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2017年2月9日
調査実施期間 2016年11月16日〜12月28日
調査対象 全国の国公立および私立大学の学部学生・院生
回収数 1,745
有効回答数 1,727
奨学金制度を利用しているのは全体の56.3%で半数を超えた。日本学生支援機構が行った「平成26年度学生生活実態調査」によると『奨学金の受給状況』は大学学部で51.3%、大学院修士で55.4%なので、本アンケートの調査対象は奨学金制度を利用している方の回答が若干多くなっている。住まい形態別の奨学金制度利用率を見ると、寮生68.4%、下宿(アパート)57.2%、自宅(52.9%)の順になっています。 寮生の経済状況が自宅生・下宿生に比べると厳しい、という状況は、大学生協連が行っている学生生活実態調査でも同様の傾向が見られる。
※3つまで選択可
奨学金制度利用の目的として「授業料を賄うため」「生活費を賄うため」と答える人が共に7割を超えており、奨学金制度の利用が大学生活を維持するために必要不可欠であると考えられる。
月の貸与額を見ると、3万〜8万の割合が多くなっていますが、15万円以上の方も一定数存在しています。日本生協連の調査結果を基に、学生より上の世代と比較すると、全体的に貸与額が上昇し、高額になっていることがわかる。
返済の見通しは半数の方が「立っていない」と答え、「返済できるか」が不安であると答えた方が74.3%となった。貸与額が高額になるとサンプル数が少なくなるので判断が難しいが、貸与額に比例して不安を感じる割合が高くなると想定される
奨学金制度利用の有無で、仕送り額を見ると、奨学金制度を利用しているほうが、仕送り額が低い傾向がある。 とりわけ、仕送り額0円なのが、奨学金制度を利用していない方は19.1%に対し、奨学金制度を利用している方は46.0%と約27ポイントの差があった。
アルバイト額では、奨学金制度を利用しているほうが、アルバイト額が高い傾向がある。 アルバイト額0円なのが、奨学金制度を利用していない方は22.8%に対し、奨学金制度を利用している方は15.9%と約7ポイントの差があった。
大学進学の目的を聞く項目では、「専門的な知識を身につける」が一番高く7割、ついで「学歴や資格を得る」が4割となっており、学ぶために大学進学を選んでいる人が大多数であると入れると思います。どちらの項目も、奨学金制度を利用している方のほうが高くなっています。
国公立大学の学費については、64.3%が高いと思う(そう思う+ややそう思う)と、私立大学の学費については、91.4%が高いと思っている。国公立大学の学費について、学生やその親が負担すべきと思わない(あまりそう思わない+全くそう思わない)と考える人が66.1%であり、国公立大学に通う方も私立意大学に通う方も同じような値になった。しかし、私立大学の学費については、学生やその親が負担すべきと思わないと考える人が39.8%、特に国公立大学に通う方では32.6%と、私立大学に通う方の55.4%と約23ポイントの差が見られた。
全ての項目において、奨学金制度を利用している人の方が、認知度が高い。
「自分、もしくは恋人が奨学金を返済中であることが結婚に影響すると思いますか」という項目では、「はい」と答えた方が46.4%となった。この値は、中央労福協が2015年に行ったアンケート結果の31.6%を大きく上回る結果となった。とりわけ、奨学金制度を利用していない方のほうが「はい」と答える割合が高く、『恋人が奨学金を返済ちゅうであること』が結婚に影響すると考える人が多いということがわかった。
給付型奨学金制度の創設につては、76.7%の方が賛成、無利子奨学金制度の対象者拡大については78.8%の方が賛成と答えています。とりわけ、奨学金制度を利用している方のほうが賛成の割合が高くなっている。
自由記述欄になんらかの記述があったのが384件(全体の22.0%)であった。全体の8割の方がスマートフォンからの回答であることを踏まえると、感心の高さがうかがえる。
