激甚災害支援・防災

ボランティア活動を通じて 学生の社会参加を促進する

学生の社会参加を促すために、ボランティア活動を紹介する大学が増えてきています。 中には、県や市の社会福祉協議会(以下、社協)と結んで、地域の活動に参加している学生たちもいます。 今回は、東日本大震災発生より、多くの学生を全国大学生協連の復興支援ボランティアに派遣いただいた 鹿児島大学ボランティア支援センターについて、白坂義浩さん(学生部学生生活課課長代理)にお話を伺いました。

ボランティア 支援センターを拠点に 「進取の気風」を養う

『震災学』(東北学院大学/荒蝦夷)

鹿児島大学では、平成20年度を「ボランティア元年」として位置づけ、共通教育科目として「ボランティア論」を開講しました。講義でボランティアの精神を学び、実際のボランティア体験を通じてその意義を学ぶことができます。あわせて、教職員や学生のボランティア活動をサポートするために「鹿児島大学ボランティア支援センター」(以下、センター)が設置され、大学と地域を結ぶ拠点が出来上がりました。

2011年4月から始まった全国大学生協連の震災復興支援ボランティアには、2013年夏季までに鹿児島大学から77人の学生が参加しました。

「社会に役立ちたい」 という学生の気持ちに 応えるために

2013年度には、センターの持つ「ボランティア関連授業科目」の中に、水産学部の西隆一郎先生の「手話入門」(後期) があり、96人が登録しました。

それと「ボランティア論」を水産学部の藤枝繁先生(前期)と農学部の平瑞樹先生(後期)が受け持たれ、純粋なボランティアの単位としてはその二つがありました。
センターでは、実際のボランティア活動として、被災地復興支援だけでなく、日常的な地域のボランティア活動を紹介しています。

鹿児島市と鹿児島県の社協にもお世話になっており、そこから大学に依頼を頂いています。外部から直接依頼を頂く場合も結構あります。依頼については、登録している学生にメールで連絡します。登録していない学生には、掲示する形で見てもらいます。
学生の「何かをしたい、社会のために役立ちたい」という気持ちを大学が介在して形にするというのはとてもいいことだと思います。

社協の中にはボランティア専門の部署があって、さまざまなボランティアを紹介していただけます。学生の中には、センターを通さずに直接社協に申し込む人もいますが、大学としてはセンターを通すように呼びかけています。それは、実際のボランティア活動の場合、安全性への配慮が必要になるからです。大学として、安全面については、学生は社協のボランティア保険に大学の費用負担で加入させています。
災害ボランティアの場合は少し厳しくて、申請書を提出させて、所属学部の指導教官の印鑑をもらうシステムになっています。災害当初は瓦礫も多く、釘の踏み抜きなどの危険があったので、大学から安全靴も用意しました。そのほかの災害ボランティア用具も貸し出しました。
今はそういう状況ではなくなってきたので、子どもやお年寄りの話し相手になって、心のケアの役割を担っています。

大学生らしい復興支援のボランティア活動として、お年寄りの話し相手をしたり、子どもたちの学習支援をする活動は、大学生にとっても貴重な経験になっていると思います。心のケアについてはこれからも長いとりくみになっていくと思いますが、阪神・淡路大震災も含めて忘れてはいけないことでもあります。
鹿児島大学では、復興支援のボランティアは2012年がピークでした。学生主体の報告会を企画し、大学も協力して学園祭で講義室を使って開催しました。

ボランティアに参加する学生は意識が高いです。大学では、復興支援ボランティアに参加する学生には、旅費程度の支援を行いました。そのことも参加学生増加の一助になったと思います。

また、鹿児島は南に離れているので、大学生協からの情報や東北のNPOの情報がとても参考になりました。中には新幹線で向かう学生もいましたが、大学生協連が用意してくれたボランティアバスは大変助かりました。大学生協からの呼びかけは、全国からのボランティア参加に貢献したと思います。

日常的なボランティア紹介について

『東北学院大学by AERA』(朝日新聞出版)

社会参加という意味では、地域にいろいろなボランティア活動の需要があります。どこまでがボランティアなのかという疑問もありますが。鹿児島はお年寄りが多いので、そういう方の話し相手などはよく募集があります。全国どこでもそういう需要はあるかと思います。

