セミナーテーマ
【人と地球にやさしい持続可能な社会の実現をめざして】
~身近な生活×環境への考動=みんなの一歩×社会を変える~
近年、地球温暖化が遠因とも思われる豪雨災害によって、日本も甚大な被害を受けています。最近では台風や豪雨などのように多くの人命が失われる激甚災害も記憶に新しいものとなっています。2015年12月にパリ協定が締結され、温室効果ガス排出削減のために各国での地球温暖化防止に向けた具体的な取り組みがより一層期待されています。世界的にも、環境問題に対して社会に訴えかける動きなどもあり、若い世代が中心となった運動も実際に行われています。
SDGsの目標の中にも組み込まれているように環境に対しての取り組みや、環境に配慮した行動は世界共通の認識になっており、社会全体が環境に対しての意識を高める中、様々な企業や団体が環境マネジメントや環境保全活動を実施し、持続可能な社会を実現するべく努力を重ねています。
そして大学生協も社会に生きる一つの組織として、持続可能な社会の形成に向けて取り組むことを2019年12月の全国総会でも確認しました。大学生協の組合員はこれからの未来を歩む主人公としてその道を守っていく努力を忘れてはいけません。また、大学生協がより良い生活を目指すための前提として環境活動を取り組む意義を理解し、私たちが地球に生きる一人の人間としてどのような選択、行動をするべきなのかを議論し考え、そして、その時だけの取り組みになるのではなく、継続した取り組みの推進が必要です。
現在新型コロナウイルスに見舞われる中で、環境への取り組みが疎かにならざるを得ないような風潮も散見されます。大学生協もこれまでどおりの環境への取り組みを継続するかどうか、環境に対する姿勢を再度確認していく必要性があります。また、実地での活動の自粛により大学生活における環境活動の火が消えかかってしまっている現状において、大学生協は環境活動のフィールドになる可能性を秘めています。
今回環境セミナーにおいて、環境学習・環境活動への想いの共感から、大学生協の一人の組合員として環境への取り組みはどうあるべきかを考える機会を設けます。
これからの社会を担う大学生が環境視点での倫理的な成熟と、実生活においてや自分が利用する事業等に対して環境に配慮した行動をとることが出来るような内容とします。
また、主体的な行動から周囲を巻き込む、積極的に環境活動に巻き込まれるといった環境コミュニティの形成へも一歩を踏み出せるような学びと交流を意識します。
開催日時:2021年7月10日(土)13:00~18:00 -11日(日)10:00~15:00
開催場所:オンラインにて各地より(運営本部:大学生協杉並会館)
参加実績:28会員 86名
北海道大学生協、北海道教育大学生協函館支部、北海道ブロック、弘前大学生協、岩手大学生協、山形大学生協、東北ブロック、茨城大学生協、新潟大学生協、明治学院生協、山梨大学生協、東京ブロック、愛知公立大学生協、岐阜大学生協、名古屋市立大学生協、東海ブロック、富山大学生協、大阪市立大学生協、大阪樟蔭女子大学生協、大阪大学生協、近畿大学生協、関西学院大学生協、兵庫県立大学生協、奈良女子大学生協、阪南大学生協、京都大学生協、龍谷大学生協、和歌山大学生協、関西北陸ブロック、愛媛大学生協、岡山大学生協、島根大学生協、中国四国ブロック、宮崎大学生協、九州ブロック
國見伸行実行委員長(全国社会的課題委員会副委員長・京都大学生協専務理事)より開会に際してご挨拶をいただきました。企画局長の千葉より、全国環境セミナーの位置づけ・テーマ・2日間の学びの流れが説明され、セミナーの幕開けとなりました。
班内交流を中心としたセミナーとして、企画に入る前段のアイスブレイクとして、参加者同士で実生活の中でしてしまっている「環境にいいコト」「環境に悪いコト」を出し合い、共感や互いの普段の生活の様子から距離を縮めました。いいコトも悪いことも肯定しながら認め合って、気づきあう時間となっていました。
