2024年6月25日(火)、ICA-AP教育機関協同組合委員会(ICEI)は、「アジア太平洋地域における若者による、若者のためのデジタル協同組合プラットフォーム」というテーマでウェビナーを開催しました。このウェビナーでは、アジア太平洋地域のキャンパス協同組合と若者の持続可能な経済成長や社会的包摂におけるデジタル協同組合プラットフォームの役割について議論し、若者主導のデジタル協同組合の成功例を紹介しました。また、大学内でこれらの協同組合を設立・育成するための分野と戦略を特定することも目的としています。ウェビナーには、若者を中心に約90人が参加しました。
ICEI議長でマレーシア協同組合連合中央会(ANGKASA)副会長であるアズラン・ヤヒヤ博士が開会の挨拶を行い、教育機関における協同組合の意義と、若者が直面する現代の課題に対処するためのデジタルプラットフォームの役割について言及しました。続いて、ICEI幹事でICA-APの起業家精神開発担当リーダーであるガネッシュ・ゴパール氏は、日本、マレーシア、インドからの報告者を紹介し、若者主導のデジタル協同組合プラットフォームの重要性に触れました。
最初に報告を行ったのは、全国大学生協連の中森一朗専務理事です。中森専務は、組合員とその保護者の利便性を考慮して設計されたスマートフォンアプリ「大学生協アプリ」の詳細を紹介しました。このアプリは、電子組合員証、電子マネー、ミールプランの管理、購入履歴の確認、保護者からの電子マネー送金機能、さらに生協と組合員との円滑なコミュニケーションを実現するツールなど、多彩な機能を備えています。
マレーシアのサラワク・イノベーティブ・プロ・ユース協同組合(KOBIS)のザイウィン・カシム会長が登壇し、「協同組合デジタル化行動計画(DigiKOP)2030」についての概要を紹介しました。この計画は2023年にスタートし、テクノロジーを駆使して若者の事業を支援するとともに、マレーシアにおける製品やサービスのデジタル化を進め、協同組合運動に革新をもたらすことを目指しています。
次に、インドのティンカーハブ財団のCEOであるムーサ・メハル氏がティンカーハブの成り立ちについて語りました。ティンカーハブは、小規模な学習グループが互いに協力しながら新しい技術を習得するところから始まりました。この基盤となる活動は、2014年にテクノロジー・スキル開発の拠点として設立された「ティンカースペース」へと成長しました。また、メハール氏はバーチャルツアーを通じて、活気ある協力的な環境を紹介しました。
報告後には活発な質疑応答が行われました。主な議論には、協同組合のエコシステムを強化するためにデジタルエコシステムを活用する方法、特に教育、雇用機会、ビジネス開発ネットワークの提供などが含まれました。また、大学生協アプリが学生のエンゲージメントに与える影響や、その拡張性、アジア太平洋地域の他の教育環境での導入可能性についても話し合われました。参加者と報告者は、デジタル協同組合の将来のトレンドや、若い協同組合リーダーが人工知能などの進歩にどう備えるべきかについても掘り下げました。
最後に、このウェビナーでは、デジタル技術が若者に力を与え、協同組合の取り組みを強化する方法を探りました。また、アジア太平洋地域全体の協同組合の未来を形作るために不可欠な、若者主導のイノベーションと国境を越えた協力関係の重要性も強調されました。