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2013年12月5日
全国大学生活協同組合連合会(以下 全国大学生協連)では、2007年から毎年4月~5月に新入生の保護者を対象とした「保護者に聞く新入生調査」を実施し、2013年は125大学生協の23,510名の方から回答を頂きました。
この調査は毎年、受験から入学までにかかった費用をはじめ、受験から入学までで困ったことや、大学生活を送る上での不安などの保護者の意識と併せ、大学生協の事業に対する評価を調査しています。
さらに今回は初めて「子どもが入学した大学に今後期待すること」と「子どもを大学に進学させた理由」をたずねました。“大衆化”したと言われる現在の大学に対して、保護者が何を求めているかが明らかになりましたのでご紹介いたします。
【調査の目的】 | 新学期の大学生協の取り組みについての保護者の評価や、新入生が入学までにかかる 費用、具体的なスケジュール、住まい探しや商品購入の際の意識を調査することによ り、新学期事業の総括および次年度提案の基礎データとする。 |
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【調査対象】 | 2013年に入学した新入生(学部生)の保護者 |
【調査期間】 | 2013年4~5月 |
【調査方法】 | 郵送調査(一部手渡しの生協あり) |
【回収数】 | 23,510(回収率 31.9%) |
<図表1>
平均額について
A.出願をするためにかかった費用 | 受験料/願書を取り寄せた費用 |
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B.受験のための費用 | 交通費/宿泊費/滞在費・その他 |
C.入学した大学への学校納付金 | 入学金/授業料/施設拡充費・その他/寄付金・学校債 |
D.合格発表や入学手続きのための費用 | |
E.入学式出席のための費用 | |
F.教科書・教材購入費用 | パソコン/教科書/電子辞書/教材/その他 |
G.住まい探しの費用 | 交通費/宿泊費・滞在費/礼金・入館金・敷金/斡旋手数料/前家賃や日割分・その他 |
H.生活用品購入費用 | 寝具/家具/家電用品/自炊用品/電話加入権・配線工事費/電話機/日用雑貨・自転車・バイク/衣類 |
I.その他の費用 | 引越し代・荷物の送料/4月分の生活費/予備の貯金/ 保険料/生協出資金/お礼・お祝い返し・その他 |
○国公立1,116,500円(前年比+27,900円)・私立1,380,000円(前年比+66,900円)
○国公立1,799,500円(前年比+55,900円)・私立2,115,200円(前年比+44,700円)
<図表2>
① 受験から入学までにかかった費用は「自宅」「国公立」「理工系」の1,105,700円から「下宿」「私立」「医歯薬系」の3,267,700円まで、住まい・設置者・専攻による金額の差が大きい。
② 前年と比較すると、受験料や授業料など大学への納付金の増加が大きく、合計金額も増加した。
③ 下宿生の「住まい探し」のための費用は国公立176,400円、私立230,500円だが、5年前と比較し、それぞれ70,500円と35,300円減少。敷金・礼金・入館金のほか、住まい探しの際の交通費や滞在費も縮小する傾向が続いている。
④ 「教科書・教材費用」のうち「パソコン」の平均額は引き続き減少。13年は131,800円で、5年前より56,800円低くなった。
⑤ 下宿生の新生活用品のうち「寝具」(13年31,000円)、「家具」(13年46,900円)はこの5年間の平均額の変化が小さい一方で、「家電用品」は08年の121,900円から13年の98,700円まで毎年減少が続いている。またスマートフォンの普及によって「電話機」は平均額の上昇が続いている。
① 実際にかかった費用については「ほぼ予算どおり」と感じた保護者が46.0%(自宅52.7%・下宿40.0%)、「予算より多かった」が42.5%(自宅31.5%・下宿52.6%)であった。その理由として「予想以上に必要なものがあった」が自宅生38.1%、下宿生45.1%(予算より多かった人を100として)を占める。
<図表5>
② 入学に際して経済面で行った対策は「学資保険に入っていた」61.9%(自宅60.7%・下宿63.5%)、「奨学金を申請した(する)」38.3%(自宅31.3%・下宿42.4%)、「貯蓄を切り崩した」31.8%(自宅28.6%・下宿35.0%)が高いほか、下宿生は「部屋代が安い住まいに決めた」25.2%、「価格が安いものを購入した」24.6%と多くが価格を意識した行動をとっている。
<図表6>
③ 特に「予算より出費が多かった」と感じた保護者は出費を補填するために「奨学金を申請した」46.5%(平均38.3%)や「貯金を切り崩した」40.2%(平均31.8%)などで対応しており、「予算より少なかった」保護者は「受験大学(学部)数を抑えた」、「入学金の複数納入を避けた」といった対策を多くとっていた。
