大学生協のたすけあい保障制度

学生に寄り添う 大学生協共済の 発展のために

全国大学生協共済生活協同組合連合会 専務理事 寺尾 善喜

「声と参加」で 地力を高め 共済を広げる

全国大学生協共済生活協同組合連合会 専務理事 寺尾 善喜

2015年6月1日付けで全国大学生協共済生活協同組合連合会(以下、「共済連」)の専務理事に就任しました。期せずして非常に大切なタイミングで着任したとの実感とプレッシャーを禁じえません。今年は、大学生協が共済事業を始めることを前提に学生のための保険の共同購入を始めた1980年から35周年(共済事業立ち上げは1981年)であり、全国大学生活協同組合連合会(以下、「連合会」)の一つの事業部門であった共済部を事業分離し、法人としての共済連を創立(登記完了)した2010年6月22日から5周年の節目です。

人生に例えると、満5歳の共済連は、まさに小学校に入学する手前の「読み書きのチカラ」をつける時期です。いくら日本で最小規模の協同組合共済団体とはいえ、加入者・組合員を守るため、社会的・法的に求められる業務品質を身につけることは必須の課題です。また、大学生協の共済事業(以下、「大学生協共済」)としては、これから37歳(女性の厄年)を乗り切り、42歳(男性の厄年)に向けて「体質を改善し強めるチカラ」を養成する大切な時期でもあります。学生を対象とした保険商品や若年層を対象とした協同組合共済の普及が進む中で、「学業継続」に主眼を置いて「大学の中で一番の保障」としての大学生協共済の普及と推進をたゆまず進めていく努力なしには、そうたやすく年齢を重ねることはできないと肝に銘じています。

これからの大学生協共済に欠かせない「地力」を、学生を主軸とした大学生協組合員の皆さまはもとより、幅広いステーク・ホルダーの皆さまの「声と参加」を養分にして成長を続けていく。そして大学生協共済をさらに広げていく。そのことを目指す「第7次中期計画」(2016年~2018年)の重点課題と目標の設定を、共済連総会(12月)の議決に向けて、会員生協の皆さまとご一緒に紡ぎ上げることが、まず私に課された任務の骨格をなすものと認識しています。

共済事業は大学生活を根底から支える事業

私は、協同組合共済の一般的な定義としては、私たちの生活を脅かすさまざまなリスクに対して、組合員があらかじめ一定の「共済掛金」を拠出して協同の財産を準備し、不測の事故が生じた場合に「共済金」を支払うことによって、組合員やその家族に生じる経済的な損失を補い、生活の安定をはかる相互扶助(たすけあい)の保障の仕組みという言葉でとらえています。大学生協組合員のための最適な保障の仕組みの骨格をなすのが大学生協共済です。そして大学生協共済では備えきれないリスク分野を、大学生協の「オーダー・メイド型の学生向け保障商品(コープ商品)」を保険会社から共同購入する方法で補強し、「五つの総合的な保障の仕組み」〈生命共済・火災共済+学生賠償責任保険・扶養者死亡保障保険・学業継続費用保険〉を構成しています。私は、この保障の仕組みは大学生活を根底から支える事業であると考えています。この「根底から支える」という意味を大切にしたいと思います。

大学生協の主要事業(住まい事業・購買事業・食堂事業・書籍事業・サービス事業・学びと成長事業)は、そのおのおのが学生の健全な成長を支援する役割を積極的に期待されています。一方で、大学生協共済を軸とした総合的な保障事業が対象とする「不測の事態」は、学業継続の妨げになる要因であり、発生しないにこしたことはありません。しかしながら、ある確率で学業継続の危機となりかねないリスクは発生しており、そのような「リスクに対する対応の矢」を準備できていない、すなわち無保障の状態の学生に対する学業継続のための支援(共済金や保険金の支払いによるお役立ち)ができないという残念な事例がまだまだ残っているのも事実です。  不測の事態に備えることが、実は学業継続の要になるという意味から、共済事業はさまざまなリスクに直面する学生たちに寄り添う仕事であり、学生の生と死に向かい合う事業だと思います。そして、学業継続の側面から大学生活を根底から支える共済事業が役割を発揮してこそ、学生の成長を支援する各事業が活きてくるのだと考えます。

大学自体がすすめる保険や共済制度であれ、私たち大学生協がすすめる大学生協共済であれ、とにかく無防備(無保障)の学生を一人でも減らしていくとりくみを推進することが、大学生協共済の任務だと思います。そのことを愚直に進めていくことが、大学生協共済の広がりにつながるのだと思います。

組合員、大学、保護者、社会に貢献する 「学び」の協同

私が大切にしていることをもう一つ紹介します。この間、複数の大学の寄附講座の講師の機会を得て、二つのテーマで学生の皆さまに向けて語る機会を得ました。昨年は大学生協が消費者教育に取り組む意義について、今年は学生を取り巻くリスクに備える大学生協共済の役割について語ったメッセージの要旨です。

大学生協は、学生が、生活の改善と向上を協同組合方式で目指している、大学内の「非営利・協同セクター」です。従って、大学生協の役割発揮は学生支援であり、大学生協の行う事業(共済・住まい・購買・食堂・書籍・サービス・学びと成長など)はすべて「経済支援事業」としての側面と「学生支援事業」としての側面の両面があります。そのなかでも大学生協の五つの保障は、学生を取り巻くリスクに対する対応の矢である大切な事業です。もしも何かあったときにはお見舞い金を支払って、みんなでたすけあう。その上で、リスクの軽減や回避に向けて、予防提案や情報共有・報告を行うことで、大学生どうしのたすけあいの輪をつくっています。大学生が学生を取り巻くリスクに遭わないための予防型活動を通じて、社会で生きていくための「社会人基礎力」の一つとしての「リスク・リテラシー」を育み、同時に、社会における存在感を実感する「体験型学習」の意味合いが広がりつつあります。

「ピア・サポート」は、仲間の苦しみを理解し、相互に気づき、たすけあう、そして、専門家や教員との相談につなげることを言います。同じようなリスクに直面する学生同士が互いに支えあう、「セルフ・ヘルプ活動」を根底として進めるピア・サポートは、学生同士の共感を得る可能性が無限大にあります。消費者教育や予防提案活動をピア・サポートを通じて体験的に学習することは、まさに「消費者市民社会人」としての学生の成長をサポートすることにつながります。大学生が、消費者市民社会人へと成長することをサポートすることを、協同組合的手法をもって推進する「ラーニング・コープ」(学びの生協)の役割を発揮していきたいと思います。


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