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冬に負けない留学生活

顔写真
北海道大学 工学部 4年
李 在薫
Jaehoon Lee

うってつけな北海道の夏

 7月になった。本州はすでに30度を超える気温を記録し、台風が襲ってくると同時に大雨で甚大な被害があったというニュースが流れている。次に、北海道の天気が放送され、僕はジャケットを着て外に出ることにした。

 僕が住んでいる北海道札幌市へ夏はなかなか来ない。来たとしても、すぐ通り過ぎてしまう。真夏と呼ばれる時期になったとしても、ショートパンツに半袖姿で外に出る機会はなかなか来ない。そのような格好で外に出ると、「ヒヤッ」とした夜の空気で夏風邪にかかってしまう。

 しかし、このように夏のない天候こそ僕が北海道へ留学を決めた最も大きな理由である。汗を流すとすぐ汗疹が出てしまう敏感な肌のせいで、入試の時九州大学と北海道大学の間で迷わず北海道大学を選んだ。とにかく暑いのは苦手なので、僕にとって北海道の夏はうってつけであった。しかし、当時の僕は重要なことを見逃していた。それは北海道の冬であった

北海道の冬そして雪


北海道の雪道

 北海道の冬は11月から始まり5月に終わる。これは気象庁とか国で決めた基準ではなく、初雪が降る時点を冬の始まりとし、雪が完全に溶ける時期を冬の終わりとみなす自分の勝手な決め方である。

 一度雪が降り始めると、なかなかやまない。そして毎日、少しずつでも雪が降ってしまうせいで、雪はすぐ靴から足が抜けてしまうほど積もってしまう。そのため、勤勉に家の前の雪を片付けなければ、外出の始まりを雪で濡れた靴と共にすることになる。

 夜明けになると巨大な除雪車が忙しく、道路に積もった雪を道路と歩道の間に詰めていく。結局その雪の高さは人の背ほどになる。そのおかげで向こう側に誰が歩いているか、どんな車が通り過ぎているか確認することができない。そしてその雪は4月になってもなかなか溶けずその高さを維持する。

大雪の中、淡々と講義は始まる


美瑛の雪原

 このような変わった天気のおかげで、僕の留学生活も同時に普通ではないものになってしまった。初めて札幌に来た時大雪が降ったことがあった。それなりの備えはしたのにも関わらず、学校に行く途中で両足そして上着が雪に襲われ、学校に着いた頃にはすべて濡れてしまった。雪が降るときにはあえて傘を使わない主義だったが、このようなことを経験してからは雪が降っても必ず傘を持って出かけることに決めた。

 教室に入る前に思った。「これほど雪が降っていたからどうせ遅刻するやつらも多いはずだよな。うまくいけば休講になるかもしれない!」。しかし、それは大きな誤算であった。すでに、僕より先に学校に到着した人々が教室を埋めており、授業時間定刻には先生が入ってきて「何気なく」授業が始まった。とても不思議な光景であった。雪が降りすぎて窓の外は真っ白になっているのに、それについて一言もなく授業が開始されるとは。みな北海道に住んでるうちに〝道民〟になってしまったのか。

冬の楽しみ 〜居酒屋、スポーツ、旅行

 一日も欠かさず雪が降り、どの地域より早く夜が訪れる北海道では、自然と町の雰囲気が暗く静かになる。雪が積もり、気温が氷点下になると、誰もが外に出たがらなくなってしまうからである。

 特に学生だと、吹雪がやってくる朝登校をして、薄暗くなった夕方にカラスの鳴き声を聞きながら自宅に戻ると、誰でも気持ちが落ち込んでしまうだろう。なので、その長く憂鬱な冬をどう乗り越えるかが、北海道での成功的な留学生活のキーポイントとなる。

 最もシンプルで簡単な方法は、知人と居酒屋で酒を飲むことであろう。近所の居酒屋にみな集まり、冬について話し合い、励まし合いながら酒を飲む。特に北海道には、新鮮なお刺身やザンギなどお酒によく合うおいしい食べ物がいっぱいある。また、何よりもサッポロビールや有名な日本酒が多いので、居酒屋で「わいわい」することはなかなか飽きづらいことである。

 もう一つは、冬スポーツを楽しみに行くことである。北海道はどこに行ってもスキー場がすぐ見つかる。札幌周辺だけでも五~六つのスキー場がある。さらに、中古品を売る店に行けば、スキーやスノーボードの装備をとても安価で簡単に購入することができる。僕の場合、初めて札幌に来た時、中古ですべての装備を備えて人生初のスノーボードを楽しむことができた。それから、毎年スキー場に二、三回ずつは行くようになった。

 最後は旅行である。雪で覆われた自然風景を見られるのは北海道ならではのことである。もちろん、大雪のなか車で旅行をすることは難しく危ないことである。しかし、誰もいない田舎の雪道を車で走ると、むしろ落ち着くようになって気持ちが良くなる。


最北端に日の出を見に行った僕


とにかく雪がたくさん降ります

大切なのは"やる気"

 このような冬の活動を始めるためには、第一に自分からやる気を出さなければならない。みんな冬になると「寒くて雪が降る」と言い訳をしながら外に出たがらない。そのなかで、自分のやる気をみんなにどう伝えていくかが重要となる。逆に相手側のやる気なさが自分にも感染してしまうかもしれないので注意がいる。

 もちろん、以前は自分も他のみんなと同じく冬になるとずっと家にこもる生活をしていた。そんな中である日、元気な先輩に説得され、初めて冬の旅に出たりスノーボードをしに行ったりした。すると自然と僕の中に活気があふれ、家にずっとい続けるのがもったいないと感じるようになった。活気のある先輩はもう札幌を立ち去ってしまったので、今度は僕がその活気をみんなに伝えていかなければならないと思うようになった。

 今年の冬も無事、この活気という「火種」を周りに伝えていきたい。

『Campus Life vol.56』より転載