全国食堂セミナー 講演「なぜ、いま「食と農」なのか?」

全国食堂セミナー「なぜ、いま「食と農」なのか?」

みなさまこんにちは、ご紹介をいただきました和歌山大学食農総合研究所の岸上と申します。本日はよろしくお願い致します。時間的には小一時間ほどお話をさせていただきたいなというふうに思っています。食堂をどうするかというお話をメインにさせていただこうかなと思います。
去年、私は和歌山大学に着任したんですけれども、食農総合研究所の準備室が27年度、28年度から開設ということで、今年28年度から和歌山大学に着任しております。

そんななかで、食とか農とか最近大学生を含めて若い人で非常に関心を持っているということで、どんな動きがあるのかというあたりをふわっとお話をさせていただきたいなと思います。なので年配の方々だったら、知っていることがたくさんあると思います。
まず自己紹介なんですけれども、大学、大学院といきまして民間企業で働いて、そのあと和歌山県の田辺市役所に30歳の時に行きました。そのあと水産大学校、農林水産省管轄の大学校にいて昨年和歌山大学の方に着任したということです。専門分野というと大学の先生だとこの分野が専門だというものが、ずっとあると思うんですけれども、この自己紹介をみていただいたらわかるんですが、最終的には地域をどういうふうに活性化していくのかというようなところを今専門にしているというようなことです。授業としては、食料経済学、地域農協論、農協組合協同論みたいな真面目な講義を担当しています。なぜ食と農なのかとなった時に、食を考える人はたくさんいるんですけども、食を支える農を考える人がほとんどいない。そんななかでみなさんご存知だと思いますけれども、農業がどんどんどん衰退していっているのをどういうふうに見るのか。例えば、栄養学の人もかつては栄養学だけ勉強していたら良かったんですけども、その目の前にある食べるものの栄養だけじゃなくてそれがどこからやってくるのかとか、どこで作られているのかとか、もっと広い話をするとそれが国産なのか海外産なのかというあたりまで把握してくださいよというような世の中になってきたということです。今、食に関係する人達というのはその背景にある農業とか農村とかというあたりをイメージ出来ているようなことが非常に重要になってきている時代なのかなというふうに思っております。私の言いたい事はそれだけなんで、ここで終わってもいいんですけれども、まだ10分しか経っていませんので本題に入っていきたいと思いますが、あと1つだけ担当講義のところで最後地域インターシップというのがありますけれども、今大学生もなかなか大変で地域活動というのがけっこう求められています。先ほども理事のお話もあったとおり、地方の大学なんかは特に地域と密着してというふうなことになった時に、地域の困りごとを解決しにいくとかということもしなさいよという面があるので、和歌山大学の場合は特に観光学部で地域インターンシップというのがあります。いわゆる和歌山県なり、大阪南部のあたりの地域に行って地域の困っていることを解決する授業があります。
さて、食農総合研究所、昨年立ち上がったんですけれどもコンセプトがあってですね、「テロワール」っていうコンセプトになりますけども、「テロワール」って聞いたことがある人いらっしゃいますか。「テロワール」は狭い意味では今言われた通りフランスのワイン産地とか非常に小さい規模、だけれども世界的に有名になりますが、日本の場合は逆なんですね、大産地にならないと有名にならない。だから和歌山の場合は梅、全国の6割ぐらいは作っているんですよね。どちらかというとシェアを奪うこと、大きくなることで有名になるというのが日本の大きな特徴なんですけれども、特にヨーロッパなんかは小さくても世界レベルというところがあるので、それを目指すためにはどうしたらいいかというと、今お話があったみたいにそれぞれの地域でそれぞれの規模は関係なくいいものを作っていたら、それをみんな評価していきましょうね。その商品だけじゃなくて、その商品の後ろにある地域性とかよく最近言われているのは物語性とかそういうものをそれぞれ小さくても作っていきましょうと。和歌山大学で言うと、全国の大学の中では規模が小さいけども特徴を出して、がんばっていきましょう、つまり、小さくても頑張っていきましょうというようなところが込められています。だから大産地にならなくても小さい産地でも全国もしくは世界に誇れるような文化をしっかり評価して行きましょうというコンセプトを持っています。和歌山県で言うと、梅、みかん、柿も有名ですけれども、山椒などの生産量が少ない農産物でも、ヨーロッパの料理人の方に高い評価を受けている例がそれです。