地球や社会単位で発生している環境問題について、いかにこれらが我々の生活と密接に結びついたものであるかを理解するための時間として企画1が位置付けられていました。導入としての環境問題の発生における構図についてと、数ある環境問題の中でも「森林問題・地球温暖化・プラスチック問題」にフォーカスしての学習、そしてアイスブレイクで出し合った自分の生活での環境にいいコト悪いコトがどのような環境問題に結びついているかのワークを通して理解を深めました。『SDGs(持続可能な開発目標)』、『エコロジカルフットプリント』などの実際に我々が実感することができる要素も絡めながら参加者は、今まで表面的に知っていたことの問題の本質に気付くことや我々の実生活での消費行動が密接に環境問題と結びつき解決のためには個人の行動変容が重要であると捉えることができました。各問題の詳細については今後個々人で深めていくことを期待し、まずは各々が問題意識を実感することができたのではないでしょうか。
環境問題に対して取り組むことに対してのハードルを下げるためにも、すでに環境活動を頑張っている人から実際にしている活動とその背景にある想い、活動を始めたきっかけを聞く時間を企画2ではとりました。
講演は千葉大環境ISO学生委員会のみなさん、そして認定NPO法人JUON NETWORK鹿住事務局長からいただき、参加者は話をうけて、自身が共感した部分や自分の中で芽生えた環境への想いを様々な参加者同士で何度もアウトプットしました。環境問題を取り組むことに意欲がわいたという人、環境問題についてもっと広げていかねばならないと危機感・責任感を抱いた人、先んじて取り組んでいる人に倣い自分もできることから少しずつでも初めてみようと思えた人など多種多様な想いが生まれました。
マイクロプラスチック汚染問題の研究の第一人者である東京農工大学教授の高田秀重先生から、記念講演をいただきました。
マイクロプラスチック問題について、定義や現状、人体への影響などの視点で複数のデータや実生活の身近でイメージしやすいところを例にご教示くださいました。また、最後には東京農業大学におけるプラスチック対策と大学生協に対する期待も述べていただきました。質疑応答の時間にも素朴な疑問からアカデミックな質問まで大学生や生協職員の視点からされることでより一層参加者の学びになったのではないかと思います。環境問題についていかに身近で個人に結び付いているかを改めて深めることができました。
2日目のセミナーは大学生協を「フィールド」と「コミュニティ」として我々がどのようにして大学生協として到達をできているのか、そして今後大学生協としてどのようなことができるのかを模索しました。大学生協についての基礎的な学びをおこない、その協同の在り方はよりよい大学生活にも、よりよい環境を目指すことにも通ずることを確認しました。その後、全国大学生協連として発行しているeco-op2021を読むことで実際に大学生協はどのようなことをできてきたのかを実例として知りました。最後には大学生協というフィールドでできるみんなでしかできないコト、そしてコミュニティとしてみんなでやればやるほどよりよいコトを環境に悪影響を与える要因とその場所・感情を掛け合わせて解決策を模索しました。各班様々なアイディアが生まれ、今後の環境活動をやっていく姿を描くことができたのではないかと思います。
最後の企画では企画3を中心にこのセミナーで生まれた環境活動のタネともいえるアイデアを、セミナー終了後の大学生活において実践に移すために「考動するための第一歩」を整理すること最終的な目的としてセミナーを振り返りながらワークシート作成に取り組みました。
自分で今後やってみようという行動に対して、セミナー2日間で感じた想いを班内で振り返り、その後なぜ自分がその行動をとるのか「想いと目的」を明確にしました。加えて実際に行動に移す第一歩として「誰」に「何」を伝えるかを書き出し、整理をしていきました。個人個人が自分なりにセミナーで得たものを最後にアウトプットすることができました。最後にはこの第一歩を参加者同士で共有し、環境活動に取り組もうとしている仲間がいることも実感してみようということで「#21環セミ」でツイートをしてもらいました。セミナー後に本当にその一歩を踏み出せたかどうかを今後確認していくことは重要になりますが、まずはセミナーで得た学びを今後に生かそうとする準備は整えることができました。
閉会式では、企画局長より2日間のセミナーのまとめと挨拶があり、セミナーは最後に國見実行委員長からの言葉で無事閉会されました。