第47回学生生活実態調査の概要報告 part1

※データの無断転載はお断りいたします。

2012年2月13日

第47回学生生活実態調査 概要報告

はじめに 調査概要とサンプル特性

<調査概要>

  1. 調査実施時期 2011年10~11月
  2. 対象 全国の国公立および私立大学の学部学生
  3. 回収数8,498(回収率28.6%)

<サンプル特性> (表1)

  1. 第47回学生生活実態調査は72大学生協が参加、16,885名から協力を得た。ただしここで紹介する数値は、経年での変化をより正確に見るために、毎年指定している28大学生協で回収した8,498名の平均値である。
  2. 全体的に昨年の構成比と比べ、大きな差異がなく、経年での比較にも耐え得る調査である。
  3. 今回に限ったことではないが、専攻別の男女の構成比は、文科系4.5:5.5、理科系7.3:2.7、医歯薬系4.2:5.8となっており、文科系と医歯薬系は女子の影響を受けやすく、反対に理科系は男子の影響を受けやすくなっている。

【表1】

学生の経済状況

1. 歯止めがかからない収入減と支出減 下宿生の収入は90年以降最低金額に

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1ヶ月の生活費 (表2)

アルバイト代は4年連続の減少。
一方で奨学金が収入全体に占める割合はさらに増加し、受給者率も3割に。

【表2】

  1. 収入合計は58,830円と10年から▲340円。小遣いは3年連続減少し15,070円。
  2. 「奨学金」は420円増加し12,390円。受給者率は昨年から2.1ポイント増加し、自宅生の約3割(29.9%)が奨学金を受給している。
  3. 「アルバイト」は▲190円の29,500円。昨年就労率が低下した3、4年生のうち、就活の開始時期が遅くなった3年生の就労率が5.0ポイント、平均額も1,750円増加した。一方で就労率、勤務時間数が減少した1、2年生は1ヶ月の収入もそれぞれ▲470円と▲1,520円減少している。
  4. 「支出合計」は▲900円。増加が大きいのは「貯金・繰越」の450円のみ。
  5. 「書籍代」は▲240円の1,850円で1970年以降初めて2,000円を下回った。読書時間は32.0分で1年間で2.6分減少(有額51.4分・1.4分減)、1ヶ月の購入冊数も2.5冊で0.3冊減少している。
  6. 東北地域の自宅生については<暮らし向き>が「苦しい」と感じる人が15.1%で、全国平均を1.7ポイント上回る。また今後の見通しについても36.1%(全国33.3%)が「苦しくなる」としている。
    ※東北の寮生は27.7%が<暮らし向き>を「苦しい」(全国22.2%)とし、<今後の見通し>も「苦しくなる」が44.6%(全国36.6%)と多い。
2
1ヶ月の生活費・下宿生 (表3)

収入合計は90年以降最低に。「仕送り」は引き続き減少。9年間増加していた「奨学金」も減少した。
「食費」も最低金額を更新し、76年(22,970円)並みに。

【表3】

  1. 「収入合計」は4年連続で減少し、118,900円。90年以降最も低い金額となった。
  2. 「仕送り」は▲1,530円の69,780円。「仕送り」が「0」の人の構成比は全体の10.1%(10年10.5%)と引き続き1割を超え、「5万円未満」も25.1%(10年25.4%)と高い(図1)。
  3. 父親(2002年までは“主たる家計支持者”)の年収と仕送り額の関係では、2000年以降、年収「1000万円以上」が減少し、「500万円未満」が増加、2004年には「500万円未満」との構成比が逆転し、以降もその差は広がっている。仕送り金額は最も多かった96年より32,460円(約3割)も低くなっている(図2)。
  4. 「奨学金」は25,350円で▲1,390円。受給者比率も44.4%から43.4%に1.0ポイント減少した。2年生が▲5,920円と減少金額が大きい。
  5. 「支出合計」も114,760円で▲3,010円。5年連続の減少となった。
  6. 中でも「住居費」が▲1,620円、「食費」も▲920円と減少が大きい。10年は就活中の4年生の外食費増により全体の食費が若干増加したが、11年は各学年とも減少、特に1年生の食費は20,600円から19,050円(▲1,550円)と減少が大きく、全体額を引き下げた。
  7. <暮らし向き>については「楽な方」が40.1%から43.8%に増加。全学年とも「楽な方」が3~4ポイント増え、金額の縮小と暮らし向きの感じ方は必ずしも一致していない。

