著名人インタビュー 片岡鶴太郎さん

「一度きりの人生 どう考えどう選びどう志に向かって生きるか」

お笑い芸人、俳優、画家、プロボクサー、ヨガなど多様な人生を歩んできた片岡鶴太郎さんにインタビューをしました。自分の人生をどう考えて決めて実行してきたのか、その過程にあった想いについてお話いただきました。

インタビュイー

片岡 鶴太郎さん
(太田プロダクション)プロフィール

聞き手

  • 小島 望
    (全国大学生協連 学生委員長)
  • 久保 日菜子
    (全国大学生協連 東京ブロック副学生委員長)
  • 小林 伊吹
    (全国大学生協連 東京ブロック学生事務局)

これまでの歩み

片岡さんは、これまで色々なことをされていると思います。お笑い芸人ならお笑い、俳優なら俳優、芸術家なら芸術家という生き方が一般的かと思ってしまうのですが、片岡さんの場合はジャンルの違うことをされているなと思います。

人生が長い中で、お笑いをやった上で今はヨガという選択もされていて、どういう風に自分の中で選択して、決めているのかお聞きしたいです。

それは他の方から見るとものすごく不思議なことに思いますかね?

少しは思います。

物心ついた時、小学校4年生くらいの時には「お笑いをやりたい」と思った。日暮里の生まれなので、下町ですから上野、浅草とか寄席が近かったんです。

父親がものすごく落語が好きで、土日になると浅草・上野の寄席に連れていかれて落語を聞いたり、漫才やモノマネなどを見ながら育って、子供の頃ですから前座くらいの話は大体5分か10分くらいの話なので、なんとなく覚えてしまいましたよ。

覚えて家に帰って座布団ひいて一席やったりすると、ものすごく両親が目を細めて喜ぶんですよね。

やっぱりお笑いというのは、こうやって人を楽しませることが出来るんだ、私の中で芸人さんを見ていた時にやっぱりカッコいいなと思ったんですね。

お笑いの人を見ていろんな捉え方があると思うんだけど、あんな馬鹿なことをやってという親もいるかもわからない。

うちの父親は落語が好きで、落語の造詣も深いのと同時に落語家さんに対してリスペクトしているという部分があるから、そのまま私も落語家さんに対しては、ある種の尊敬の念とかを抱いていて、やっぱり凄いなと思っていました。

好きな演者さんが終わると裏の楽屋口に行って、子供だから怪しまれずに済むんです。

師匠に「サイン欲しいんですけど」って言ったら、皆さん快く書いてくださって、その高座から降りてお弟子さんに着替えながら「おう、見に来たのかい」なんて言いながらサインしてくれるその姿がね、高座とはまた違う、なんとも言えない格好よさがありましたね。

大人の世界だなって。舞台ではボケていた師匠が裏に回るとやけにハンサムで、格好いいなと思っていました。

そういう憧れと、格好いい、自分も人を笑わせる人になりたい、芸人になりたいって小学校4年生の時に思っていて、将来の志というものを持つのは幸いにして早かったですね。

それで2年経った小学校6年生の卒業文集には自分の将来について皆書くのですが、「パイロットになりたい」とか「八百屋になりたい」とかいろいろある中で、僕は「将来はモノマネを研究して芸能界に入りたい」って書いていましたね。

そして、小学校を卒業して高校まで行って、それで大学という選択肢は僕にはなかったので、早く社会に出たくて、早く芸人になりたくて、高校の卒業免状をもらったらすぐに弟子に入りにいくという選択でしたよ。

芸人になりたくて師匠のところに弟子に入りして、3年鞄持ちをやったりいろいろやって、少しずつテレビに出始めたのは25、26歳くらいでしょうか。

26歳の時に「ひょうきん族」が始まって、それでマッチをやり始めて、ちょうどそのマッチが売れ始めた頃にテレビに出始めた。

お笑い芸人として売れたいという気持ちしかなくて、その後いろいろとボクシングをやったり、絵をやったり、役者をやったり、ヨガをやったりなんていうことは、最初から考えてなかったですね。

役者をやりたいというのは同時進行でありましたけれどもね。そんなふうにして、芸人の時代を32歳くらいまで続けました。

子供の時から芸人と同時にボクシングも好きでね、いずれはやってみたいと思っていたんだけれども、ボクシングは打ち合わないといけないから、それで怪我すると、番組に穴をあけたらまずいと思うよね。現実問題、ジムに通う時間もなく、32歳まで過ごしていました。

テレビに出始めて5、6年くらい、32歳になった時、無茶苦茶忙しいので仲間と仕事終わるとお酒を飲んで食事して朝まで遊んで、それで1、2時間睡眠をとって、出発の5分前に起きて、そのまま仕事に出て・・・・運動も何もしないので、ブクブクに太ってしまって、32歳の時にこれはこのまま死んじゃったら全く後悔が残るなと身にしみました。

