2015年06月15日(月) | 新着情報
この夏はどのようにすごされますか? アルバイト、旅行、研究、ダブルスクール、サークル、そして就活。時間がとれたときには、エアコンの効いたお部屋でのんびり本を読んで過ごすのもいいですね。そんなときのための、このコーナー。『読書のいずみ』編集部がピックアップした20点を、第10回読書マラソン・コメント大賞の応募コメントとともにご紹介します。
あなたはそこに……とても短い恋愛小説に一瞬のぬくもりを感じた。そして、永遠があった。淡い色使いの絵と一編の詩が一体となったこの一冊。数分で読めてしまうこの一冊。彼に私は時折救われる。周囲の言葉から、考えから、視線から自らを守りきれずどうしようもなくなったとき、彼は優しく語りかけてくれる。多くを語らないからこそ、胸に響くものがあるように思う。24歳の大人が救われるのだ。性別、年齢、様々な人がそれぞれの感性で詩と絵を味わってほしい。
(立命館大学/色ざんげ)
ロラン・バルトは「良い文学も悪い文学も存在しない」と論じ、読者の「読み」こそが「文学」を作るのであって、文学そのものに良し悪しはないのだ——それは「作者の死」の宣告であると同時に、読者が矢面に立って文学を守る必要性の確立でもあった。1968年のその論考から遡ること40年余り、1929年にヘッセが発表した“夜の慰め”に「書物」という詩が収められている。ヘッセはここで既に、「おまえ」に歌い上げている。幸福は書物の中ではなく、「おまえ自身の中に宿っている」のだと。つまり、私達の中に。
(早稲田大学/高村 暦)