【図1】

【図2】

東日本大震災以降の意識と行動の変化

行動や原発に対する考えに大きな男女差 防災や人とのつながりに対しては地域間の差が大きい

1
震災後の意識の変化

2011年3月11日の東日本大震災以降に感じたことや行動のうち、それ以前の行動との変化についてたずねたところ、意識や行動が“積極的に”変化したのは女子に多いことがわかった。
また、地域別にみると東日本(北海道、東北、東京)と西日本(東海以西)では、【防災への意識】や【人とのつながり】の場面での感じ方に大きな違いも読み取れる。

  1. 意識が高くなったなど、<変化した>学生が多い項目としては「防災についての意識」71.2%、「社会貢献への気持ち」61.9%、「ニュースなど社会全般への関心」60.4%、「家族を大切に思う気持ち」61.9%などであった。いずれも “積極的に”<変化した>のは女子が男子を上回った(図3)。

    【図3】

  2. 一方で、<変化しなかった>学生が多い項目は「友人や知人と付き合う機会」75.2%、「不平や不満をガマンすること」70.7%、「物事に取り組む姿勢」66.7%があり、いずれも男子に<変化しなかった>が多い。(図4)
  3. また「自分の将来や進路について」は<変化あり>33.4%で、文系38.1%、理系30.2%、医歯薬系26.3%と、専攻による違いも見られた。
  4. 「日本の将来について」は<不安になった>とマイナスに変化した人が48.0%と多く、1年生45.7%、2年生47.9%、3年生48.6%、4年生50.8%と学年が上がるほどその傾向は強くなっている。

    【図4】

  5. 東北地域の「防災についての意識」や「家族を大切に思う気持ち」は男女ともにプラスに変化した人が多く、さらに女子は「物事に取り組む姿勢」や「自分の将来について」<積極的になった>や<変化があった>(“やや”を含む)が4割と全国平均より高い。
  6. 【防災の意識】や【人とのつながり】については、居住地域による意識の差が見られ、東日本は「防災についての意識」(10.4ポイント差・図5)や「家族を大切に思う気持ち」(3.9ポイント差)のほか、「友人や知人と付き合う機会」「他者を思いやる気持ち」「不平や不満をガマンすること」も3ポイント程度西日本を上回っている。

【図5】


※ 全国平均の1~5ではそれぞれの項目の<やや変化した>も含めて<変化した>とし、6の東西日本別データでは<変化あり>どうしを比較した。>

2
震災をきっかけとしてとった行動

震災をきっかけとした行動についても女子の多くが行動している。
「被災地でのボランティア」は全国で4%の学生が参加。東北は男女とも16%以上が参加した。

  1. 節電や節水などの「日常生活の工夫」「非常時のための準備」は東北や東京の数値が高い。
  2. 募金を行ったのは62.3%。男子57.9%と女子67.9%であった。東北、東京以外の地域で高い傾向がある。
  3. 「特に何もしなかった」は16.7%に過ぎないが、女子の10.4%に対して男子が21.6%と男女差が表れた。
  4. 「被災地でのボランティアに参加」または「被災地以外のボランティアに参加」した人は6.3%(男子6.5%・女子6.0%)だが、参加の理由は「被災地のために何かをしたかった」3.9%、「被災地を見たかった」2.3%、「社会に役立つことをしたかった」2.1%であった。
3
原子力発電所の運用について

今後の原子力発電所の運用について、「今すぐに全てを廃炉にすべき」や「積極的に運用すべき」といった極端な回答は少なく、専攻や性別により見解が分かれる。

  1. 最も多かったのは「徐々に廃炉にし、将来的には全てを廃炉にすべき」が37.5%、次いで「規模を縮小し存続すべき」が23.2%、「現状を維持すべき」18.9%。
  2. 男子は「規模を縮小し存続」「現状を維持」「積極的に運用」といった“存続派”が54.0%で、「今すぐに全てを廃炉」「徐々に廃炉にし、将来的には全て廃炉」といった“廃炉派”の35.2%を大きく上回り、女子は“廃炉派”が48.5% に対して“存続派”が36.8%と男子と逆の傾向がある(図6)。
  3. 男子の中でも理系や医歯薬系の“存続派”はそれぞれ58.2%と60.2%と多く、そのうち「積極的に運用すべき」と回答した人も8.7%と8.9%と多い。

