第50回学生生活実態調査の概要報告

※データの無断転載はお断りいたします。

CAMPUS LIFE DATA 2014

2015年2月27日

はじめに 調査概要とサンプル特性について

<調査概要>

調査実施時期 2014年10~11月
対象 全国の国公立および私立大学の学部学生
回収数 9,223(回収率30.4%)

<サンプル特性>

  1. 第50回学生生活実態調査は83大学生協が参加、18,926名から協力を得た。ただしここで紹介する数値は、経年での変化をより正確に見るために、毎年指定している30大学生協で回収した9,223名の平均値である。
  2. 全体的に昨年の構成比と比べ、大きな差異がなく、経年での比較にも耐え得る調査である
  3. 今回に限ったことではないが、専攻別の男女の構成比は、文科系4.5:5.5、理科系7.4:2.6、医歯薬系4.1:5.9となっており、文科系と医歯薬系の特徴は女子の影響を受けやすく、理科系の特徴は男子の特徴を受けやすくなっている。

1.学生の経済状況

「仕送り」や「奨学金」の減少を「アルバイト」の増加が支える 「食費」の増加は3年連続。下宿生の食費は1日816円に

(1)自宅生の生活費(図表1)

「アルバイト収入」は3年連続増加。「奨学金」や「小遣い」は前年比減 「食費」は16年ぶりに12,000円台に

  1. 自宅生の収入合計は61,120円で前年比+130円と、2013年に続き増加した。3年連続増加の「アルバイト」(32,370円・前年比+840円)によるものが大きい。
  2. 2013年からの減少項目は、家庭からの「小遣い」15,200円(前年比-170円)と、「奨学金」11,740円(前年比-630円)であった。
  3. 支出合計は58,180円で前年比-710円。「食費」12,010円(前年比+550円)、「交通費」9,530円(前年比+670円)、「日常費」4,830円(前年比+150円)が前年より増加している。「食費」は3年連続増加し、16年ぶりに12,000円台となった。
  4. 2013年に1,290円増加した「貯金・繰越」だが2014年は前年比-870円の16,530円。「奨学金」を授業料のために貯蓄する比率が高い自宅生は「奨学金」の減少による影響も大きいと思われる。

(2)下宿生の生活費(図表2~5)

「仕送り」減少。「アルバイト」収入は増加、リーマンショック以降の最高額に 「食費」「貯金・繰越」は3年連続増加だが、「住居費」はゆるやかな減少傾向が続く。

  1. 下宿生の収入合計は122,170円。前年比+670円で、3年連続増加した。
  2. 収入内訳は「仕送り」が70,140円で前年比-2,140円に対して、「アルバイト」が25,560円(前年比+2,460円)とリーマンショック以降最高額となった。収入に占める割合は「仕送り」が57.4%で75年以降最も低く、「アルバイト」は20.9%と75年以降最も高くなった。
  3. 下宿生の仕送り「0」円は全体の8.8%と2013年に続き1割を下回っているものの「10万円以上」は前年から2.5ポイント減少しており、平均額も下がっている。
  4. 「奨学金」は24,210円で前年から160円増加したが、平均額がピークだった2010年と比較すると「0」円の構成比は4.4ポイント増加し、金額は2,530円減少している。また6年ぶりに「アルバイト」の金額を下回った。
  5. 支出合計は116,960円(前年比-970円)。「食費」24,480円(前年比+500円)、「貯金・繰越」12,310円(前年比+170円)、「書籍費」1,950円(前年比+130円)などが増加している。「食費」は3年連続増加し、1日の食費は3年間で63円増加の816円となった
  6. 一方「住居費」52,630円(前年比-420円)、「教養娯楽費」8,600円(前年比-300円)、「電話代」4,030円(前年比-360円)などは前年より減少している。「住居費」は2年連続減少し、最も高かった2001年と比較すると3,700円減少している。

【図表3】下宿生の仕送り金額分布(1ヶ月の生活費)

【図表4】下宿生のアルバイト金額分布(1ヶ月の生活費)

【図表5】下宿生の奨学金金額分布(1ヶ月の生活費)

(3)暮らし向きについて(図表6)

引き続き半数は「楽」な暮らし向き
アルバイト収入は生活のゆとりやレジャーのために

  1. 現在の暮らし向きに対して「楽」(「大変楽な方」+「楽な方」)と感じている学生は51.1%(自宅生53.1%・下宿生50.2%)と、この3年間半数を超えている。
  2. また今後の収入面の対策としては「アルバイトを増やす」が45.0%で前年から3.0ポイント増となっている。アルバイトの就労率は69.1%(自宅生75.1%・下宿生64.8%、男子64.5%・女子74.9%)で、前年に続き伸長しており、自宅生、下宿生ともに4年生の就労率が上がった。
  3. 半年間のアルバイト収入の使途をみると「生活費のゆとり」が23.4%(自宅生18.0%・下宿生28.0%)、「旅行・レジャー」23.4%(自宅生28.8%・下宿生19.6%)、と高く「生活費のゆとり」をあげる下宿生は前年比4.5ポイント増となった。
  4. また日常の生活費とは別に半年間に使った「特別費」のうち、「海外旅行」(+2,300円)、「留学」(+2,600円)、「国内旅行」(+1,800円)が2013年に続き増加している。一方で「耐久消費財」は平均額、購入率、今後の購入予定ともに4年連続の減少となっている。

