キングコング 西野亮廣氏と学生との読書推進座談会

参加学生

全国大学生協連 
学生委員長 吉岡充代子

全国大学生協連 
広報担当学生常勤 中村一路

全国大学生協連 
共済担当学生常勤 千葉結花


聞き手

全国大学生協連 
常務理事 毎田伸一

「本を読め!」と言われても、自分から進んで本を読む気にはなれない。  きっと自分が憧れる人からだったら違うはず・・・(笑)!!

毎田:この場に参加する者の自己紹介をさせていただきます。

吉岡:全国大学生協連で、大学の中にある生協 全国に220ありまして、そこで学生委員会の仕事をやっています、京都の龍谷大学を1年半前に卒業しました、吉岡充代子といいます。よろしくお願いします。

千葉:同じく大学生協連学生委員会で、宮城県の尚絅学院大学卒業の千葉結花です。私、高校生のときにずっと西野さんのブログ見てました。よろしくお願いします。

中村:千葉大学出身で、今年の春に卒業しました、中村一路と申します。よろしくお願いいたします。

毎田:大学生協連で常務理事をやっています毎田です。 基本的にはそれぞれの大学の中で本屋とか学食とかを運営をしていて、その中でも大学の書籍などを販売しており、もっと学生さん本を読みましょうよ!いわゆる読書推進を行っています。やっていると、偉い大学の先生なんかが学生に「読め」、「教養を・・・」と言うと、学生は聞きませんよね。前回 又吉さんにお話を伺いましたら、結構な反応がありました。それだったら、別に固い本ばかりじゃなくて、絵本を書かれたり脚本を書かれたりされているということもあったので、今回西野さんと機会を頂いた次第です。

西野:しかし・・・無理ですよね・・・多分、高校や大学の先生が、どれだけ「本を読め!」といっても、読まないと思うんですよね。 例えば、すごくあこがれている先輩がとか、かっこいいロックミュージシャンがタバコを吸っていたら、僕も吸ってみたいなとか・・・(笑)。つまり、先生が本を読ませたかったら、すごい憧れの対象にならなきゃ(笑)。先生に近づきたいから先生が読んでいる本を読みたい、という感情がうまれるといいですね。 ファッションとすごく似ていると思うんですけど・・・。ファッションデザイナーや服屋さんが「これ着ろ!」といっても着ないけれど、ローラが着ているのを見て、「これを着たら私もローラみたいになれるかも」という感じで(笑)。人に物を教えるときって、順番がそっちの方がいいなと。 「まずは読め!」って言う人が、自分が尊敬し憧れる人になって、学生の前でちらちらっと本の表紙が見えるように読んでいたら・・・。僕だったら、そっちの方が読むと思いますよね(笑)。

中村:西野さんが20歳前後の頃、どのような本を読まれていましたか。

西野:というか、僕ね、25、6歳くらいまで本読んだことってないんですよ。 読んだのは図鑑ぐらいですね(笑)。本当に小説とか全然読めなくって。「本読め!読め!」って言われてたんですよ。それに対しての拒否反応がすごくて、読めって言われると、随分読む気なくすんですよ。本って、そもそも娯楽だと僕は思うのですけれども・・・(笑)。 例えば、バスケットしたいとか、美味しいもの食べたいとか、その流れで本読みたいとか思ってたんです。どっかからか順番が、賢くなりたいのなら新聞読めとか、偉くなりたかったら本読めとか、そういうふうになって、それがいやだなあと思ってね、25、6歳まで一切読んでない。王貞治さんの伝記と、エジソンの伝記と、あと海洋図鑑、恐竜図鑑、まあ10冊にもならない(笑)。すごい馬鹿な奴です、僕は・・・。

中村:では、25歳の頃に本を読もうと思った大きなきっかけがあったわけですね。

西野:本を書く機会が回ってきたんです、自分に・・・(笑)。やばっ!と思って・・・。本を書くも何も、自分のレベルがよく分からないじゃないですか。みんな、どんな本を読んで、どれを面白がってるのか、よく分からないから、その時ヒットしていた本を全部読んでみたんですよ。それから読むようになりましたね。だから、必要に迫られてです(笑)。

中村:先程のお話では、本は「娯楽」であって、追い詰められて読むものではないという状況下で、そういうふうに本を読むようになったということをお伺いしたのですが、本を読むようになって・・・ 例えば書店に行って、これは自分読みたいなと思うような本を、自分の直感に従ってとるのか・・・、西野さんの本のとり方・選び方を教えてください。