【図6】

就職について・就職活動の変化

就職活動の開始時期変更に伴う3年生の行動に変化
~東北地域での不安も顕著に~

1
就職活動の意識と行動

2011年度から就職活動の開始時期が変更され、3年生の就職に対する不安が解消されることはないものの、そのための具体的な行動までに移さない学生が増加している。
また東北の就職予定の4年生には「就職できるか」の不安を抱えている人が25.9%と、全国平均(17.6%)よりも多い。

  1. 就職予定者を100とすると「就職に不安を感じている」人は75.9%、そのうち4年生で不安を感じている人は10年の56.1%から52.0%に大きく減少した。不安の内容のうち「就職ができるか」は17.6%で、10年から3.1ポイント減少している。
  2. 11年から就職開始の時期が遅くなった3年生をみても「就職に不安を感じている」は83.3%(就職予定者を100として)と高いが、「就職のことを意識して行動すること」(▲7.9ポイント)、「就きたい職業のために何かをしている」(▲5.9ポイント)、「就きたい職業を決めている」(▲6.2ポイント)といった就職に対する具体的な行動や意識は先送りされている。
  3. 就職予定の4年生を100として「内定している」は67.6%(10月~11月時点)。東北では63.6%と低く、就職に対する不安が全国平均より高い。学年別では東北の4年生60.4%(全国52.0%)、3年生88.6%(全国83.3%)で、3年生の不安の内容も「就職ができるか」が73.3%と全国平均より11.1ポイント高い。

【表4】

2
就職活動のための費用

就職活動のための費用は5年前と比較して文系1.6倍、理系1.3倍。自己負担も比例して増えている。
長期化した就活は、多額の出費や精神的ストレスを与えるほか、学業にも弊害を及ぼしている。

  1. これまでに就職活動を行った人は4年生のうち58.5%(文系80.7%・理系43.2%)で、これまでにかかった就活費用は平均(以下全て4年生の有額平均額)143,800円(文系165,000円・理系125,600円)、自己負担78,300円(文系87,000円・理系71,600円)と文系の負担は大きい。
  2. 06年調査の就活費用合計は平均98,000円(文系103,900円・理系95,800円)で自己負担56,400円(文系58,000円・理系55,000円)と、5年間の費用増加は著しい。下宿生の交通費」72,600円(06年61,200円)が増加したほか、文系は30.3%が「資格取得や講習会参加費」を支払っており、その平均額は106,100円(06年は「その他」に含む)に上る。また「スマートフォンなどの携帯端末」(有額平均31,900円)費用も今回新たに就活費用として含めたため、全体の金額が上がっている。
  3. 就職活動を行う中で困ったこととして「出費が多い」39.6%が最も多く、次いで「落ち着かない・精神的に不安定」36.0%といった精神的なストレス、さらに「授業やゼミの出席に支障が出る」「時間がない」「アルバイトができない」「予定が立てられない」など時間の制約に伴う支障をあげる人が多い。
3
就職活動とスマートフォンの購入

大学生の「買い替え時」に登場し、就活で普及したスマホ。
1年生は入学前の購入が半数を超える。

  1. スマートフォンの保有は34.1%だが、1、2年生と3、4年生での保有状況が大きく違い、1年生(28.3%)と2年生(28.1%)、また3年生(42.3%)と4年生(41.3%)と、それぞれの保有率の差は小さい。
  2. 購入理由は全学年とも「買い替え時だった」が最も多く、3、4年生は「就職活動のため」が続く。そのため3、4年生の購入時期は「大学3年」がそれぞれ66.9%と50.8%(いずれも保有者を100として)と最も多く、2年生も3年生までに購入予定としている人が28.5%(非保有者を100として)いる。
  3. また1年生は保有者のうち大学入学までの購入者が半数以上(54.4%)を占め、一般に広く浸透してきた時期と入学が重なり、買い替えが進んだものと思われる。
  4. 3、4年生の就職予定者に限定すると保有率は45.9%で、就活開始が2年遅い医歯薬系(保有率36.3%)を除くと48.0%に上がり、3年生は48.4%、4年生47.6%と学年の保有率に差はほとんどない。進学予定者は33.1%と保有が少ない。


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