【図表6】暮らし向きの変化



2.学生生活について

就活期間の後ろ倒しによって就活生の準備は、より活発に
在学中の留学に対しては「予定なし」が6割

(1)就職に対する意識(図表7~10) 

就活12月開始となった2011年以降文系3年生の「何かしている」は最高に
就きたい職業を決める過程で希望条件も変化。内定者は「社員の雰囲気」も重要視

  1. 就職について不安を「感じている」73.0%(前年比-0.3ポイント)、就職のために何かを「している」48.1%(前年比-0.9ポイント)、就きたい職業について「決めている」61.0%(前年比-1.8ポイント)と就職に関する意識は、前年から大きな変化はみられない。
  2. 学部課程修了後に「就職する予定」の学生の意識も「不安を感じている」76.2%(前年比+0.5ポイント)「何かをしている」54.8%(前年比+0.2ポイント)、「職業を決めている」68.4%(前年比-1.3ポイント)と大きな変化はない。
  3. このうち文系3年生(n=939)の傾向をみると「不安を感じる」は90.4%で2009年から大きな変化はないものの、不安の内容は「就職できるか」が66.3%と前年から4.1ポイント減少し、「希望の職種に就けるか」は3.5ポイント増加し42.4%となった。
  4. また就職活動の開始時期が3年生の12月まで後ろ倒しになった2011年は「就きたい職業のために何かをしている」が前年から8.0ポイント減少し、就活生の行動も後ろ倒しになったように見えたが、2014年は前年比4.2ポイント増加の66.8%で2011年以降最も高くなった。
  5. 「就職先を決めるにあたって重視すること(1~3位まで選択)」を07年以降7年ぶりに調査した。1~3位までの合計で最も多かったのは「収入面の待遇」が52.1%(07年比+0.9ポイント)で、「職種」48.4%(同-7.2ポイント)、「社風や社員の雰囲気」32.1%(07年選択肢なし)、「福利厚生など収入面以外の待遇」28.6%(07年比+9.3ポイント)、「専門性や資格を生かせる」28.5%(同-6.8ポイント)、「業種」26.0%(同-1.8ポイント)が続く。今回選択肢として加えた「社風や社員の雰囲気」の影響により項目の多くが07年より低くなったが、「福利厚生など収入面以外の待遇」は07年から大幅に増加した。
  6. このうち最も重視していることは、「職種」27.5%(07年比-5.1ポイント)、「業種」15.9%(同+0.6ポイント)、「収入面の待遇」12.6%(同+1.8ポイント)が多くあげられるが、全般的に今回選択肢に加わった「社風や雰囲気」8.9%の影響が大きく、目立って増加した項目はない。
  7. 就きたい職業を<決めている>学生(n=4,582)は3位までに「職種」と「収入面の待遇」を5割以上があげ(それぞれ55.3%と51.6%)、「自分の専門性や資格が生かせる」35.0%も高い。また就きたい職業を<決めていない>学生(n=3,124)は「収入面の待遇」が60.9%と他の項目より高く、「職種」42.5%、「社風や社員の雰囲気」40.0%、「収入面以外の待遇」31.6%が続く。
  8. 一方、就職が<内定している>(n=1,054)学生は、「職種」42.4%、「社風や社員の雰囲気」39.0%、「業種」34.3%、「収入面の待遇」32.8%、「収入面以外の待遇」32.0%がそれぞれ3割以上と分散しており、就職先を多面的に評価している傾向が見られる。

【図表7】文系3年・就職予定者の意識

【図表8】就職を決めるにあたって重視する(した)こと・3位までの合計(2014年)

(2)海外留学への意識(図表11~12)

大学在学中の海外留学は「予定なし」が66.3%
「行かない」→「興味ない」、「行けない」→「経済的理由」が6割を占める

  1. 大学入学後に留学経験が「ある」は9.1%(文系11.3%・理系6.5%・医歯薬9.3%)で、文系は4年生では18.0%まで上がる。
  2. 留学経験が「ない」89.4%のうち留学を「在学中にしない」が66.3%(「留学したいができない」30.9%+「留学したいと思わない」35.4%)、「在学中にする予定」は10.6%(「必ず留学する」2.5%+「留学すると思う」8.1%)であった。留学経験が「ない」学生を100とすると「在学中にする」1年生は21.1%、文系1年生では25.7%であった。
  3. 「留学したいと思わない」の理由は「留学に興味がない」20.8%(「留学したいと思わない」学生を100として58.8%)が最も多く、「語学力に自信がない」13.7%(同38.7%)、「経済的な理由」11.0%(同31.1%)、「海外生活が不安」9.4%(同26.6%)が続く。
  4. また「留学したいができない」の理由は「経済的な理由」が18.2%(「留学したいができない」学生を100として58.9%)、「時間の余裕がない」13.3%(同43.0%)、「語学力に自信がない」11.9%(同38.5%)があげられる。

