My eyes World eyes

日本の四季を通して学んだこと

顔写真
北海道大学 大学院農学院 博士3年
シティ ヌール シャファ
Sitty Nur Syafa

四季で語る留学体験

 私はアカデミックでのキャリアを充実させるため、日本に留学することを決めました。北海道大学は日本の大学の中ではよく耳にする大学ですが、それまで日本に来ることさえ思わなかった私は少し不安を感じていました。母国にいた頃、家族と離れて生活すること自体には慣れていましたが、母国から離れるのは初めての経験だったからです。それまでも新しい環境に馴染むのは問題ありませんでしたが、四季のある日本での生活は想像しづらいものでした。そうしたことに多少の不安を感じながら、北海道大学への進学を準備していました。

 札幌に到着したのは2014年9月30日です。関西国際空港で乗り換え、新千歳空港に到着しました。この日から私の留学生活が始まりました。9月の下旬は、札幌の夏が終わりかけて、少し涼しく感じていたので、天気予報をよく確認するようになりました。その時、雨季と乾季しかないマレーシアに生まれ育った私は、毎日天気予報を確認する習慣が全く無かったことに気付きました。

私が学んだ初めてのこと


秋、札幌市の中島公園で紅葉狩り

 10月の中旬から、映画でしか見たことがなかった紅葉を初めて楽しみました。緑色から鮮やかな赤や黄色の葉で覆われた大学、そして札幌の景色に感動しました。また、早く夜を迎えることを知りました。ムスリムの私は1日に5回お祈りをしないといけないので、それは私にとって大事なことでした。お祈りの時間は日の出と日の入り時間によって変わります。また、断食をするラマダンの1カ月の間は、日の出から日の入りまでの時間、それをやり遂げるのが大変でした。日の出が早ければ早いほど早く起き、お祈りをし、断食する前にも朝食をとる必要があったからです。逆に、日の入り時間が遅ければ遅いほど、断食を終える時間がより長くなってしまいます。

 マレーシアでは、日本と違い日の出と日の入り時間は一年中ほぼ同じで、お祈りの時間はあまり変わりません。つまり、ラマダンの時も断食の時間がほぼ一緒で12時間でした。日本でのラマダンは私にとって一つの試練でしたが、無事に乗り越えることができました。

私が学んだ二つ目のこと


冬、北海道のルスツスキー場(虻田郡留寿都村)

 季節が変わって、冬がやってきました。冬が来る前には雨がよく降ったり、強い風が吹いたり、さらに台風もありました。

 やがて降っていた雨が少しずつふわふわの雪に変わっていきました。雪が降り、キャンパスが雪で真っ白になったのは私の最初の冬の思い出です。私はダウンジャケットを着たり、手袋をしたり、さらにブーツをはいたりしないといけないことにすぐ気づきました。北海道の冬は長いと聞いたので、気分が落ち込まないようにスノーボードを始めました。ほかにも、ホワイトクリスマス、札幌ミュンヘンマーケット、ホワイトイルミネーション、雪祭りなどを楽しみました。

 しかし、冬の静電気には苦労しました。冬は空気がとても乾燥していたので、家で髪を梳かしたり、服を着たり、さらにドアを開けたりするときにも、静電気がよく発生しました。大学院の実験は、へらで細かいサンプルを移す作業が多く、静電気のせいでなかなかうまくいかないことがありました。それは暖かく湿っぽくすることが大事だということです。マレーシアは一年を通じて暖かく湿っぽいのですが、北海道の冬は毎日快適に過ごせるように加湿器を使う必要がありました。

私が学んだ三つ目のこと


北海道の中標津町で

 5カ月が経って、春の日差しが差し始めました。気温が徐々に上がって、積もっていた雪も解け始めました。春がやってくると葉っぱも生え、並木が緑色に変わり、綺麗な桜やチューリップも咲きました。花見の時期には、農家の畑作業も始まりました。大学では授業、実験、ゼミ、学会などで生活が活発になりました。春は誰もが元気になり、元気に仕事ができる季節です。


春、東藻琴芝桜公園の芝桜(網走郡大空町)

留学生委員会合宿
春、上湧別のチューリップ公園(紋別郡湧別町)

私が学んだ四つ目のこと

 青空が見えてきて、夏を感じる時期が来ました。歩いている人よりも自転車に乗る人の方をよく見るようになりました。この時期の牧場では馬や乳牛を見ることができたり、ひまわり、ラベンダー、イチゴ、トマト、サクランボ、リンゴなどの花や作物を楽しんだりすることができました。これらすべては夏にしか楽しめないものでした。仕事と遊びのどちらも満喫することです。もちろん一所懸命仕事をすることは大事ですが、それと同じくらいそれぞれの季節を楽しむことも大事だということです。

 こうして夏が終わり、私は四季を経験しました。北海道で勉強しながら四季を楽しめたことをありがたく思っています。この春には博士課程を修了し母国へ戻る予定ですが、今振り返っても日本での生活を楽しく過ごせていたと思います。それと同時に、母国でのいつもの生活に戻るのを楽しみにしています。

『Campus Life vol.54』より転載