私は4年間国立大学に通い1年間留学もさせていただき、もうすぐ卒業します。日本の大学の中で一番安い大学に行くことができ他の人に比べればマシな方だと思います。ですが、奨学金を借りずに進学すると言う選択肢はありませんでした。これから何年もかけて返済しないといけないことは始めから知っていましたがやはり不安です。また、留学の経験を通して海外で働きたいとも思うようになりましが奨学金の返済を残したまま海外にでるのは不安に思っています。それによって親や親族に迷惑をかけたくないからです。海外の大学はほとんど授業料がかからないのに教育の充実度は日本の大学より高いと感じました。奨学金制度も改善されるべきだと思いますが、奨学金を借りてまで行く価値のある大学が日本にどれほどあるのか疑問に思っています。
(国公立 4年)
国公立大学の方が学費も安く、一時は本当に学びたい学部学科を諦め、違う学部で国公立大学に行く事も検討しましたが、やはり自分がしたい事を学びたいと思い、多額の奨学金を借りなければ大学に行けないが、浪人するお金もない為、有利子と無利子の奨学金を併用して私立大学に進学しました。奨学金は全て入学金と学費に充てています。それでもお金がない為(交換留学をするためには100万円以上入っている口座が必要だった為)、目指していた派遣留学を諦めました。2年後には弟も大学進学を目指しています。両親も高齢のため、自分の力だけで奨学金を返済できるか不安です。お金がないのは、子どものせいではないはずなのに、お金がないせいで、子どもの夢や可能性が奪われてしまうというのが、今の日本の現状ではないでしょうか。給付型奨学金の制度や、せめて、無利子の奨学金の制度が拡大すれば良いなと思います。
(私立 1年)
奨学金の返済が困難であると予想されるため、結婚を既にほぼ諦めています。幸せのために大学に進学したはずが大学(奨学金)により幸せを奪われています。公的な給付型奨学金もしくは奨学金返済の免除制度を早急に設けるべきだと思います。
(国公立 2年)
・例えば、給付型奨学金が創設されたとして、現在すでに多額の借金を抱えてしまっている自分に何か影響はあるのだろうか。・私立大学で学士をとり、国公立大の修士課程を修了、現在同国公立大で博士課程に在籍する私は、卒業までに1000万を超える借金を背負うことになる。このような状況になること、そしてこのような状況になったときに抱く感情は、奨学金を借りようと考えた高校生時代には全く想定していなかった。当時、父親のリストラや精神疾患、母親の病気等も重なっていたことから、ただただ単純に、親に負担をかけたくないという思いで、修学費用やお小遣いを確保するために借りる決断をした。大学に通うためには、そうするしかなかった。大学にいる期間のすべての費用を、「未来の自分」に借りた。その「未来の自分」がお金持ちになると想定して。あの時、大学に行かずに就職していればよかったのだろうか。博士課程まできて、自分なりに問題意識が固まってきて、これまで大学を通して様々な経験をさせてもらってきた。奨学金を借りずに就職していたら、全く別の人生だっただろう。奨学金を借りるという決断は、自分の人生を大きく変えてしまう決断である。それを、親の署名が必要とは言え、高校生ができてしまうということ。奨学金制度に関する教育は、高校のうちに何らかの形で行なっていかなくてはならないものであると考える。例えば、月額いくら借りたらどんな生活ができるかを計算してシミュレーションさせたり、卒業後の返済による生活への影響のシミュレーションをさせたりするような、ワークショップ形式のもの。真剣に考えて自分にとって適切な答えを出せるように大人が舵取りしなくてはならないはずだ。
(国公立 大学院生)
現状を見る限り、私は借りることはできないかもしれないが、将来の世代のためにも公的な給付型の奨学金制度を作るべきだ。親の代の収入の差が子どもの学歴に影響し、子の代の収入にも差が出る。この連鎖を止めない限り、先進国の中でも大きい日本の貧富の格差は是正されないだろう。介護や医療のような高齢者のための政策ももちろん大切だが、少子高齢化について長期的な見通しをもつと、奨学金制度も含めた子供や若い世代に向けた政策のほうがはるかに大切であると言える。是非ともよりよい奨学金制度、特に給付型の奨学金制度をいち早く確立して頂きたいものだ。