日常生活について

読書「0分」40%超、スマホ「0分」4%のみ

(1)勉強時間(図表13~14)

大学の勉強は2年連続増加

※<大学の勉強>…授業時間を除く予習・復習・論文など
※<大学以外の勉強時間>…就職に関することや関心事について
※1週間単位の数値を集計しているが、1日平均に換算して報告している

  1. 予習復習など授業以外の大学の勉強時間(以下<大学の勉強時間>)の平均は1日平均56.7分で12年39.2分、13年50.2分と2年連続増加した。
  2. 学部別には文系39.4分(前年比+5.3分)、理系68.1分(同+8.0分)、医歯薬86.0分(同+12.9分)で、学年別には1年生41.3分(同+6.0分)、2年生46.9分(同+5.9分)、3年生52.7分(同+7.7分)、4年生90.4分(同+6.0分)と学部や学年ごとの勉強時間の差は大きいが、いずれも2年連続増加している。
  3. また<大学以外の勉強時間>は1日24.8分で、文系30.4分、理系19.4分、医歯薬20.8分と文系が長く、学年別には3年生36.0分、4年生34.6分が長い傾向があり、文系の3年生は47.5分、 4年生42.5分と特に長い。

 

(2)読書時間(図表15~16)

読書時間の「0」は引き続き4割。二極化が進み、平均時間は昨年比増

  1. 1日の平均読書時間は31.7分(有額平均54.4分)。60分以上の層が5.9ポイント増加しており、平均時間は前年比+4.8分(有額平均+8.8分)と前年から微増となった。
  2. 一方で1日の読書時間が「0」の割合も40.9%と前年から0.4ポイント増加し、同じ集計方法で比較できる04年から最も多くなった。
  3. 今回「読書だと思うもの」を調査しており、複数回答で「趣味や関心のための書籍」93.1%のほか、「教科書や参考書」31.2%(男子33.3%・女子28.5%)、「趣味・情報雑誌」21.7%(男子24.1%・女子18.7%)、「コミックス」13.4%(男子15.2%・女子11.1%)があげられ、『読書』に対する定義は女子よりも男子が広い傾向にある。
  4. 「趣味や関心のための書籍」のみを『読書』とした学生は50.8%(男子47.5%・女子54.9%)で、その平均読書時間は22.2分と、全体平均より短く、「0」分も53.5%に上る。
  5. また『読書』を「趣味や関心のための書籍」に加えて「コミックス」とした学生の平均時間は45.1分(男子44.7分・女子45.5分)など、『読書』の定義による読書時間の違いも見られる。

(3)スマートフォンの利用時間(図表17~19)

女子の利用時間は1日3時間。男子を25.6分上回る

  1. 1日のスマートフォン利用時間は平均163.6分で、有額平均171.3分。スマートフォンを持たない、または利用しない「0」分は4.4%(男子5.3%・女子3.2%)に過ぎず、平均時間は女子177.8分に対して男子152.2分と、女子が男子を25.6分上回っている。
  2. 学生生活との関係ではアルバイトに就労している学生の利用時間が長い傾向が見られ、アルバイトに就労している学生の平均が171.8分と、非就労を28.1分上回る。また大学生活の重点が「アルバイトをしたり、お金をためることを第一においた生活」の学生は全体平均より50分近く長い。逆に学生生活の重点が「勉強や研究を第一においた生活」の学生は133.8分(男子127.9分・女子141.6分)と短い傾向にある。
  3. 大学生活の充実度では、充実していない学生の平均利用時間は173.7分で、充実している学生より11.3分長く、特に女子は差が22.9分とその傾向が強く出ている。
  4. 生活時間との関係では、通学時間が長い学生ほどスマートフォンの利用時間が長く、また学内の滞在時間が長いほど利用時間が短い傾向が見られる。
  5. 読書時間が「0」の学生については、男女ともスマートフォンの利用時間が長い傾向があるものの、「0」以外は読書時間への影響は見られない。

(付録)第1回(1963年実施)のデータより

※ 第1回は全国13大学で実施し、2,716名から回答を得た。

※ 第1回の1ヶ月の生活費は「平均値」の記録がないため、ここでは金額の構成比を紹介している。

※ 1963年の収入金額は自宅生、自宅外生ともに、ほぼ現在の10分の1の金額で分布している。

※ 物価の高騰や社会情勢の変化により2014年の結果を1963年と単純に比較することは難しいが、「書籍費」+「勉学費」については1963年と同じ金額帯で比較できる。ただし構成比の詳細を見ると2014年は500円以下と3501円以上が6割を占めており、50年間で読書傾向が二極化した影響や、文具・PCといった学習のためのツールの変化が表れている。

 


ページトップへ