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2017年05月10日(水) | 新着情報

『読書のいずみ』 座・対談 「「伊坂幸太郎」というジャンルを紐解く」
伊坂幸太郎さん インタビュー



伊坂幸太郎さん(小説家) VS 
母里 真奈美さん(東北学院大学教養学部2年)  北岸 靖子さん(奈良女子大学博士研究員)
 

1.『チルドレン』からふたたび

北岸
まずは昨年出された『サブマリン』についてお聞きしたいと思います。『チルドレン』(2004 年)のあと『サブマリン』(2016 年)までだいぶ間が空きましたが、いずれシリーズで長編小説を書こうと考えていらっしゃったのですか。

伊坂
いえ、それはなかったんですよ。僕はもともとシリーズもので書くのは得意ではないんです。毎回新しい物語を書きたいと思っているので。『チルドレン』はデビュー直後に編集さんから「短編を書きませんか」と声をかけられて雑誌に載せてもらったのが最初で、そうやって何度か続けて書いていった短編をまとめた本でした。今回は 10 年ぶりに編集さんと「また何かやりましょう」ということで、初めは別の話を書くつもりだったんです。でも、二人で打ち合わせをするうちに少年犯罪の話になって、それをやりたいなと思って、それで『チルドレン』に出てきた陣内君を登場させて長編の話を書くことにしました。

母里
『サブマリン』が『チルドレン』の続編ということだったので鴨居君が主人公だと思って読み始めたのですが、最初に武藤さんが出てきたので、ああ武藤さんが中心なんだと。

伊坂
少年犯罪を書きたかったので、家裁調査官の武藤君に出てもらって、そこに編集さんのアドバイスで永瀬君にも登場してもらいました。初めはみんなが集合してくると都合が良すぎるのであまり書くつもりはなかったんですが、まあそれもいいかと。
 

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