<図表7>
① 受験から入学までに困ったことや悩んだこととして最も多いのが「子どもの体調や精神面のこと」50.0%(推薦36.1%・一般55.6%)で、「受験大学(学部・学科)の選び方」42.8%(推薦38.2%・一般44.7%)、「受験・入学のための費用準備」31.2%(国立29.2%・私立34.6%)が続く。
② 下宿生はさらに「入学後の住まい探し」43.8%、「入学時に必要な生活用品や教材の準備」29.7%、「受験時の宿泊や交通機関の手配」16.1%について困ったとしているが、前年と比較するとそれぞれ11.4ポイント、7.6ポイント、4.4ポイントの減少となった。
<図表8>
③ 「インターネットを利用しない」保護者は2010年(11.5%)以降漸減傾向が続き、13年は9.3%となった。特に下宿生は6.7%(2010年9.7%)と、情報収集のツールとして積極的にインターネットを活用している様子がうかがえる。
④ 大学生協のホームページ閲覧経験も08年以降最も高い46.1%で、12年と比較しても6.8ポイント増となった。下宿生の閲覧は58.3%で前年比8.2ポイント増と、受験や新生活準備のために大学生協のホームページ活用が進んでいる。
<図表9>
① 12年から増加した入学までの心配の中で「受験大学(学部・学科)の選び方」(42.8%)は全体で3.6ポイント増、一般入試(44.7%)は4.6ポイント増加した。一般入試の「入学後の住まい探し」は7.8ポイント減、「入学時に必要な…」6.1ポイント減、「受験時の宿泊…」3.4ポイント減と、様々な手配に困る保護者が減る一方で、大学選びには慎重な保護者が増えている。
② 大学生活を送る上での心配なことは「事故や病気、けがなど健康面のこと」が44.2%(自宅21.8%・下宿63.9%)、「友だちづきあいや人間関係」41.7%(自宅38.6%・下宿44.1%)などの生活面の心配に次いで「就職や将来のこと」41.5%、「大学での授業や単位のこと」36.9%があげられる。
③ 「大学での授業や単位のこと」を心配する保護者は一般入試33.1%で前年比3.0ポイント増に対して推薦は46.4%で5.0ポイント増と増加が大きい。また推薦入試は大学に対しても「基礎学力の向上」に対する期待が28.7%と、一般入試の23.4%と比較して大きい。
<図表10>
① 大学に期待することとして「専門知識の教育強化」64.3%や「就職のための支援強化」63.0%が多くあげられ、「健全な大学生活を送るための教育や指導」40.9%、「基礎学力の教育強化」24.9%、「授業料減免や奨学金などの経済的支援」22.7%が続く。
② 「就職のための支援強化」は文科系(69.2%)や私立(68.8%)での期待が大きく、「健全な大学生活を送るための教育や指導」は下宿(43.4%)や寮生(44.2%)といった自宅外生の期待が高い。
③ そのほか「基礎学力の教育強化」は推薦入試(28.7%)や私立(27.4%)で高く、「授業料減免や奨学金などの経済的支援」は寮生(36.3%)や私立(27.4%)で高い傾向にある。
④ また「研究実績の向上」や「研究のための環境整備」は理工系や医歯薬系での期待が大きい。
<図表11>
① 大学に進学させた理由は「本人の希望が強かったから」(85.5%)が最も多く、「色々な経験をさせたいから」(49.8%)、「就職や資格取得のために大学卒の学歴が必要だから」(45.0%)、「専門的知識を身につけさせたいから」(39.9%)、「人間関係を広げさせたいから」(37.8%)が続く。
② 男女や入試形態で理由の差は小さいが、専攻による差は大きい。特に「専門的知識を身につけさせたいから」は医歯薬系(57.7%)や理工系(45.1%)が高く、「色々な経験をさせたいから」や「人間関係を広げさせたいから」は文科系(それぞれ53.9%と40.6%)が高い傾向がある。
<図表12>
① 全体に占める割合は低いが、大学への進学に対して「社会に出すのは不安だから」(2.7%)、「学校や知人が勧めるから」(2.1%)、「周囲が行くから」(1.2%)と消極的な保護者も存在する。
② そういった保護者は、子どもが大学生活を送る上で「大学での授業や単位のこと」、「就職や将来のこと」といった学力や将来についての不安を初め、「友達付き合いや人間関係のこと」など全般にわたって不安が大きく、大学に対しても「基礎学力の教育強化」や「健全な大学生活を送るための教育や指導」、「就職のための支援強化」を期待する傾向が強い。
③ 進学させた理由を「学校や知人が勧めるから」と回答した保護者のうち30.3%が大学に対して「授業料減免や奨学金などの経済的支援」を期待している(全体は22.7%)。子どもの大学生活に対しても「生活面や経済面」の不安を40.2%があげており(全体は26.7%)、経済的不安も大学進学に消極的な要因であったとも考えられる。
<図表13>
<図表14>