。書評誌『どくまら』は委員全員が書評を書き、書評ページや生協書籍部・図書館と連携した記事を作成し、製本までの作業を自分たちの手で行います。

『どくまら』によって学生に本を紹介できると同時に、書評を書く我々委員も読書への関心を深めることができています。書評を書くためには書評対象の本をより深く読み込むことが必要となります。また、「この人はこんな本を読んでいるんだ」と、本を通して交流も生まれます。委員同士、信頼関係を築くことが円滑な委員会活動につながっていると感じています。

各種コメント大賞

東京学芸大学生協読書マラソン委員会では、年に2回、「新入生コメント大賞」と「オリジナルコメント大賞」を開催しています。応募期間中に提出されたPОPカードを対象に選出し、入賞者には賞状と賞品を贈呈します。読書マラソンのとりくみを学生に広く知らせ、かつ参加するきっかけとなるように、「新入生コメント大賞」は、入学したばかりの新入生を対象に行っています。

それに対し「オリジナルコメント大賞」は全学生を対象として大規模に開催し、毎年多くの方が応募してくださいます。そのため、表彰の際には表彰式に伴って交流会も実施し、読書をきっかけとした学生同士の交流の場の提供も行っています。

さまざまな協力のもと


「オリジナルコメント大賞」表彰式

以上のように、生協読書マラソン委員会は、さまざまな生協行事を通して読書マラソンの周知を図っています。しかし「読書マラソンを知っている」という学生が多いにも関わらず、全体的なエントリー者数は決して多いとは言えません。

学内で読書マラソンに関するアンケートを実施した際、「エントリーの仕方が分からない」という回答が9割を超えました。それを受け、2014年3月、書籍部カウンター上部に読書マラソンの案内を設置しました。またPОPカードの周知、読書マラソンへの興味をもってもらうため、書籍部内にてPОPカードの展示を開始しました。この案内とPОPカードの展示は、専務や書籍部の職員さんの協力によって実現しました。組合員である学生が主体なのはもちろんですが、このように円滑な委員会活動には、生協に携わる多くの方々の協力が欠かせません。

リーダーズ・ ネットワーク との関わり

「オリジナルコメント大賞」表彰式に伴って行った交流会

読書マラソン委員会のミーティング

東京学芸大学生協読書マラソン委員会は、リーダーズ・ネットワークにも参加しています。リーダーズ・ネットワークとは、簡単に言えば読書系サークルのインカレです。東京学芸大学を含め、9大学の読書推進委員会と読書サークルが参加しています。

リーダーズ・ネットワークの設立理念は「各大学の読書関連団体の活動と大学生への読書活動の啓発」であり、その活動は、作家さんを招いてトークショーやサイン会を行う「リーダーズ・フェスタ」や「ビブリオバトル」、出版社見学など多岐に渡ります。

リーダーズ・ネットワークを通して他大学の企画を知ることができるのは、私たちにとって企画づくりの良い参考になります。また、作家さんとの出会いやビブリオバトルは読書への良い刺激となります。今後も、より積極的にリーダーズ・ネットワークに関わっていくことで、読書マラソンの認知度を高め、大学生の読書活動の推進を図っていきたいと思います。 (委員長 岡田充弘)

『Campus Life vol.40』(2014年9月号)より転載