学生委員会の「自分たちの居場所」を拠点に、後輩の人たちが企画を継続していくための仕組みをつくり、そして継続して人とのつながりを大切にしながら活動を続けている山形大学生協学生委員会は、年間を通じて継続的に学生委員会への委員加入が途絶えないといいます。今回は先輩から受け継いできた委員会活動を踏襲しつつ、さらに後輩へつないでいこうと日々工夫や努力を重ねている3名の新旧委員長からお話をお聞きしました。
山形大学生協学生委員会
理学部4年生
前々委員長
鈴木
人文社会科学部3年生
前委員長
理学部2年生
現委員長
齋藤
全国大学生協連
全国学生委員長
司会・進行
高橋 明日香
全国大学生協連
全国学生委員
中丸 雄也
全国大学生協連
全国学生委員
高須 啓太
(岐阜大学4年生)
(以下、敬称を省略させていただきます)
このインタビューは、元気な学生委員会に話をうかがい、他大学の学生委員会のみなさんにも元気を届けるとともに活動の参考にしてもらえたらと思っています。
私は全国大学生協連学生委員会で学生委員長を務めております高橋明日香です。兵庫県立大学を2年前に卒業しています。よろしくお願いします。
全国大学生協連学生委員会で学生委員をしております中丸雄也と申します。山形大学在学中は学生委員会で活動していました。よろしくお願いします。
全国大学生協連学生委員会の髙須啓太です。現在、岐阜大学の4年生で東海ブロックの学生委員長をしております。よろしくお願いします。
山形大学理学部理学科物理学コースカリキュラム4年生の鈴木奏楽です。
こんにちは。山形大学人文社会科学部人間文化コース3年の門傳と申します。今年の9月まで委員長をしていました。
山形大学理学部化学コースの2年生の齋藤晃士朗です。今年の10月から委員長を務めています。
みなさんが学生委員会に入った理由、もしくは興味を持ったきっかけを教えてください。
入学当時はちょうどコロナ禍で入学式などもなく何もやることがなかったので、もらった冊子を全部読んでいたんです。その中に学生委員会が作成していたものがあって、それを見て。サークルの新歓もなかったので「とりあえず学生委員会に入ってみるか」という、動機は暇つぶしみたいな感じでした。入ろうか迷っているときに理学部の先生に相談をしたら、たまたまその先生が元学生委員で受験生案内の活動の話などをしてくれたりして、それを聞いて学生委員会に入ることを決めました。
私が学生委員会に興味を持ったきっかけは受験生案内です。入試の日に赤いジャンパーを着た人を見て「自分もやりたい」と思いました。あとはTea–Partyにオンラインで参加して、そこで鈴木さんが話している姿を見て学生委員会に入ろうと決めました。
餅つき
私は1年生の冬に大学を歩いていたら餅つきをしている人たちを見かけて、それは異文化交流で餅つきなどをする企画だったらしいんですけど、面白そうだなと思って学生委員会に参加しました。
歴代委員長3人にインタビューするのは初めてなので、今日はとても楽しみにしています。最初の質問ですが、山形大学生協学生委員会での取り組みを紹介してください。
受験生案内
大きく分けると新学期活動と通常期活動があります。
新学期活動には3つの活動があって、1つは受験生案内。山形大学は駅から遠い場所にあるので、入試の日に道に迷わないよう大学まで案内するというもの。2つ目は教科書購入説明会です。こちらは初めての教科書購入となる新入生の不安を少しでも和らげてもらうために購入方法を教える会、あわせて生協についてのさまざまな情報を提供する場にもなっています。そして3つ目はTea–Partyです。新入生は入学前に色々な不安を抱えていると思うんですけれども、同じような不安を仲間たちと共有し交流してもらうことで、少しでも不安を取り除いてもらえたらという目的で開いています。
通常期活動は不定期で行っています。近年恒例化してきたのが「自転車点検」で、こちらは健康安全の目的で実施しています。大学生はなかなか自分の自転車を点検する機会がないと思うので、このような機会を設けることで事故を防ぎ、組合員の安全を守れたらと思っています。ほかにはお店作り広報、例えば11月11日にポッキー企画の宣伝をしたり、組合員においしい防災食の紹介をしたりしています。
たくさん取り組みを紹介していただきましたが、Xとかインスタグラムとかでも活動の様子を全国のみなさんに見ていただきたいですね。
いろんな活動の中で今まで一番印象に残っていることを、みなさんそれぞれ教えてください。
一番印象に残っているのは、教科書購入説明会です。私は1年生の冬に学生委員会に入って、すぐにTea–Party、そのあとに教科書購入説明会がありました。Tea–Partyのときはオンライン開催だったので規模感がつかめなかったんですけれども、教科書購入説明会では会場に全学部の学生がほぼ全員集まり、それにすごく圧倒されたので、こんなに多くの人たちとかかわる活動をしているのだなと感じたことが深く印象に残っています。
今まさに新年度の教科書説明会実施に向けて準備しているところですね。今度は先輩として後輩に伝えながら一緒に活動していくターンになるのかなと思いますが、今のモチベーション、意気込みはいかがですか?
