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岡山大学生協×生活協同組合おかやまコープ

大学生の豊かな食生活を組合員同士の交流で支える「大学生の食の応援共同事業

コロナ禍2年目の新学期を迎えた岡山大学生協では、生活協同組合おかやまコープの支援を受け、大学生に「食の応援セット」を配布した。共同事業として継続的な取り組みを目指す両生協に、今回の支援に込められた思いと今後の展望を取材した。

コロナ禍の大学生を支援するために、新入生に「食の応援セット」を配布

「食の応援セット」配布の背景について、岡山大学生活協同組合専務理事の阿部 孝司あべ こうじさんと生活協同組合おかやまコープ 組合員活動グループの福尾 泰平ふくお たいへいさんに話を伺った。

「昨年一年間は、いろんな生協が新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響を受けて大変でしたが、なかでも大学生協及び学生組合員の生活が激変して友達も作れなかったり、アルバイトもできずに経済的な困難に陥ったり。そういうことが関係して生協の食堂も営業できない時期もあったりしたので、すごく大変だということは、緊急アンケートの結果も配りながら県連の理事会で昨年2回くらい報告させていただいていました。」

依然として学生組合員の生活も厳しい状況が続くなか、生活協同組合おかやまコープ理事長の平田 昌三ひらた しょうぞうさんと阿部理事が共感したのは、食の事業を柱として組合員の食生活を支えていくという思いだった。
「(平田理事長とは)コロナの影響はもちろんもう数年かかるということもあるので、なおさらいろんな支援の形はあるけれど、『学生の食生活を生協が一緒になって支えていくということが中期的な視点で見ても大事だよね』という話をさせていただきました。」(阿部理事)

継続的な取り組みとすることを前提に、今すぐに何ができるか思考したところ、思いついたのが新入生向けの物資の支援「食の応援セット」だった。新入生2000名及び大学生協食堂利用券「ミールカード」の利用者1500名の合計3500名分を用意した。

食の応援セット贈呈式の様子。中央が生活協同組合おかやまコープ理事長の平田昌三さん、一番右が岡山大学生協専務理事の阿部孝司さん

新入生には、3月下旬から4月上旬にかけて大学生協の仮組合員カードを対面で渡す機会があり、その会場の中でこの食の応援セットを配布。おかやまコープの組合員理事が数名参加し、「頑張ってくださいね」という声かけとともに直接新入生に手渡すという場面も見られた。新入生は思いがけないプレゼントに驚きつつも、嬉しそうに笑顔で受け取っていた。

おかやまコープの組合員理事から岡山大学の新入生へエールを送った。

物資の支援が全てではない。本当に伝えたいのは「思い」

食の応援セットの内容は、野菜系のジュース2種類とチョコレート。そこにメッセージカードを添えて袋詰めした。

食生活を応援するというメッセージは商品選びにも込められていた。そもそも、大学生は自らの食生活について「野菜が不足している」と自覚している人も多いため、阿部理事としても野菜系のジュースを配布したいという意図を持っていた。そこで採用されたのが「ミックスキャロット」。コープ商品を代表するロングセラー商品だ。受け取った学生の中にはこの商品を知っている学生もいたという。

当日配布の現場に立ち会ったおかやまコープ職員の福尾泰平さんはこう話す。
「生協を利用されている方に、今の学生さんのお母さん世代は多い。『生協商品を小さなころから、食べて飲んで育った学生さんなんだな』という嬉しい気持ちになりました。」

食の応援セットの内容。

メッセージカードは、おかやまコープの組合員とともに作った。
SDGsを連想させる配色デザインや裏面の食育クイズは組合員の声が反映されているそうだ。

「決してお菓子だけで学生さんの応援になるとは思っていません。本当に伝えたいのは気持ちなので、そういった気持ちを表すにはカードだとかメッセージを入れることが、少しでも学生の皆さんに伝わるのではないかと考えました。」(福尾さん)

メッセージカード表

メッセージカード裏

組合員同士の交流を目指して

組合員の食を支える取り組みはこれからも続いていく。大学生協と地域生協の協同でどんな取り組みが実現できるのか、模索は始まったばかりだ。

現段階で取り組みたいと話題にあがっているのが「食習慣チェック」だ。食習慣チェックとは日本生協連と東京大学研究室が連携して開発した、Web上で食習慣に関する簡単な質問に答えることで自らの食習慣を確認し、食生活改善のアドバイスが受けられるシステムである。

「今おかやまコープで取り組んでいることを少しご紹介しながら、学生さんにそれが本当にお役に立てるかどうか、学生委員さんのところでしっかり見てもらって、使えるようならぜひ広げていただいてもいいかなと考えています。」(福尾さん)

また、おかやまコープから食材の提供を受け、岡山大学生協の食堂で使用することもアイデアとして出ているそうだ。

「この一年くらいは支援を受けてばかりの関係になってしまいそうですが、おかやまコープさんと繋がり続けながら、いずれは学生組合員が地域の方との関係で何かを発信し、何か力になれるような場を作っていきたいと思っています。」(阿部理事)

おかやまコープ組合員活動グループの福尾泰平さん

今後に向けて二人が口にしたのは、単に物資を支援する関係ではなく、組合員同士が交流することでwin-winの関係になること。食をテーマに、両生協の組合員が交流する場を組合員の声から作っていくことを目指している。

編集:全国大学生協連 全国学生委員会(広報担当)藤井 祥子

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