西野:自分の好きな人が読んでいる本です。自分の好きな人が面白いと言った本しか読まないですね。

中村:又聞きのような感じですね

西野:そうです、そうです!やっぱり一番信用できるなあと思うんです。本に限らず、映画とか観にいくときも、自分が好きな人、この人の「面白い」と思うものを観るようにはしていますね。だから 結構、幅広いです。小説から哲学書など、幅広いですね。

中村:他のインタビューされた記事などを拝見させていただいたのですが、ギリシャの哲学のお話をされていらっしゃいましたね。本当にジャンル問わず幅広いなと感じました。

西野:ああ、あれですね、アドラーの、『嫌われる勇気』とか、そういう本かな? ギリシャ哲学すごく面白いですよ。自分が好きになったらやっぱり読みますね。勉強とかもそうだと思う。 僕、学校つくったんですよ。その学校のルールはね、先生が全部教えないっていうね、きっかけだけくれて、「あと自分たちでやって」って。 授業中に、先生が後ろを向いて、黒板に向かって、字書きながら「ほんでな、ほんでな・・・」って言ったって、全然聞く気にならない。もっと前を向いてしゃべってよとか思って。それで、「メモれよ」と言われて、ずっとノートにメモるだけの授業。「なんやこれ!」って思ってて。 でも、タイノジの大谷さんの音楽の話とか、茂木健一郎さんの脳科学の話とか、直に聞いたらすごい面白くて。この間東京都知事に立候補した家入一真さんが、「哲学面白いですよ。」って説明してくれて。その話が、すごく面白くて次の瞬間から、自分で哲学の本を漁って前のめりになって読んでるんですよ。人にもの教えるときとか、なにか薦めるときっていうのは、一から十までしゃべっちゃだめで、すごく面白いことをしてる人が「これ、いいよ」って言うだけでいいんだと思いましたね。最近は恐竜にはまっています!あと、UFOにはまってます(笑)。

中村:UFOにはまっている!(笑)。そういう本を読まれているということですよね。

西野:この間、時間が空いて、今日なんか1つ調べようと思っていたら、そもそもUFOってなんやろとふと思って、それでネットでUFOについて調べて、我慢ならなくなって、図書館に行って、それっぽい本を読み漁って、丸一日UFOに費やした。今、一番熱いのUFOですね。

中村:恐竜からUFO・・・(笑)。

西野:そうですね、今、UFOすごく面白いです。その次に 言語が非常に少ない部族がいるのですが、右とか左とかの概念もないくらいの。この人たち、どうやって生きてるんやろ、みたいなすごく面白い部族がいるんですけど、多分、世界で一番言語の数が少ない、その人たちのことをずっと調べたりとか。哲学、部族そしてUFO(笑)。

中村:すごい流れですね。

西野:UFO、面白いですよ。

中村:そう考えると、今、芸能活動、すごい幅広くやられていると思うんですが、インスピレーションというか、アイデアのわかせ方というのは、そういう幅広さから来ているようなところもあるのですか。

西野:そうなんですかねえ(笑)?  まあ、ゼロから生み出すという、そんなものはないと思います。やっぱり、何かしらの組み合わせだと思う。 例えば、漫才にしたって、マイクがなきゃいけないし、相方がいなきゃいけないし、まず日本語がなきゃいけないし。 だから、ゼロからものつくるってことはなくて、組み合わせでしかない、ものが生まれる時って。その組み合わせでいかにつくるか、ということだと思うのですが、そうなったときに、引き出しは多いほうがいいですよね。最終的に僕は絶対面白いことをしたいのですけれども、引き出しは絶対多いほうがいいから、そのときに例えば、芸人だったらこうすべきとか、会社員だったらこうすべきとか、大学生はこうすべきみたいなものってあるじゃないですか。そこからはみ出したときに、おまえ芸人のくせにとか、大学生のくせにとか、社会人のくせに何やってるんだと言われると思うのですが、そこを守っちゃうと、ずっと5個しかない。5個の引き出しの中で何とかしなきゃいけない。どんどんオリジナルなものが生まれにくくなるから、なるべく「何とかのくせに」という言葉、声は無視して、いろんなところに行くようにしています。それで、いろんな人に会って・・・、それで、最終的にそれがお笑いに還元されたらいいなあと思って。 結構、だから僕インスピレーションっていうか、いろんな人に会っていろんな話聞いて、いろんなことをしていろんなことを思い知って。それを出していくようにしますよね。だから、すごい炎上するんですよ、Twitterが!(笑)。 でも、面白いことしたいから、やっぱ。出して行かないとなあと思って。だからもう、アーティストの方にも会いますし、都知事候補にも会いますし。起業家の方にも会いますし、ホームレスの方にも会いますし。もういろんな人に会うようにしていますね。