私の研究は何をしているかというところは多分面白くないのでさーっと言いますけれども、食と農に関する研究、キーワードであげると、「住民主体の地域づくり」や「農産物流通」、「農協(とくに、共販といわれる販売事業)」などです。
冒頭に申し上げたように食と農の距離がすごい離れているよと、みんな食には興味関心があるが、農業には興味関心がないというのが現状です。ただそれが少しずつですけども変わってきていると、今言ったみたいに食への関心が非常に強かったりするんですけども、農業のことはまったく知らない、みなさん食堂で食べ物を扱っておりますが、その食べものがどこから来ているかは知っていると思いますし、価格もどのくらいかはご存知だと思います。どこで作られているかはご存知ですか。トマトと言えば、最近のニュースで言うと北海道でトマトが大量に盗まれた。北海道は全国第2位のトマト産地で1位は熊本です。トマトはみんな食堂でよく扱うと思うんですが、産地がどこというのを少し知っていると賢くなった気分になる。
あと学生によく聞くんですけども牛乳はみなさん好きですか。牛乳がきらいな人もいます。ただ牛乳を出してくれる牛、ホルスタインの乳房の数ってご存知ですか。数は片手で収まります。牛の乳房の数は"4"ですね。食と農が離れてて消費者というのはあまり生産のことについて知らない。
私、前任が山口県下関市の水産大学校にいたんですけども、ふぐで有名なのは下関ですね。ふぐの漁獲高が全部第1位というのはご存知の方はいますか。ちなみに答えを言いますと、下関は取り扱い高が日本一ですからね。どっかから船を持って来て、集積地が下関。水産のあたりもややこしくて、漁獲高が2つあるんですよ。ふぐの天然の漁獲高第1位はどこか出てきます?石川県です。では養殖の第1位は長崎県です。
最後、せっかく今日大阪に来ているので、大阪府、農産物で全国第1位はあるんです。かつての第1位は「たで」です。今は全国第3位です。大阪府全国第1位の農産物は春菊です。かつては、ぶどうとかも第1位です。
世界的に見ても食への関心は高くなる傾向です、ユネスコの無形文化遺産に和食が登録された、よく考えると日本人そんなに和食食べているかなと思うんですが、和食を登録したところ、食文化というところがメインにあるので、しょうがないんですけども、基本的にはやっぱり調理とかなんですよね。バランスがいいとか、美しく盛りつけるとか確かに日本食文化ってそうなのかもしれないですけども、もともと日本の和食文化って日本で作っているもので作っているわけじゃないですか。じゃあ今の状況で言うとどんどん農業が衰退していって、中国産の野菜で調理してこれ和食ですって言うのをあえてするかどうか。多分今の流れだとありですね。大半そうなんですよね、中国とか仕入れてきて味付けをしてこれ和食です、日本の誇る文化ですって私はちょっと無理があるのかなと思ったりもするんですけども、食文化を形成した食というのは本当に根源に作る農業とか漁業とかが、"あるんだ"ということをみなさんに農業とかしなさいということではなくて、“あるんだ"というところを頭の片隅に置いておいてもらいたいなと思います。ただただ安かったらいいとかただただ美味しかったらいいということではないんだと、食堂を担当しておられるんだったら片隅において置いてもらいたいなと思います。

更に、食堂の中でも大学生協は協同組合なんです、民間がやっているわけじゃないんですよ。協同組合で食堂をするということはどういうことというあたりを考えていただきたい。和食は無形文化遺産に登録されている、じゃあこの流れから、無形文化遺産と言えばみなさん何を想像します?協同組合が無形文化遺産に登録されているんです。みなさますごい職場である意味働いているんですよ。思ってます?思ってないでしょう。日本人はぜんぜん和食は意識していないのに世界の人たちが評価する。やっぱり、協同組合で働いている人たちがその意識を持つからこそ世界に認められる。というような方向に持っていきたい。すごい会社で団体で働いているという意識を持ってください、特に若い人は。なかなか持ちにくかったら今日と明日で持つように努力してください、先輩方は持たせて上げてください。よろしくお願い致します。

