中川翔子さんインタビュー「大学生はリザード※の時期、人生で一番無敵な時代。好きなことを貪欲に蓄えた力で強くなっている!」

※リザード…ポケモンの進化系の一つ。ヒトカゲ→リザード→リザードンと進化する。

自己中になっちゃっていいんじゃないかな。
人間関係も断捨離って必要だと思う。それよりも、好きなことにエネルギーを集中させてほしい

大学生にも大学に行くのが辛いと感じている人がいます。特に今、コロナ対応で閉鎖している大学も多く、そういう気持ちを一人で抱え込んでいる学生も非常に多いと感じています。中川さんは昨年いじめに関する本を出されて、「死ぬんじゃねーぞ」と強いメッセージを発信されました。辛いときにどのようにしたら心を切り替えられるか教えてください。

私の体感としては、中学時代が思春期のど真ん中で、心も振り幅がすごくて、傷つけたり傷つきやすかったりが激しかった。高校ではちょっと落ち着いて、少し冷静になりだすと思っていたのですが、大学っていうのがまた難しいですよね。年齢的には大人になるところだけど、感覚的にはやっぱりまだなりきれてなくて。

誰かを傷つけるっていうことほど無駄なカロリーってないなってすごく思うんですがね。悪口って言ったら何倍にもなって返ってくるし、絶対本人に届くし。悪口からいじめって始まるじゃないですか。だからくだらないことをしてくる相手のせいで自分が辞めなきゃいけないなんておかしい。大人になって、人間関係も断捨離って必要だなって思いました。それより自分のことをもっと大事に考えて、自己中になっちゃっていいんじゃないかなって思います。

自分の合わない相手って、どうしてもいるんですよ。猫をたくさん飼っていて思うのは、猫だって合わない子どうしは喧嘩しちゃうから、部屋を分けるしかない。人生は有限だから、無理して人に合わせて傷つけられたりする時間ってもったいない。それよりも何か好きなものを見つけて、そこに向かって一直線になっている自分の方が大事ですよ。

以前、「中川翔子のギササイエンス」という、科学の研究をしている大学生や大学院生から話を伺うラジオ番組で、ものすごく印象的な女性に出会いました。その人は美人でスタイルがいいのに、自分ではそのことに全く無頓着で、スッピンでメガネして南米のとある川の奥底に住んでいる左巻きの巻貝の研究だけに全集中しているんですよ。すごいですよね、そのエネルギー。なんでそこにその若い時間を懸けているのかっていうのは、他の人は分からなくてもその人が見つけ出した宝物なんです。年を重ねていくと時間が過ぎるのが速くなって、新しいことを取り入れるのが難しくなったり、昔ほどハマれなかったりするのに対して、大学生までの時間っていうのは吸収も放出もすごい、特に放出能力は一番すごい時期なんじゃないかな。

どうか命を大事にということだけは、真っ先にお願いしたいと思います。命さえ輝いていれば、なんとでも取り返せます。だって私、絶望ばかりだった学生生活だけど、そのときに好きだったことがたくさん叶ったから。“結果オーライ”って、すごく後からきたりするんです。ポケモンの進化でいうと、18歳までがたねポケモンで、大学生の期間がヒトカゲからリザード、24くらいからがリザードンって感じかな。

自分の心が本当に動けば、ほんの少しのことでも誰かの『ありがとう』になるかもしれない

中川さんは、東日本大震災の被災者支援のチャリティ活動、また「骨髄バンク」に登録し支援キャンペーンに参加されるなど、様々な社会貢献活動を行われています。
実際に社会問題にどのように取り組まれているのか、また取り組みの背景にある中川さんの想いをぜひ教えてください。

震災のとき、私はちょうどコンサートツアーの最中でした。節電が行われ、歌を歌うなんて不謹慎という空気が強かったんですよね。ツアーを続行するか迷っていたときに、あんなに壊滅的な状況に陥った東北の方から真っ先に電話がかかってきて、「ぜひ歌いにきてください」って言ってくださったんです。応援してるはずのこっちが勇気を頂いちゃった。それが本当に忘れられなくて、恩返ししたいって強く思い、それから震災で被害を受けた小学校の皆さんに会いにいかせていただいたりする活動をしています。

あとは、母と保護猫活動をずっと続けています。保護猫たちの施設にキャットフードを送ったり、家賃を援助したり。私が手掛けた「マミタス」というブランドも、BEAMSさんにお願いして売り上げの一部を「長崎 Life of Animal」と「Npo法人富士山猫を守る会」に寄付させていただいています。犬も猫も一匹でも幸せになってほしい、それは仕事をしていくうえでの大きなモチベーションになっています。

