国際活動

ユニセフスタディツアーに参加して~国境を越えた、たすけあいの活動~

2011年2月27日から3月6日までの8日間、ユニセフスタディツアーに参加してきました。このツアーは、参加者が現地で行われているユニセフの活動を実際に視察し、現地の子どもの状況とユニセフへの理解を深め、帰国後に各々の所属する組織や地域での募金活動・学習会などのユニセフ協力活動に、その経験を生かすことをねらいとして行われています。

人口の30・3%が貧困層3千万人が1日1ドル以下の生活

今回のスタディツアーでは、2004年12月にスマトラ島沖で発生した地震への緊急・復興支援募金に取り組んだ、インドネシアを訪問しました。

インドネシアは、広大な面積を有し、かつさまざまな民族と宗教が混在する国であるため、同じ国であっても地域によって人々の生活状況はまったく異なります。首都ジャカルタのように発達している地域やバリ島のように観光地として栄えている地域がある一方、今回訪問したバンダ・アチェ市やNTT州のように貧しい地域もたたくさんあります。

また、同様にユニセフからの支援を受けている地域でも、地震からの復興が課題のバンダ・アチェ市と、発達の遅れが課題となっているNTT州とでは、貧困の質や保健に対する意識など、状況はまったく異なります。

中央からの一斉指導・支援だけではなく、「各地域の自治体、地域の人々が自立するための支援」を行うことが重要です。そのためにユニセフでは、「物的支援」ではなく「自立のための支援」を行っています。今回の視察を通して実感したのは、地域レベルで問題解決能力を養うことが重要ということでした。

復興後により豊かな生活を送れるように

今回、特に印象に残ったのが、バンダ・アチェ市の人々が言っていた“Beyond the Tsunami”と“Building back better”という二つの言葉です。アチェでは震災以前、約30年間にわたって内戦が続いていました。しかし、震災により町が壊滅したことをきっかけに、「震災からの復興」という共通の目標に向かい、住民の心が一つになり、復興が劇的に進んだそうです。 

「震災以前の状態よりも良くなるように」を合言葉に行う復興活動、それはユニセフの支援活動にも同じことが言えます。震災の直後は緊急支援として、疫病の予防や学習教材・物資の配布などを行いましたが、ユニセフはそういった子どもたちの緊急的なニーズだけではなく、復興後により豊かな生活を送りたいという長期的なニーズにも対応するための支援にも取り組みました。

具体的な支援内容として、保健サービスの充実や安全な飲み水の提供、教育などの基本的なサービスをさらに良くしていくために、校舎の建設、診療所の設置、水と衛生に関する基本システムの計画作りを通して、地域コミュニティ回復のための土台づくりも行いました。震災後に造られた建物はどれも耐震性に優れており、さまざまな面で以前の状態よりも“Better”、「より良く」なっています。

“Terima kasih”

8日間のスタディツアーに参加して、“Terima kasih”という言葉を何度も言われました。インドネシア語で「ありがとう」という意味です。小学校でも村の保健センターでも、至るところで多くの方から、この感謝の言葉を頂きました。現地の子どもたちや母親たちの笑顔を見て、私たち学生の小さなとりくみでも、多くの子どもたちに、健康に生活し、学ぶことができる喜びを与えることができるのだと、活動の成果を実感できた1週間でした。

健国境を越えたたすけあい


2日目に訪問した小学校(ユニセフが校舎を建て替えた)の子どもたち。学校が新しくなってとてもうれしそうでした

ユニセフ活動は「社会を創造していく世界中の仲間とたすけあうことができる活動」であると思います。そして、このような活動こそが、国境を越えた〝たすけあい〟の活動です。

インドネシアに限らず、世界中には私たちの支援を必要とする子どもたちがたくさんいます。一人ひとりの小さな活動でも全国225の会員生協、154万人の組合員が力を合わせれば、とても大きなとりくみになります。多くの子どもたちの笑顔と明るい未来のために、全国の仲間と手をとり合ってユニセフ活動に取り組んでいきましょう!

(学生委員 佐藤美香)


2日目に訪問した乳幼児発育センター(未就学児童が通う幼稚園のようなもの)の子どもたち。みんなで歌を歌ったり、コーランの勉強をするそうです


3日目に訪問した保健センターで、ユニセフから贈られたバケツで手を洗う子ども


5日目に訪問したNTT州の村の子どもたち


6日目に訪問した、小学校(ユニセフが水と衛生プログラムを行なっている)の子どもたち。ユニセフの指導の下、手洗いをしている。この活動を始めてから下痢になる子どもが激減しました)


6日目に訪問した保健センターで赤ちゃんを抱かせてもらいました。9カ月の赤ちゃんですが、3kgくらいと、驚くほど体が軽かったです