さて、日本の自給率はどのくらいかご存知ですか。大まかに言えば日本で作っている米で、日本の人口がどれくらいまかなえるかなんですけども、都道府県ごとに出ています。大阪と東京は1%です。日本の全体で言うとご存知ですよね。最新でいうと38%です。小麦なんかは10%なんで輸入に頼っているという状況ですね。世界の生産と消費、世界の人口はどんどん増えていっているんですが、世界的に農業も衰退していっています。でも生産量と消費量はある程度追いつくような形で推移しています。これはなんでかというと、別のグラフの「単収」というのがあります。これもご存知と思われるかもしれませんが、少ない面積で沢山穫れるようになったというところが基本的にあります。土地がどんどん減っていっても沢山穫れれば世話がないじゃないかということになります、それで対応してきたというところがあります。今後もこれが出来るかどうかというところは微妙なところというのが言われています。不思議なことに栄養不足、饑餓の人たちは世界に大体8億ぐらい、でも生産量っていうのは需要量とほぼ一緒なんですよ。実際は9人に1人が飢餓状態きちんとご飯を食べていないという。これがなぜ起きるんだというと一番下にある需要と供給のミスマッチですね。統計的に計算すれば合うんですけれども、それは食べ残しをしないということなんですね。僕を含めて一度も食べ残しをしたことがないという人は、手を上げてください。僕も食べ残しをします。
これも食べ残しをするなとなるとなかなか難しいと思います。少なからず知識として知っておいてもらいたいなと思います。そういうことが現実としてあるのだということを。外食における食べ残しの割合で多いのは、結婚披露宴宴会ですよね。これは今日の懇親会もなるべく残さないように食べていきましょうってことを言いたかった。あとは、自給率が低いということはたくさん輸入をしているよということですからね。近年で見るとちょっと横ばいになっているんですが、何が輸入の問題かということなんですよね。アメリカ、カナダ、ブラジル、オーストラリアに依存しているんですよね。世界各国から輸入するほうがいいのかどうかという話ではなくて特定の国に依存しているということがすごく問題なんですよね。すごくシェアが高い。特定の相手国に集中しているというのが大きな問題なんです。そういう世界のことを見てきましたけども、これもご存知かと思いますが、先進国の多くは自給率をあげていきます。あのアメリカですら、食料自給を出来ない国というのは国家として成立するのか、というような発言までしています。見ていただいて分かるようにアメリカフランスと基本的に100%を超えている。100%を超えているということは食べ物がその国は余っているということです。他の国より特にヨーロッパなんかは自給率を頑張って上げてきています。よく言われているのはイギリスです。戦後のイギリスは今の日本と同じくらいで42%。それが2016年に65%です。自給率って自分の国で作られたものを食べてたら上がるんです。だから果物で言うと日本の場合生産量ってダントツのベスト2っていうのがあるんですよね。りんご、みかん。だから極端な話かもしれませんが、みんながデザートでりんごとみかんを食べ続けたら果物の自給率は100%いくんですよ。でもねバナナ食べるでしょ、バナナ今ほとんど作ってないのに食べだすと自給率が上がらない。自給率はただただ農業振興すればいいってことじゃないんですよね。それが消費者も国産を選ぶみたいな選択が必要ですし、それがマッチした時に自給率ってちょっとずつ上がっていくんで、いくら日本で農業振興してもみんなが国産を食べないと自給率が上がっていかない。そんな努力をして、色々な先進国から日本は自給率をどんどんどん下げていっているんですけども大丈夫なのかなと言われている。
この間話してきたことをすべてまとめると、世界的には「食への関心=農への関心」になっているんですよ。和食っていうのを評価しているし、多分世界各国からすると日本で作られたもので日本で料理するから和食っていうのは、いいんだと思っているのではないでしょうか。また、日本で協同組合の理念をどうするんだろう、と言われている。自給率を先進国は上げに行っている、日本は下げに、明らかに日本の方が逆の動きをしている、世界的には食と農というのはほぼほぼイコールですし、かなり食を意識している人は農を意識しているっていうのは事実なんです。日本がグローバルにと言ってもどんどん逆に動いているとしか思えない、今の状況があるんじゃないかなというふうに思います。なんで自給率を低下させたのかというと、日本の場合は得意な分野を伸ばしていきましょうよという国際分業という考えがあるといわれています。世界各国では食料主権、食べ物が一番だよっていう考え方。みなさんどちらですか、私は経済学部にいる時は明らかに国際分業だったんですよね。得意なものを延ばせばいいじゃん。日本って土地狭いし、そんな農作物出来ないし機械で時計とか車とか作って売って食べるものを買ったらよろしいじゃんと思ってたんだけども、僕の場合は早く気づきました。経済学部の時は国際分業で、農学部の時は食料主権。今大学で講義してて大学生に聞くと7割方が食料主権です。食べるものの方が重要。僕が講義した後ではなく、一番最初に聞いたときに食料主権といいます。年配の方に聞くとやはり国際分業が多い傾向です。日本はずっと左で来たので、自給率が下がっていったという要因があります。
あとは地産地消の拠点の直売所を見ると、全国各地にセブンイレブンと同じくらいの数があるんですけども、この直売所、新聞なんかで見ると売り上げいくらとか順位をつけられているんですけども、この直売所も売り上げが上がっているということばかり注目されていますが、最近全然違う見方、指標も出てきました。売り上げどうこうじゃなくて新しい担い手を直売所が作っている。定年退職をした人がちょっと農園をやり始めたと、自分の家では食べきれないほどの、特に夏場のキュウリとかびっくりするぐらい出来ている。それを売るところとして直売所があります。定年退職した新規就農した人の販売先になっている、単に直売所の売り上げが上がるのと担い手が増えるのはぜんぜん違う、そういうのが大阪の近郊ではよく見られるようになりました。若くて新規就農した人もいきなり高品質な農産物を作るのは難しいので作った物を直売所で売ると、自分で適正な価格をつけ販売できます。新規就農者にとって直売所は非常に大きな役割を果たしています。私が調査した大阪南部で農業を始めた人の出荷先の大半は直売所です。

