消費者

全国大学生協連・大学生協連 学生の生活リスク講座ACTIVE編(模擬調停の実践)

開催概要

全国大学生協連・大学生協連が主催し、「学生の生活リスク講座ACTIVE編(模擬調停の実践)」を開催しました。

(1) 日程・会場
開催日時:
2018年3月16日(金)15:00〜18:00
会場:
大学生協杉並会館 地下会議室
(2) 開催趣旨
大学生は、未成年者と20歳になったばかりの青年が多く、様々なトラブルに遭遇します。そのトラブルは、消費者トラブルやブラックバイトなどの事業者とのトラブルに限らず、友達との金銭の貸し借り、自転車事故での損害賠償など、様々な人とのトラブルがあります。その際に自分で解決したり、不満を持ちつつも妥協したり、あるいは泣き寝入りする場合もあります。
今回の講座では、何かトラブルが起きた際に、自力で解決できない時や相手と主張が対立した時の対処方法のひとつとしての「調停」を知り、特に「民事調停」の手続きやしくみを、レクチャーや模擬調停の寸劇などを通して学びます。
調停とは、裁判のように勝ち負けを決めるのではなく、話合いによりお互いが合意することで紛争の解決を図る手続きのことです。
後半の交流時間では、「トラブルが起きた時どうする?」を、参加者同士での感想・意見交流を通して考えます。
(3) プログラム
  • 1. レクチャー 問題解決としての「調停」早野木の美氏
  • 2. 実践「模擬調停をやってみよう」 一般社団法人ILC&全国大学生協連の学生委員
    • ・若者を主人公に、トラブルの発生から民事調停までの流れを実演します
  • 3. グループでの全体交流
    • ●交流テーマ
    • ・基調報告、実践を受けての感想
    • ・自身の体験を踏まえた意見交流
    • ・学生が気を付けるべきことは何か

(4)当日の様子

グループディスカッション「あなたならどうする?」

消費生活専門相談員(大学講師)の早野木の美氏より、何かトラブルが起きた時、「あなたならどうする?」という問題提起があました。グループごと関心のあるテーマを選び、交流を行いました。1番のテーマを選択したグループが多く、「1000円以内なら黙っているが、5000円なら絶対返してほしい。とにかく直接催促する」「友人関係を壊したくないので催促しにくい」という意見がありました。

グループディスカッション「あなたならどうする?」

レクチャー『若者に多い消費者問題から』

消費生活専門相談員(大学講師)の早野木の美氏より、東京都消費生活総合センターの平成29年のデータからみる『若者に多い消費者問題から』を紹介していただきました。若者の相談事例で最も多いものは、放送コンテンツ、デジタルコンテンツ、アダルト情報サイト等の被害による相談でした。
 他にも、「『定期購入』となる健康食品」に関する相談事例や、「コンビニ払いを悪用する架空請求」に関する相談事例を報告していただきました。

レクチャー『若者に多い消費者問題から』

レクチャー『若者に多い消費者問題から』

調停とは

消費生活専門相談員(大学講師)の早野木の美氏より、トラブル解決の仕組み全般の紹介と、調停について説明していただきました。紛争の解決方法として、通常の訴訟の他にも、「少額訴訟」や「民事調停」「家事調停」があること、裁判以外の解決機関が多数あることを紹介していただきました。

調停とは

調停とは

実践!模擬調停 「甘い話に乗せられて」

ILCの協力により、実際の調停の様子を知ることのできる模擬調停を実施しました。今回の描き下ろしのシナリオに合わせて、学生やILCの方々が役を演じました。

仮想通貨の情報商材をめぐるトラブルであり、純粋な学生が情報商材会社の罠に引っ掛かり、様々な解決法を試みて、最終的には調停という形で、学生と情報商材会社の社長の間に合意が生まれ、トラブルが収まるというものです。


「騙され役」である主演の学生Aくん


情報商材会社の社長と悪い先輩学生Bくんが学生Aくんを罠に陥れています


「絶対もうかる」という話に飛びついて買った情報商材が役に立たず、返金を求めて消費生活センターへ相談をしています


契約書がしっかりしている事から法律上では問題ないと助言弁護士から回答をもらい、調停をすることを決めました


調停では、お互いの合意を得るために、調停人が公平公正に話し合いをすすめます。
申立人であるAくんと相手方の社長それぞれが相談室に入ったり出たりして話し合いが進み、Aくんは支払った金額の8割を取り戻すことができました。

模擬調停の解説

ILCの八束(元)裁判官と藤村弁護士による模擬調停のストーリーに関する解説と質疑応答がありました。お互いの合意が取れた際に作成する「調停合意書」に関する質問がありました。

グループ・全体交流・まとめ

1日を通した感想交流をグループごと行い、全体で共有しました。普段学生が中々知ることのできない、トラブルの対処法について学ぶ中で、一つの手段として「調停」があると知ることができたことや、そもそも騙されないようにすること、リスクを知ったうえで生活することの大切さについて話し合いました。

最後には、八束(元)裁判官から、判例の紹介や1日を通した所感をまとめてお話しいただきました。


ILCの方々も班に加わり、交流しました。


学生から全体共有がありました。



八束先生のまとめのお話の様子