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2015年04月13日(月) | 新着情報

読書のいずみ「座・対談」
辻村深月さん(小説家)インタビュー 「作家生活10年、これからも……」

辻村深月さん(小説家) VS  髙橋元紀さん (名古屋大学大学院M2) 北野晶子さん (信州大学農学部4年)

1. 家族の物語

髙橋 『家族シアター』を読ませていただきました。私はおじいちゃんと孫の関係を描いた「孫と誕生会」が好きで、ラストでおじいちゃんが孫に語りかけるシーンが気に入っています。

北野 私が大好きなのは、「タマシイム・マシンの永遠」です。ひいおばあちゃんが言った「覚えててね」という言葉に感激して、そのあとが読めなくなってしまい、数時間置いてから読みました。最後は涙なしには読めませんでした。

辻村 嬉しいです。お二人ともありがとうございます。

北野 この『家族シアター』には姉妹の話がいくつか入っていますが、辻村さんご自身、姉妹というものに思い入れがあるのかなと思ったのですが。

辻村 私は二人姉妹の姉のほうなんですが、姉妹で衝突をしたときのことを記憶の中から引っ張り出してみたり、そのときの妹の気持ちはどうだったのかと想像してみたり、自分が経験していない姉・弟という関係でも同じことがあったりするのではないかと思って、そういうところから広げていきました。また、今回の短編集では家族のいろいろな立場から書きたいなという気持ちがすごく強かったので、おじいちゃんやお母さんの立場からも書いています。今までは、孫とおじいちゃんの関係なら圧倒的に孫の気持ちのほうがよくわかるし、お母さんと娘の関係では鈍感なお母さんに苛立つ娘の気持ちのほうが強く理解できていたのですが……。

北野 経験していますからね。

辻村 そう。でも今度は「おかあさん、ムカつく」と言われるお母さんの気持ちとか、孫に無神経なことを言ってしまうおじいちゃんの気持ち、息子の機微を理解してくれていないお父さんはどんな気持ちだったんだろうか、とか、自分のわからない家族の立場になって書いてみようと思ったんです。

 

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