(国公立 1年)
来年からの月々の返済金額は6万円を超えます。別に遊んでいたわけではなく、大学に通い研究をずっと行ってきただけなのですが、周囲は学生時代を楽しんできた報いだと言います。大学に相談しても、返済金額の変更は年収が300万以上でないと適用できなく、内定先の決まっている私は、その通り返済するしかないと言われました。理系の私学大学に通ったのは自分の判断であり、家族に相談もできません。現状の家賃よりも高い奨学金の返済を行いつつ、生活することが果たして可能なのか?私は将来が不安でたまりません。
(私立 大学院生)
親が低所得で大学進学したくてもお金が無いから奨学金に頼っているのに、なぜ利子を付与してさらに返済しなければいけないのかが分からない。もっと言ってしまえば給付じゃない事に納得がいかない。奨学金のせいで結婚や出産まで影響しているのを知り奨学金は、若い人たちの未来を潰している制度だと思う。私も借りている1人として後から奨学金が自分の大学内の講義を聞いて自分の人生において重荷以外の何者でもない事に気付かされた。借りてしまった以上返さなければいけないが、少し延滞するだけで差し止めや督促を出すのは如何なものかと思う。少しでも低所得の家庭のことを考えて制度が改善されればいいと思う。
(私立 2年)
仕送りがほぼ0であったため、奨学金とアルバイト代のみで生活したきた。理系のため授業も多く休みもあまり取らずに働いていたところ心身を壊すことが多かった。現行の奨学金制度では無理のない学生生活を送ることは厳しい。給付型奨学金もそうだが、貸与型奨学金も増額して一部返済という形があってもいいのだと思う。アルバイトの負担を減らしたい。また給付型奨学金の審査では震災関係者が有利という噂を聞いたことがある。私自身は被災していないものの生活は困窮しており、貧困の理由如何で奨学金採用に不平等が生じるのは腹立たしい。片親家庭対象の奨学金が増えると良いのだが…奨学金のお陰で大学に通えているのは事実だが、抱えた負債や無理をして家計を賄った大学生活を考えるともはや生きる意欲もなかなか湧かない。中途半端に支援を受けても学生の人生は明るくならないと個人的には思う。
(国公立 4年)
給付型の奨学金が少なく、アルバイトを2個掛け持ちしてすべての費用を自分で賄って生活しています。バイトで疲れて授業中眠かったりきつかったりすることが多いです。本当はもうバイト2個もしたくないです。給付型の奨学金を少額でいいので受けたいです。制度を充実させてください。
(国公立 1年)
学びを奨励するためのお金であるばかりでなく人生を支援するお金であって欲しいと思うのです。利息をつけなければ制度が成立しないということは重々承知していますが、返済までに100万近くかかるということを考えると制度自体がお為ごかしのように感じられてしまいます。また学問は必ずしも実益に備えるためのものではないというのが理想論であるように思うのですが、奨学金を借りて学問をすれば、その後の人生は学問の対価を反映させるべきものであることを強いられるのではないでしょうか。それが他の学生と対等な学びであるのか疑わしいです。学生時代助けられた部分も大いにありますが、将来に向き合う上でそういったことを考えていました。私は大学4年間で返済のための貯金を続けていました。これから本格的に債務者になると思うと気が重いです。
(国公立 4年)
貧しくて死ぬのは絶対に避けたいので、死ぬ気でお金を稼いで、早く奨学金を返したいです。どうして、在学中からお金に関してこんなにも不安に思わなければならないのでしょうか。
(私立 2年)
学ぶというのは国民一人一人の義務であり権利でもある。奨学金で大学に行けても、卒業後、生活を圧迫するようでは、学生時代にちゃんと「学ぶ」ことが出来る心境にあるとは思えない。もっと学びに対する壁を取り払うべきだと感じる。
(国公立 1年)