同時にドラマの方もやりたかったので、一回お笑いに区切りをつけてドラマで役者をやりたいと思った。

それにはバラエティ仕様だったポチャッとした肉体におさらばしないとドラマでは通用しないなと考えたのと同時にやりたかったボクシングでプロのライセンスを取るということ、それをやるには肉体を管理しないといけなくて。当時65 kgあったんですよ。

僕の身長で65 kg はかなり小太りの方で、僕の身長だとやっぱりボクシングの場合は52㎏級です。

だから15㎏くらい落とさないとまずいし、役者としても今までの「ポチャッとしたつるちゃん」というのを一回全部捨てて、新たに役者としての肉体と精神を持たないといけないので、そこでボクシングのプロライセンスを取るということと身体を締めていくということが合致するわけですね。

それで32歳の時に1年かけて13、4㎏くらい落としながら体を鍛えていって、ボクサーとしての身体、心身を鍛えると同時に、役者として対応できるような肉体に改造していったんですね。

当時ボクシングのライセンス取得って33歳までだったんですよ。だから32歳から1年間で取ってしまわないといけない。これがラストチャンスで、逃したらもう一生のうちにないので、何が何でもそこで取らなければ、後がないんですよね。ですから、この1年間は賭けましたね。

人よりも不器用なので、他の人よりも練習量は多く5時間から7時間やりました。食事もそこから、それまでは4食も5食も食べてたのを2食にしたりして。

ボクシングの練習に入った時から友達をなくしましたね。申し訳ないけど夜の飲み会は付き合わないとか。

それで52㎏まで体を締めた。ライセンスを取って、そこから役者の方へ出ていくわけですけど、もちろんお笑いを捨てたわけではなくて、役者の方でやっていきたいという想いがあって、そちらに賭けましたね。

30代はボクシングと、役者の方では物凄く自分がやりたい役、主演を多くやらせていただいて、非常に充実した30代でしたが、40代前になるとね、ちょっと過渡期になるんですね。

今までやっていた役から40、50代になってくると、ちょっと毛色も変わってくるしね。なんだか役者だけでは満たされない、自分の中のやりたいこと、そのやりたいことがなかなか見つからなくてね。

そしてまたドラマの撮影があるので朝5時に自宅を出るんですね。その時、後ろの方で気配がして、そこに赤い花が咲いていてね、それは後に分かることなんだけど「椿」だったんですよ。

椿の花を見て、柄にもなく花に感動して、今まで絵なんて描いたことなかったんですけど、こんなに感動させる花や絵をもって表現できたら、「なんて自分は素敵な人生になるんだろうな」と思って。

絵を描いたことないんだけれども、絵を描いてみたい、描ける人になりたいと思って、それで独学で絵を描くんですね。

自分の魂がやりたいと思ったことに躊躇なく着手するというのは、自分の中で一つの掟みたいなものがあって、それをやってきたことでいろんなプレゼントやギフトがあって、まさかの展覧会をやらないかという話にもなった。

それで絵の世界が広がって、40歳50歳では絵とお笑いと役者とが上手く回っていった。

次に57歳の時に、自分の中で生きていく指針となる哲学みたいなものを、もっともっと学びたくなって、自分が哲学を持ってないと絵も書も役者としても立ち行かないなという想いになったもので、それで瞑想をやりたいなと思ってね。

尊敬する方々の文献を見ていくと、瞑想というのが出てくるわけですね。それがキーワードになっているんですよ。

ブッタ、空海、ビートルズ、クリント・イーストウッド、スティーブ・ジョブスも、みんな瞑想をやっているんですよ。

瞑想ってどういうものなのか、そんなにいいものなのか、 もし私がやったらどうなるのか、これは人体実験したいなと思ったんですね。

それで瞑想をやりたいと密かに思っていたんだけど、誰に言ったらいいのか分からなかったのですが、たまたま瞑想をやられている信頼の出来る知人がいたので、日本だったらこの先生がいいでしょうという先生をご紹介いただきました。

先生からは「瞑想というのは、瞑想だけやるわけにはいかないんです。瞑想というのは実はヨガの8ブロックある中で最終ブロックにあたるので、ヨガというものを全体的にやらないと辿り着かない。最後の精神性が瞑想なので、前半戦は肉体的なことをやって肉体を整えていって、それから精神世界の瞑想に入っていくから、ヨガ全体をやらないと瞑想だけってわけにはいかないんです」と。

「どうですか?」と言われて「分かりました。お任せします」と言って、それで7年前の57歳のときに、ヨガ・瞑想に入っていくんですね。

それから毎日毎日の鍛錬が始まって、57歳の10月5,6日に先生と会ってヨガを始めてから、今日まで1日も休んでないんですよ。

4時間半ぐらいかかるので、今朝も1時起きです。それをほとんど毎日、絶対しています。毎日。それをやって一日の始まりがあって、今日皆さんとお会いできる状態になるわけですね。

ですから、そういう今までの流れなんですけども、何か質問ありますか(笑)。何かおかしな人生でしょう。

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