近年の傾向として、「農業や農村に若い人が興味・関心を持っている」っていうことですけども、今農業とか農村に若い人がけっこう来ています、20代、30代、40代が顕著です。では、2007年度が5万7000人、2015年が7万5000人、これで何が分かりますか。大学を取り巻く状況ですね。大学生が減っていってますね、その中で農学部を希望した数です。そんな中2017年度東京農大の入学者数の52.8%が女性、大根踊りですよ。すごく女性も農業とか農学に関心を示しているという状況ですね。あとは田舎でいうとUターンはご存知ですか、田舎出身の人がいったん都会に行き、戻ってくることです。Iターンは都会の人が田舎に来る。Jターンは知っています?めっちゃ田舎の人が一旦都会に出て地方都市に住むことです。最近よくわからないSターンというのが出てきた。都会の保護者が田舎暮らしをしたいと田舎に行く、田舎に行くと今度子供が大学とか社会人になるとやっぱり都会がいいと言って都会に出るんですけども、田舎で小中高と育ってしまったが故に都会がしんどくてやっぱり田舎に戻るというSターンもかなり多くなってきています。
では、孫ターンはご存知ですか。農業を継ぐ人が一世代飛ぶんです。和歌山県でもかなりいます。
さらに、食に関わる人も、冒頭に申し上げた通り調理士専門学校もちゃんと料理をするだけじゃなくて、料理人には産地を教えたり、流通過程を教えたりしたい、というような相談がある。今、農業は多様化している。私の所属する食農総合研究所は、"食"研究所でもないですし、"農業"研究所でもない。なぜ “農“にしたかというともちろん"農業"があってもいい、ただ自給自足も"農"だと思います。定年退職をして、庭先でちょっと続けたり市民農業で続けたりもいいんです、そういう意味で農を広く捉えましょうということで農とつけています。ばりばり農業だけで儲けてもいいし、農業をやりながら他の事もすると。昨日和歌山県の紀美野町という移住相談会っていうのを大阪でやっていたんですけども、20人ぐらいの人が来て真剣に移住しようとしていて、その8割は農業と何かをして田舎にやって来る、真剣ですよね、品目は何がいいですかと色々聞かれて大変だったんですけども、そんなかんじで農業と何か自分の仕事を持って農村に来る人が多くなっている。田舎志向というのが多くなってきて特徴としては20代、30代が多くなっているのと、女性が多くなってきている。シングルマザーも多くなっていますね。地域で子供を見てくれるのが非常にありがたいのと、親元に帰れるというのが非常に助かる。
仕事面をみると「多業化」がポイントです。都会だと1つの仕事をしてそれで生きていく、田舎だと農業と他の仕事を複数組み合わせて、年収300万を積み上げるんだというのがある。農業をやって150万、地域でNPOを作って地域のイベントとかして年間84万円、ほんとの田舎に行くと服屋さんが無くなるのでおじいちゃんおばあちゃんの服を作ってあげたり修理をしてあげたりで20万円、これで年間250万円程度を稼ぐ。大卒新卒で250〜300万くらいですね。そうやっていくつか組み合わせて作るというのが多くなってきています。あとは田舎に行くと家賃が安かったり、夏場はキュウリがいっぱいもらえる、食べ物をけっこう周りから貰えるので食費がけっこう浮くと聞きますね。行政もいろいろな支援もしますね、昔だったら農業をするために3年間毎月15万円あげるので頑張ってくださいみたいなことがあったんですが、島根県なんかでは農業は自分でなんとかしてくださいねと。でもそれだけではなかなか暮らせないので、兼業先を紹介しますと、島根県の場合は解放施設が多いですよね、農地も紹介しますし、あとは家も格安で紹介もしますとワンセットで移り住んで来てくださいねという支援策があります。あとは食料提供という支援、岐阜県飛騨市だと10年間お米あげますという支援がある。自分だけの力ではなくて色々な支援も使っている。次の「継業」は和歌山県独自の施策です。地域にあった和歌山県のガソリンスタンドとか小さい商店とかもあるでしょう、なかなか後継者がいなくてそこに移り住んできた人に職業を斡旋する支援、そうやって田舎で暮らしている。