まさに今コロナ禍で経済が沈滞して苦労されている方が多い中で、家にいながらできる支援があるんじゃないかな。私の祖父の故郷である山形県では、今サクランボ狩りができない状況なんです。大好きな祖父との思い出がいっぱいある山形県の経済を少しでも回したくてサクランボやスイカを注文したら、山形県の公式Twitterの人が「ありがとう」って呟いてくれた。自分の心が本当に動けば、直接会えてないけれど、大きなことはできなくても、ほんの少しSNSで呟くだけでも、誰かの「ありがとう」になるかもしれないんですね。

日本ってこれまで何度もいろいろなピンチに遭ったけど、こうやって何度も立ち上がってきた。こういうときだからこそ、また誰かが新しいかたちの助けを必要としているかもしれないし、新しく応援できるかたちがあるかもしれないって、すごく思いますね。

勉強も遊びも全力ですることが経験値になる。
若者が生き生きと生き続けることが社会貢献だと思う

リザード世代の大学生も、インスタグラムやTwitterなどSNSを活用しています。大学生ができる身近な情報発信や行動提案、社会との関わり方について、お考えを聞かせてください。

リザードの期間こそ明らかに蓄えた力で強くなってきているし、めちゃくちゃ可能性を秘めている面白い時期でもありますよね。だから、勉強も遊びも全力ですることが自分の経験値になっていくと思います。

今ってSNSが空気のように当たり前にあって、皆さんはSNSの海を泳いで育ってきた世代だと思います。だからやっぱりTwitterもインスタグラムもYouTubeも、その勢いでやってほしいなって思いましたね。
例えば私がブログでめちゃくちゃ発信しまくって、暴れまくってたのって、そのくらいの時期が一番だったと思うんですよね。忙しくても同じ熱量でずっと続けられていたんです。
今、YouTubeとお仕事を両立するのはすごく楽しいけれど、やっぱり体力的に大変な部分もあります。もし私が二十歳とか19歳の頃にYouTubeがあったら死ぬほどやってただろうなって思うから、羨ましいですよ、リザード世代の皆さんが。ですので、徹底的にやれることを惜しまずやってほしいです。
今、大学生の皆さんが生き生きとしてくれることで、大人も助かるし未来の地球も助かるので、楽しみをみつけて生き続けてくださること自体が社会貢献だと思いますね。

また、私はその頃にすごくたくさん本を読みました。SNSやニュースで文字を見た気になっちゃってるけど、やっぱり紙の本で得るものって入り方が違うと思います。読書をしたおかげで、誰かに自分の思いを話すときに、文字が言葉となって出てきてくれるという体験がとってもたくさんあったんですね。

例えば、もう13年くらいポケモン映画に出させていただいているんですが、その舞台挨拶で、ポケモンへの愛が私自身の言葉となってまとまって出てきたんです。そのときに、読書の恩恵をすごく感じました。本ってちょっと頑張らないと読めないけど、私の経験から確実に自分の糧になると思うので、すごくお勧めします。

未来の地球をつくるために行動を起こすとき、やはり何が世界で起こっていて、どんな課題を解決していったらいいのかが見えてこないとなかなか難しいかと思います。中川さんは社会情勢を把握するときに、意識されていることはありますか。

テレビを見たり新聞を読んだりする時間がなくても、ネットでまとめてくれるので海外のことも正確なデータ付きで見ることができるようになり、ニュースが身近になりました。リアルタイムで世界が把握できるので、ネットのニュースには目を通すようにしています。ニュースサイトから呟くことも結構ありますよ。その中で、これは広げない方がいいなとかこれは応援したいなとか、取捨選択するときに同じ文字でも光って見えることがあります。必要なニュースって、不思議なことに流し見でも見えてくるんですよね。

天体の情報も90年代までは図鑑でしか最新情報は得られないし、一部の星好きの人しか共有できていなかったという感じがあったんですよ。それが最近は、リアルタイムで入ってくるようになりました。
例えば木星の衛星って、80年代には16個って書いてあったんですが、どんどん発見されて今では80個近い。本だとそのときに印刷されたものが最新だけど、次の年にはまた変わってたりして、今宇宙のニュースは日々、しかもものすごくライトに身近になっている。トレンドが「〇〇流星群」とか「ストロベリームーン」とか、もう最高に嬉しいです。