学生たちのボランティアサークルは非公認も含めて20団体くらいあって、それぞれ主となる活動があります。一例としてエコキャップの回収や環境美化に取り組んでいるサークルもあります。

春には1年生への意識向上も兼ねて、ボランティア団体の紹介なども行っています。毎年、ボランティア登録をしてもらうのですが、約9千人の学部学生の内、登録するのは1割ぐらいです。そのときの時代背景も左右するかと思います。センターでは、普段は外部から来た情報を提供していますが、今後もあらゆる機会を通じてボランティア活動への参加をサポートしていく所在です。

(聞き手 編集部)

平成24年度 ボランティア募集掲示依頼一覧(一部)

依頼日 ボランティア活動の名称 団体名 団体分野 ボランティア分野
4月6日ボランティアリーダー募集!財団法人鹿児島YMCA法人養成・研修
4月12日ミャンマー・カンカウン村に中学校を建てよう!農学部学生学内国際協力ボランティア
4月12日ゆるキャライベント サポートスタッフかごしま活性化地域創生会法人地域協力・街おこし
4月 日鹿児島市科学館南極展 追加募集工学部 教授学内教育補助
4月16日ボランティアでまちをうつくしく鹿児島市社会福祉協議会社会福祉協議会環境ボランティア
4月24日サンフランシスコNPOボランティア体験プログラムJPRN法人養成・研修
4月24日ゴミ拾い(潮干狩り)SCP学内環境ボランティア
4月26日PCリユースボランティア学術情報基盤センター学内災害支援ボランティア
4月27日チャイルドラインかごしま「電話受け手」養成講座チャイルドラインかごしま団体養成・研修
5月7日鹿児島大学のまわりをぐるりとごみひろいまるごみ薩摩(学生)学内環境ボランティア
5月7日マカオ・香港大学との交流プログラムKAPICセンター法人国際協力ボランティア
5月9日大阿蘇青少年リーダー塾国立阿蘇青少年交流の家国県市町村養成・研修
5月10日災害ボランティア研修会鹿児島市社会福祉協議会社会福祉協議会養成・研修
5月11日少年警察ボランティア 大学生少年サポーター鹿児島県警察本部国県市町村教育補助
5月15日ふれセン・ボランティアセミナー県立霧島自然ふれあいセンター国県市町村養成・研修
5月15日期日指定ボランティア鹿児島市社会福祉協議会社会福祉協議会地域協力・街おこし
5月15日おおすみくん家ボランティア養成研修大隅青少年自然の家国県市町村養成・研修
5月15日八重山高原星物語学生学内教育補助
5月16日幼稚園訪問ボランティアSCP学内教育補助
5月21日カンボジアへシャボン玉をボランティア個人個人(学外)国際協力ボランティア
5月21日アンコール大学夏期インターシップ日本アジア交流財団財団養成・研修
5月21日サマーボランティア鹿児島市社会福祉協議会社会福祉協議会地域協力・街おこし
5月24日Hiroshima peace camp 2012広島市国県市町村地域協力・街おこし
5月24日夏休みボランティアリーダー募集しぜん あそ・まな・くらぶ法人教育補助
5月28日ワークキャンプ・スタディーツアーCFFジャパン法人国際協力ボランティア
5月29日法文学部清掃ボランティアSCP学内環境ボランティア
6月4日ゆうあい館夏祭りゆうあい館国県市町村障害者支援
6月5日乙武さんの講演会エンブリオ団体障害者支援
6月7日青少年研修センターボランティア養成講座青少年研修センター国県市町村養成・研修
6月13日オープンキャンパス企画 Muse cafe ガールズトーク鹿児島大学男女共同参画推進センター学内その他
6月21日子どもふれあい事業学生学内教育補助
6月21日サマースクールハッピー スクラム法人障害者支援
6月22日学生ボランティア団体支援財団法人 学生サポートセンター財団その他
6月26日子どもミーティング鹿児島市市民局市民部国県市町村教育補助
6月26日大一会夏祭りボランティア社会福祉法人 大一会法人障害者支援
7月2日夏の村おこしボランティアNPO法人 ECOFF法人地域協力・街おこし
7月6日お泊まり療育ボランティア発達支援センター ひえこば法人障害者支援

(Campus Life vol.38 より転載)