これも有名な図(島根県中山間地域研究センターの分析)で島根です。これは左側が、4歳未満の子供が増えた地区です。右側が小学生の数が増えた地区が赤です。赤いところで子供が増えているということです。特殊な統計の取り方をしないと出てこない、市町村ごとじゃ出てこない。もっと細かい小学校区単位(昭和の合併前)の単位でみています。全体的には島根県人口が少なくなってきていますし、子供も少なくなっていますけども、もう少し細かく見ると子供が増えているところもある。少子高齢化で言うと人口で100人のうち100人の高齢者と、100人のうち98人の高齢者だったら絶対98人の方が2人若い人がいるのでいいんですね。今いろいろなところで人口の数だけ見ていますけども、100人から200人に増えた、その増えた人が高齢者だったら、100人の人口に10人来てその3家族が子供連れの10人ですよとなったら、数は200と110ですけども絶対10人が来た方がいいんです。常に数に踊らされていてはいけないんだよということです。島根ではこういうのをデータ化をして色々な政策の打ち方を考えている。毎年人口を1%ずつ増やしてきましょうと。これが7万人の1%だとしんどいんですよね。この図で言うと100人とかもう少し広がったら1000人ですけども、100人のうち1人増やそう1年間。そうしたら充分地域は成り立っていくという計算。そんな計算を島根県ではしている。

さて、いろいろと食と農を取り巻く状況についてお話してきましたが、そろそろまとめなければいけません。どうやって食堂が食と農を応援できるかと、食堂だったらそれぞれの○○産(各地の食材を使う)を使うのも1つの支援の仕方ですし。最近では関係人口というのがあって、めちゃ離れているんだけど色々な支援をする。和歌山だったら和歌山大学の生協で南の方の串本の食材を使うとか。離れていても、応援出来ることはある。都会の生協が九州とか東北のものを買って食材として使うのも大きな応援の仕方です。さらに、都会で田舎のものを売ってあげるとか、都会でグループを作って自分の県にも売ってあげる、これまで行政でしていたことを民間でするようになってきた。そういう若い人が増えてきた。田舎に移り住むということはもっと難しい。都会に出ても離れていても応援出来ることはある、現に応援している人がいる。こういうのを食に関わる人はどのような支援ができるのか、頭の中、もしくは心の片隅にしっかり置いておく必要があるのではないかと思います。現に動いている人がいるのだから、それを踏まえて大学生協という食と農に関わる人は、大学生協の食と農を繋げるような意識を少し持っていただけたらなと思います。
これで、私のお話は終わりとなります。どうも、ありがとうございました。

2017年9月14日 大阪大学 吹田キャンパスにて