今年、就職活動をしました。友人は「奨学金の返済があるから安定している公務員を目指す」と必死に勉強していた姿が印象的です。しかし、その友人が公務員試験に合格したあとに発した言葉は「これから30後半まで借金返済に追われるんだ」でした。公務員になってしたいことがあるから公務員を目指すではなく、奨学金返済のために公務員を目指す。自分で選択したからといってもその選択を1番と思い選択、目標を達成してからも奨学金を借金と呼ぶその友人に対し悲しい気持ちとなりました。他の奨学金制度を利用している友人は就職をしている年上の彼氏がいますが、自分の奨学金を返済し終えるまでは結婚しないと言っていました。就職の選択を狭め、働くことへの希望も奪い、ライフプランをも左右させる今の奨学金制度は他の先進国と同様に給付型にすべきだと考えます。
(国公立 4年)
奨学金制度を利用したかったのですが、審査に通ることが出来ず、教育費を借りる所を探すのに苦労しました。たまたま親族がまとまったお金を持っていた為、私も兄弟もそれぞれ320万円程度ずつお借りしていて、就職後に返済していくという状況です。私は幸運にも教育費を借りる所があったので良かったのですか、そのように審査が通らないとか、他の奨学金を知らない等で困っている方もいるのかなと思ったので、受けられる奨学金制度が増えることや、奨学金制度の情報や知識がより得やすい世の中になると良いなと思っています。
(国公立 大学院生)
私の友達で奨学金を利用している子が居ました。その子は家庭の状態に変化が多く(離婚、再婚等)その子自身も様々なストレスから体調が思わしくない傾向がありました(難聴、鬱等)いろんな変化が伴っていたので常に意識していて変更の度に手続きに行く姿をよく見ていました。しかし、その子が一度(その子自身の不注意ではなく制度と日にちによるもの)うまく手続きが出来ない事がありました。その時に奨学金の関係者の人は彼女自身をみてくれず、手助けをしてもらえず更にお金がないのに大学に行くのは、、といったニュアンスの話をされたそうです。私は奨学金を利用していないので詳しいことはわかりませんが、怒りを覚えたことは確かです。信用の問題はあるでしょうが、家庭の状況が厳しければ厳しいほど大学に行かせて学ぶ機会を与えてあげるために保障してあげるべきだし、その為の制度では無いでしょうか?その根本がわからなくなってる気がするし、制度と共に関係者の意識もどうなんだろうと思います。私自身あまり知らないので強くは言えませんが、一意見として捉えて頂ければ幸いです。
(私立 4年)
私は大学の給付型の奨学金を希望していたのですが、条件(両親が共働きであること)に当てはまらず、うけることができませんでした。父は定年退職していて、母は病気がちで現在は専業主婦です。家族4人(弟も大学生)、父の年金とアルバイト代だけで生活しています。私はどうにか学費が払えましたが、今後高齢化・晩婚化に伴ってこういった学生も多くなると思います。
(私立 4年)
学業が優秀な生徒・学生だけでなく、貧困によって成績を上げられないでいる生徒・学生にも給付型奨学金対象者の範囲を広げるべきと考えます。
(国公立 4年)
今後の奨学金無償化は、現在返済型奨学金を得て学ぶ学生にとって不公平となるので、認めるべきではない。現在でも、国立大学では低所得世帯向けに学費免除制度などがある。そもそも、真面目に勉学に臨む学生が少ない中で、これ以上にお金をばらまく必要はない。
(国公立 3年)
私の場合は、奨学金を借りられない環境でしたので奨学金に関して考えたこともありませんでしたが、周囲の学生たちの多くは奨学金を借りていて、それを学費ではなく、生活費、特に交際費に当然のように使っていたので、本来の趣旨目的とする使われ方ではない気がしていました。大学進学率が高くなることは非常に良い事だと思いますが、猫も杓子も奨学金を借りて大学に進学しても、卒業後にまともな就職が出来ない場合も多く、返済義務だけが残ってしまう現状は、結婚率の低下やブラック企業へのやむを得ない就職など、問題が多岐に及ぶと思います。
(国公立 大学院生)