大学生協の保障制度

千葉大学で、大学生協共済連
寺尾善喜 専務理事による寄附講座を開催!


全国大学生協共済生活協同組合連合会
専務理事 寺尾善喜

10月21日に千葉大学で標記の寄附講座が開催されました。冒頭、寺尾善喜専務理事(大学生協共済連)より「大学生協(本体)と大学生協共済が、学生を取りまく社会的な課題に対し、協同組合という運営スタイルが有効に機能するかどうかや、学生を取りまく3つのリスク(メンタルヘルス・自転車事故・不適切な飲酒)の問題解決をどのように図っていくかということを学生の皆さんと一緒に考えていきたい」という講座の趣旨説明がありました。

大学生協と共済事業について

次に『大学生協レポート』に基づき、大学生協ならびに共済事業の概要について、以下の趣旨の説明がありました。
「全国には千葉大学も含めて約220の大学生協があり、全国大学生協連という連合会組織を構成している。その枠組みの中に、元受団体として共済事業を行う大学生協共済連がある。大学生協の使命の一つは、学生・教職員(組合員)の経済面での生活支援であるが、単に店舗の運営や商品の提供にとどまらず、最終的には学生支援に貢献したい、と想いがある。共済事業は、構成員である組合員が掛金を拠出して協同の財産をつくり、その組合員に病気やケガによる入院などの不測の事態が生じた場合に、お見舞金として還元する仕組みである。お金の流れだけでみれば民間の保険と同じだが、本質的な違いはリスクの軽減や回避などのさまざまなとりくみ、すなわち予防活動を実践していることにある。また、究極の目的は、過去の事例を最大限有効に活用して、すべての学生が病気や事故にあわない助け合いの輪をつくることである。そのように大学生協の共済事業を受け止めていただきたい」

学生生活の3つのリスクを考える

続いて、学生生活を取りまくリスクを考える前提として、以下の話がされました。
「日本のすべての大学に在籍している学生は約300万人で、そのうち約5人に1人が大学生協の共済に加入している。これは、大学生協の共済給付の数値を5倍すれば日本のすべての学生の傾向がつかめることを意味している」上記を踏まえて、学生生活を取りまく3つのリスクについて具体的に以下の趣旨の言及がされました。

〈メンタルヘルス(心の健康)〉

「大学生協の共済で直近1年間に死亡共済金を払った事例は145件あり、そのうち72件が自殺である。約2人に1人は自ら命を落としている。自殺と密接に関係すると思われる精神障害で亡くなった学生11人を加えると約5人に3人の学生が、いわゆる“心の病"に起因して死亡していることになる。平均入院日数も、精神障害は51・3日であり、精神障害を除く病気の平均入院日数9・8日の約5倍も長い。また、共済の付帯サービスである学生生活無料健康相談テレホンでは、実際に「現在は復学しているが、担当教授からアカハラを受けている」「女友だちとラインをしているが、返事がこない」「昨年の夏ごろからギャンブル依存になっている。インターネットのカジノで数百万ほど使ってしまった」「家庭教師のバイトをしている。その企業がブラック企業で、何かあるとすぐに賠償金を取ると脅かしてくる」などの相談事例が発生している。相談者の中には、追い詰められた状況で「死にたい」と口にしていたが、最後には「論文を書き上げて卒業したい」と希望を取り戻すケースもあった。大学生協の共済が立ち直りのきっかけになる事例もあることを知っておいてほしい」

〈自転車に起因する事故〉

「千葉大学にも構内にたくさん自転車があるが、多くの大学で相当数の学生は、自転車を通学や学内移動で使っていると思われる。共済の支払いデータによれば、自転車事故によって後遺障害を被った割合は交通事故全体の17%、自転車事故による入院は交通事故全体の35%である。
また、自転車事故は自分の命や身体に対してのリスクと合わせて、自分自身が加害者になってしまう大きなリスクも持っていることに特徴がある。大学生協が共済と共におすすめしている学生賠償責任保険では、実際に直近1年間で一千万円以上の保険金をお支払いした事例が3件も発生しており、賠償金が高額となるケースも決して少なくない。
また、実際にあった自転車事故の中で一番多いのが「ながら運転」である。
音楽などを聴きながら走行する、音量調節のために下を向いていた、交差点で信号待ちをしている時にスマホをいじっていた等の「ながら運転」は事故につながるケースが多いこともあわせて知っておいてほしい。
さらには、駐輪場等でドミノ倒しになった自転車が他の人の車を傷めて、賠償金の支払いを求められた事案もあった」

〈不適切な飲酒に起因する事故〉

「2014年度1年間で、急性アルコール中毒により共済で死亡共済金をお支払いしたという事例が1件あった。入院は実に97件もあった。これらの不適切な飲酒には二つの要素があると思っている。一つは飲酒を強要するというような場合、もう一つはメンタルヘルスと関係する場合である。
後者には、なぜそんなに飲みすぎたのかということに対して「卒論提出への焦りと卒業への不安で、大量に飲んでしまった」等、アルコールを薬のような形で摂取するというようなことが背景にあるのかもしれない。また、「就職先が見つからず不安になり、大量に飲酒した」というのも私たちの共済の報告にある。前者は、結果的に殺人に近いような無理な飲ませ方、後者はメンタルな側面からの過度のアルコール摂取の実態を垣間見ることができる。大学生協では、上記を踏まえて、メンタルヘルスとの関連も意識しながら、学生の不適切な飲酒事故を起こさないように予防活動を強化していきたいと考えている」

学生に寄り添い、課題と向き合う

最後に、「非営利組織である協同組合が問題解決に有効な組織であるか」、「(協同組合に)限界はないか」、という2つの側面より、講座のまとめがされました。
前者については、以下の3つの仮説が示されました。
「一つ目は、協同組合は、組織する組合員が対等な立場で自発的につくる組織、すなわち学生どうしが協力し合って問題解決のために行動し合う組織であること。二つ目は、協同組合は元来、公共的な使命を推進する性格を持っているということ。すなわち株式会社は株主や外部の出資者の意向に左右されるが、協同組合は外部の出資者に拘束されないこと。三つ目は、困った人がいるから単純に助けるのではなく、すべての組合員の生活環境、学生ならキャンパスの最適化の支援が協同組合の使命であること」

次に、後者について以下の趣旨の言及がされました。
「大学生協は学生・教職員(組合員)を対象とした組織なので、社会や地域との関係では“大学の塀の中にある組織"という特徴を持つ。また、私企業(大企業)のように多くの資本を持っていないので、資本力に物を言わせたやり方はできない」

最後に、以下の趣旨で講座の締めくくりがされました。
「非営利組織である大学生協は、自らの限界も踏まえつつ、学生の生活リスク上の問題解決へ向けて、学生に寄り添い、諸課題と向き合っていきたい」
講義終了後には、複数の学生から積極的な質疑が出され、講座への関心の高さを強く感じる講座でした。

(大学生協共済連専務理事スタッフ 藤本 昌)

『UNIV.CO-OP 411』より転載


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