そうですね。昨年は教科書購入説明会当日に与えられた役割をただ全うするだけでした。今年は、計画の段階からいろいろ話し合いを重ねて準備を進めているので、不安もありますが、昨年よりもっとたくさんの人が参加してくれるのではないかと期待に胸をふくらませているところです。
たくさんの方に来てもらえたら嬉しいですね。頑張ってください。
自転車点検
私は、印象に残っている活動はたくさんありますが、その中でも「自転車点検」です。自転車点検は、私が委員長になりたての頃と今年の4月の2回開催しています。最初のときは「過去の資料が少ない」ということと「企画を経験した人も少ない」という点で苦労しました。それを踏まえて、2回目の時には担当者が不在でも誰もが自転車点検をできるように仕組みを作ろうと、そして、代替わりをしても継続していけるようにということを念頭に置きながら運営をしていました。その結果、米沢でもこちらで作った資料を活用して「自転車点検」が運営できたので、それは良かったかなと個人的に思っています。
素晴らしいです。これまでいろんな共済の活動をやってきたと思いますが、自転車点検はどのような思いで取り組んだのか聞かせてください。
1回目のときは、時期的にしばらく使っていなかった自転車を点検してもらって事故を減らそうという思いで実施しました。2回目(4月開催)のときは、その思いに加えて、もうひとつ、新しく入ってきた学生委員に参加してもらって、学生委員会がどんな活動をしているのかという感覚をつかんでもらいたかったという内部の事情もありました。また、自分の中では新入生に「大学ではこういう行事もやっている」ということを知ってもらいたかったという考えもありました。
私は2人と違って学生委員会内部の活動になりますが、理事会室の掃除をしたことが一番心に残っています。うちの理事会室は10数年来ずっと掃除されていなくて、すごく汚かったんです。「2人も入ればもう満員」みたいな感じでしたし。コロナ禍から学生委員会が立ち直るにあたって、一緒に過ごせる空間――「私たちの場所」みたいな所がほしいなと思ったので、まずそこをみんなで大掃除するところから始めました。
実際にその後過ごしてみて、理事会室の雰囲気はどうですか。
いい雰囲気ですよ。見違えました。いつ来ても誰かがいますし。内部でやっているSlackに「お土産を買ってきたので理事会室に置いておきます」とメッセージが入ったら、それを食べに理事会室に行ったりしています(笑)。そういうのがすごくいいなと思いますね。最初のころは盛り上げようと必死で、ボードゲームを揃えたりしましたが、はしゃぎすぎている面は頑張って抑えるともっとよくなるんじゃないかな。みんな楽しそうにしていますよ。
もう、「みんなの居場所」になっているんですね。
自分もコロナの年に入学して、その後ずっとコロナ禍で学生委員会の活動をしてきた世代なんですけど、理事会室の掃除以外にもコロナ禍で頑張ってきたこと、工夫したことがあれば教えてください。
「オンラインを活用する」ことと「オンラインを使いすぎない」ことでしょうか。
「オンラインを活用する」で言いますと、たとえばさきほど話したTea–Partyは新入生の交流の場を提供する企画なのですが、コロナ禍で急遽オンライン開催に切り替えたということがあったので、オンラインを利用してこういった既存の活動の活路を見いだすということをしてきました。
また、「オンラインを使い過ぎない」というのは――これは私自身が思っていることなんですが――オンラインって実はあまり好きじゃないんです。私が参加したセミナーは全部オンラインで、職員さんとのやり取りも全部LINEとかslackといったメッセージアプリを使ってできるのでめちゃくちゃ早くて便利なんですけど、その分、心が病んでいくことがあるんです。いつでも仕事をしている状態になってしまって、それがすごく嫌でした。それと、単純に人と顔を合わせた方が楽しいという思いがあったので、オンラインを使いすぎずに私はあえて会いに行くようにしていました。ちょっとした用事でも会いに行く、お菓子を貰ったら職員さんのところにもお裾分けに行くとか、そういう些細なことだけどオンラインでなくてもできることは実際の交流を大切にするようにしてきました。だから部会とかもオンラインでできるけど、コロナが緩和されてからは意識的に対面にしました。
