俳優 筧 利夫さん インタビュー

「なぜ?」を掘り下げ進路への思いを明確に

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俳優
筧 利夫 さん

大学時代の経験を糧にして、やりたいことを実現させていくには、どのような心構えが必要なのだろうか。中学生のときに俳優になることを決心し、大阪芸術大学在学中から俳優としての活動を始めた筧利夫さんに、高校生と保護者へのアドバイスを語ってもらった。

かけい・としお 1962年静岡県生まれ。大阪芸術大学舞台芸術学科演技演出コース在学中に、いのうえひでのり主宰の「劇団☆新感線」に参加。その後、鴻上尚史主宰の「第三舞台」に参加し、1980年代の小劇場ブームの中心的存在となった同劇団において、数々の主要な役を演じる。以来、『飛龍伝』『幕末純情伝』などのつかこうへい作品や、ミュージカル『ミス・サイゴン』など、舞台出演多数。大河ドラマ『おんな城主 直虎』をはじめ、テレビドラマや映画でも幅広く活躍。情報番組やバラエティー番組のMCも務めるなど、活動は多岐にわたる。著書に『群れずに生きる』(角川書店)。

大学での出会いが道を開いた

 「僕は俳優になります」と宣言したのは、中学の卒業式の日でした。言ったからには実現させたかったので、大阪芸術大学の存在を知ったときは「ここしかない!」と。普通とは違うことができたらカッコいいという思いが強かったですね。

 大学では少林寺拳法部に入りました。アクションの演技の勉強になるだろうと考えていたのですが、入ってみたら先輩が厳しくて、朝練・昼練・夕練と1日に6時間近く練習するから、大学の講義にもなかなか出られない。それでも実技の授業だけは出席して、大学1年の後半からは学外の劇団での自主公演もスタート。飯も食わずに走り回るような日々でした。

 その後、「劇団☆新感線」の主宰者である、いのうえひでのりさんが同じアパートに住んでいた縁で、新感線の公演に参加するようになりました。大学に入ってみたら周囲に才能のある人たちがいて、気がつけば俳優人生が始まっていたというのが正直なところです。

 大学4年のとき、「第三舞台」のオーディションを受けるように勧めてくれたのも、いのうえさんでした。どんな道を進んでも俳優を志していたとは思いますが、大学時代の出会いがなければ、僕の人生は今とは違ったものになっていたかもしれないですね。大学にはいろいろな人が集まってきますから、自分に大きな影響を及ぼす人に出会えるチャンスも多いように思います。

自分で自分を追い込んだ日々

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 数百人規模のオーディションを突破して第三舞台に入ったものの、すぐに大きな壁にぶち当たりました。それまでは演出家の指示通りに動くだけだったので、いざ「自分でやってみて」と言われると、何もできない。このままではダメだと思い、映画を見て本を読み、ダンスも習い始め、自分で自分を追い込んでいくようになりました。

 第三舞台では、稽古が終わった夜9時頃から皆で公園に集まって、次の日に稽古する場面をひたすら練習していました。稽古場は「稽古をする」ところではなく、努力した「結果を見せる」場なんです。中途半端な演技では認めてもらえないので、「負けないぞ!」という一心で週7日ダンスやバレエのレッスンに通い、バク転ができるように器械体操も習いました。大阪公演を終えて東京に帰ってきたその日にダンスの練習に行ったこともあります。

 人から言われるのではなく、自分自身で「やるしかない」と思わないと、本気にはなれないんですよね。自分を追い込んでいく中で、「ここまでするヤツはいない」と思えるくらいのことをしようという自主性が芽生えたような気がします。

英語力と体力を身につけて

 高校生の皆さんには、英語を話せる力を身につけておいてほしいと思います。2020年には東京五輪も開催されますし、将来どんな仕事に就くにしても、英語が話せることはコミュニケーションの基礎になるはずです。

 そして、部活などで体を鍛えることも大切です。大きな声では言えませんが、僕は高校時代、授業をサボることはあってもバスケットボール部の練習には欠かさず参加していました。当時は俳優がこんなに体力を使う仕事だとは思ってもみませんでしたが、学生時代に体力を身につけておいたことは間違いなくプラスになっています。

「お前、本気か?」心に響いた兄の言葉

 保護者の方は、「なぜその大学に行きたいのか」ということを、ぜひお子さんに聞いてみてください。僕は高校生になって具体的な進路を考え始めたときに、「調理師専門学校に行こうかな」と心が揺れたことがあったんです。そのときは「お前、本当にその学校に行きたいのか?」という兄の一言でハッと我に返り、「俳優になりたい」という自分の本当の気持ちと向き合えるようになりました。兄の言葉がなかったら、「進学できればどこでもいいや」という安易な考えに流されていたかもしれません。

 進学や就職といった節目では、自分自身の希望について、「なぜそう思うのか」を掘り下げて考えることが重要だと思います。大学選びはその第一歩ですから、保護者の方が「なぜ?」と問いかけることで、お子さんが進路についての考えを深めるきっかけを作れるとよいのではないでしょうか。

よしもと新喜劇映画

女子高生探偵 あいちゃん

あいちゃん

出演/酒井藍 川畑泰史 谷川愛梨 内木志 村瀬紗英 楊原京子 田畑智子 筧利夫
監督/中村和宏

©2017吉本興業


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