対面の繋がりで強化するためにオンラインを活用する一方で、オンラインだけではなく対面での交流も大事にしてきたのですね。
職員さんとのやり取りや部会の話も少し出てきましたが、委員長として部会の運営について考えていることはありましたか。
私は、部会運営は正直下手くそで(笑)。それこそ松本副委員長に結構頼っていた部分もありました。部会はワンマンで、ゴリゴリ進めちゃった感じがあるので、もっと工夫できたらなと思いながらやっていました。
私は、部会は毎週月曜日の16時半から18時頃までやっていたのですが、部会の前にレジュメを作っておくということを鈴木さんから引き継いで同じようにやって、部会では私と副委員長で大体の議題を決めましたが、ほかの人や1年生からも議題を募集するという形で進めていました。
他の大学の学生委員会では部会内で企画をやって楽しんだりするそうなのですが、私たちはそういうことは取り入れていなくて、ただ議題について話し合う、あとは新学期担当とか三つのチームが独立して動いているので、お互いに何をやっているかを情報共有する場にしていました。事務的なところもあったかな、ほかに何か工夫できれば良かったなと今は思っています。でも、良かったところもあって、毎週の部会は積極的に企画の運営にかかわっている1年生メンバー以外の1年生も部会に参加することで、繋がりは保てていたのかなと思います。
部会が情報共有の場になってるというのは良いですね。齋藤さんはどうですか。
私は、部会みたいな定期的な会議は義務になると参加者もだんだん減ってきてしまうと思うので、みんなに「面白い」「行きたい」と思ってもらえる場になるように、できるだけ話しやすい雰囲気を作ろうと努力しています。
職員さんとの関係では何か意識していたことはありますか。
職員さんとのかかわりでは、さきほども言ったとおり、できるだけ話をしに行くということを意識していました。メッセージを送ってもすぐに読んでもらえなかったり、返事を待つのがすごいじれったく思ってしまったりするので、できるだけ職員さんに会いに行って、そこで話を進めて決定を持ち越さないということを心がけていました。
私はアドバイザーをやっていたので、もともと職員の方とはその過程で話す機会が多かったのですが、職員の方から学生委員に伝えたいことがあるときには部会に出席してもらったりとか、たまにアドバイザーの方を呼んで共済について話してもらったり、ということをしていました。
なるほど。職員さんにも部会に出席してもらえるのはいいですね。齋藤君はどうですか。
職員さんとのかかわりという部分では、どうしてもサークルのノリで職員さんに接してしまうことがあるんですけど、相手は社会人の方々なので、そこは誠実かつ迅速に接していきたいなと思っています。何か連絡をいただいたときにはできるだけ早めに返事をするとか、内容もしっかり確認してからやり取りをしています。
職員さんとの距離が近いんだなということが伝わってきますね。
齋藤さんはこれからどう頑張っていきたいですか。どんな活動を頑張りたいとか、先輩たちの思いを引き継いだ上で「こんなことをやってみたい」ということはありますか。
そうですね。今年の1年生はすごく人数が多いのですが、とても活発な人たちでどんどん新しいアイディアを出してくれるんですね。部会も盛り上げてくれるので、私はそのエネルギーをいい方向に、新しいアイディアをどんどん形にしていけたらなあと思っています。
どんなアイディアが形になっていくのか、これから見ていきたいですね。ところで、みなさんが山形大学生協学生委員会で活動してよかったなと思う・思ったこと、考えていることを聞かせていただけますか。
受験生案内
私は委員長をやっていた頃よりは熱量を少し落として、引き継ぎに重点を置こうと考えています。新学期活動の中で私は受験生案内の担当をしているんですけど、まずはそこで2年生への引き継ぎと1年生の子たちともたくさんかかわること、そして私が居なくても受験生案内を一から全部やってもらえるように変えています。
委員長をやっていた頃は企画を進めることに精一杯でした。あまりに1年生の人数が多くて一人ずつ見れなくて、それについて委員長を辞めてから反省しました。最近お店の企画を結構やっているんですけど、とりあえず顔を出して1年生と一人ひとり話をするといった委員長時代にできなかったことをこれからやろうかなと思っています。あと、私自身が自分の話をあまりしないので、そういうところもちょっと変えて、自分の話もするようにしようかなと思っています。
とても素敵だと思いました。やっぱりコミュニケーションはとても大事なことだと思うので、これから楽しみにしています。
鈴木さんたちの代ぐらいから、期中でも学生委員が入るようになったんですね。4月に1年生が入った後は増えるってことってあんまりないんだけど、先月もふたり入ってくれて。そういうことは今までなかったですよね。これは何故だと思いますか。
それは、学生委員同士がプライベートでも繋がりのある友達だからじゃないでしょうか。企画を通してつながっている仕事仲間というよりは……。
友達を連れてきているから?
そうですね。友達なので企画以外でも集まるし、旅行にも行くし、すごく仲がいいので、やっぱりそれも集まる場所があるからなのかな。相性というよりは、会う時間、顔を合わせる時間が結構大事だなと私は思っています。その時間がすごく長くて、何気ない日常を一緒に過ごす時間が長いと友達というか、親友になれるのかなと思うので、そういう人の繋がりが多いから、友達つながりでもう入ってきたりするのではないでしょうか。
以前は「やらされている」という人たちが多かったですが、今の学生委員と組合員・友達との関係を見ていると、「生協でやっているのね、頑張ってね」「楽しそうにやっているね」と寄ってきてくれる学生を見て、そういう関係性もすごく良いなと思います。
強いて言うなら、私自身がここで形づくられたと思いますね。知らなかった能力にも気づくことができたので。私、委員長はやりたくなかったんですよ。でも、やっていくうちにネガティブに感じていた性格もかみ合うといい力になるんだなということに気づかされました。たのしく活動できたので、今は入ってよかったなと思います。
最後に、みなさんから全国の学生委員の仲間に向けてメッセージをお願いします。
自分も、活動している自分たちも「組合員」ということを忘れずに活動するのが一番かなと私は思っています。学生委員だからといって特別なわけではないし、責任も多少はあると思うけど、重すぎる責任ではないし、強い使命感で活動しちゃうと押し潰されることもあると思うんです。なので、自分達も一組合員であることを意識して楽しく活動することが、私は大事かなと思っています。「楽しく」は自分勝手じゃなくて、みんなと一緒に評価される活動をして楽しくやっていこうという意味なので、そこは勘違いしないで楽しく過ごしましょう。
企画を進めていくにあたって、担当になったり、もしかしたら役職に就いたりすると、何かあったときにどうしても1人で抱え込んでしまうことがあると思うんですけど、そういう時は近くに居る人に頼る。頼るというのは、人に迷惑をかけているとかではなくて、頼ることも才能の一部だと思っているので、自分がきつくならないようにみんなで楽しんで活動するという意識を持って頑張っていけばいいんじゃないかなと思います。これは自分にも言えることなので、私もそんなスタイルで頑張っていきたいと思います。
部会とかどんな場所でもいいんですけど、浮かんだアイディアをどんどん口に出して発信していってもらいたいなと思います。意外と実現できなさそうなことでも生協という組織の中では実現できたりしますので、みなさんもどんどんそういったアイディアが浮かんだら、発信していってほしいなと思います。
相手も自分も信頼して、声に出して一緒に活動を形にしていくというのはとても大事なことだなと思いますし、全国の学生委員のみんなも自分たち一人ひとりの役割や、得意なところを生かして頑張っていこう、ということをこのインタビューで伝えられたらいいなと思いました。
山形大学生協学生委員会のインタビューはこれで終わりたいと思います。今日はありがとうございました。
学生委員会
2023年12月13日リモートインタビューにて