国際活動

国際貢献の活動:頑張っている大学生の仲間にインタビュー
~「TFT-UA」で頑張っているみなさん~

インタビュー

  • ⽥中 ⾵太さん
    (TFT-UA 全国代表/⼤阪府⽴⼤学2年⽣)

  • ⽥中 翔⼦さん
    (TFT-UA関東コア 副代表・渉外担当/津⽥塾⼤学2年⽣)

  • ⼤川 碧葉さん
    (TFT-UA関東コア データ管理担当/東京農業⼤学2年⽣)

  • 中村 昂央⽣さん
    (TFT-UA関⻄コア 代表/⼤阪府⽴⼤学2年⽣)

聞き手

  • 吉村 暢基
    (全国⼤学⽣協連 学⽣委員/国際担当)
  • 四⽅ 遼祐
    (全国⼤学⽣協連 学⽣委員/国際担当)

インタビューの位置づけ

「国際貢献活動」と言われると「難しいもの」「かなり行動力がないとできないこと」という風に思ってしまいがちです。全国の大学生協では、ユニセフ募金をはじめとした国際貢献活動が学生委員会を中心に行われていましたが、近年はなかなか動き出せていません。

一方で、全国の大学には、様々な形でこういった活動を精力的に行っている大学生がたくさんいます。このインタビューではキャンパスの中で・キャンパスの外で頑張っている大学生に目を向け、その頑張りや想いを聞いてみたいと思います。

みなさんが普段生活するキャンパスにもそんな仲間はいるはずです。ぜひ同じキャンパスで生活する仲間を見つけ、大学生協というプラットフォームの上で一緒に頑張れることを探してみてください。

TFT-UAとは?

世界の約70億人のうち、約10億人が飢餓や栄養失調の問題で苦しむ一方で、20億人近くが食べ過ぎが原因で肥満状態にあります。TABLE FOR TWO(以下、TFT)は、このような深刻な食の不均衡の解消に両側から取り組むべく、2007年秋に日本で創設されました。

TABLE FOR TWO University Association(以下、TFT-UA)は、そんなTFTの理念に賛同し、TFTの活動を広めるべく様々な大学から集まった学生団体です。全国の各大学で組織されており、それぞれの団体が地域や全国で協力しながらミーティングやプロジェクトを進めておられます!

大学生協連では、昨年「#Onigiri Action」というTFT主催のプロジェクトに協力し、全国の大学生協でも取り組みが進みました。

みんな普通の大学生!?

吉村
早速、質問をさせていただきます。みなさんは、めちゃくちゃ頑張っている意識の高い大学生というイメージが勝手にあるのですが、Table For Twoの活動以外のところ、普段はどんな過ごし方をしていますか?

風太
学部は経済学部で国際貢献とかはほとんど関係ない学部です。普段はバイト三昧です。あとは旅行が趣味で、旅行に行ったり、自転車で走り回ったり、カメラを持って写真を撮りに行ったり……。めっちゃ働いて一気にお金を使う、みたいな大学生活を送っています。

吉村
食べ物をおうちに届けるアルバイトをしているって言っていましたね。笑。

風太
そうです。自転車で走り回っています。僕は自分のことを普通の大学生だと思っているし、普通の大学生が全国代表をしている感じです。

翔子
私は開発経済学のゼミにいます。サークルは、TFT以外にもいろいろやっている。バスケとか。キラキラした学生になりたいんですよ(笑)。バイトは携帯ショップの営業をしています。いろいろ経験ができますよ。

大川
大学では栄養科学を専攻していて、管理栄養士になるための勉強をしています。管理栄養士になるのに料理できないのはやばいな、と思って去年の10月くらいから家族の料理を最近つくりはじめました(笑)。サークルはTFT-UAのほかに英語のサークルに入っていて、バイトもカフェと映画館を掛け持ちしています。

吉村
普段はほかの大学生と一緒ですね!

中村
自分は学部が工学部でまさか自分がTFTに関わるとは思っていませんでした。1年生の時にボランティア活動紹介の中にTFTがあって、先輩との関係で居心地がよく関わるようになりました。そのあといろいろ興味が出てきてかかわりを深めているうちに気づいたら関西コアの代表になっていました。ちなみに勉強は成績が芳しくないのでノーコメントで(笑)。バイトは塾講師だけで、比較的のんびりした大学生活を送っています。

TFTに関わり始めたきっかけ

吉村
そんな皆さんが、なんでTFT-UAに入ろうと思ったんですか?

風太
僕は、大学に入ったときに何かしたいなと思っていました。高校までずっと野球をしていて、野球をしたくて府立大学に入ろうと決意して受験をしました。実は一浪しているんですが、浪人をしているときに己の無知さに気づいて、社会に関わりたいと思うようになりました。「野球やめようかな」とまで思いました。そして大学に入って、あれよあれよの間に全国代表(笑)。自分と自分が知らなかったことのギャップに違和感を持ったというのがきっかけですかね。

翔子
私も浪人生だったんですが、浪人時代に食品ロスの問題に興味を持ちました。テレビで発展途上国に支援する以上に日本で捨てられている食品の方が多いという現状を知ったので。食品ロスの問題に関わりたかったんですよね。で、浪人生のときにTFTを知りました。なので国際貢献がしたくて、というよりは、食に関わることがしたいと思ってTFT-UAに入ったのがはじまりです。一方で、自分がどんな風に貧困に関われるのかとか国際貢献的なことはTFTに関わる中で考えるようになりました。きっかけは食品ロスへの問題意識でしたが、TFTの団体でに入ることでそこまで考えられるようになれたのはよかったです。

大川
私は、TFT-UAを知ったのは大学に入ってからです。新歓期にサークルのビラ配りで知りました。私は栄養科学科に所属していますが、もともとこの学科に入ったのは食を通して人を支えたいと思ったからなんです。「食」って薬と違って即効性はないけど持続性はあると思います。そういうことに考えていた新入生の時期にTFT-UAに出会いました。新歓のビラにTFTの理念が書いてあったんですが、そこに「先進国の人たちの生活習慣病にも関わる」と書いてあって、それが決め手になりました。私が目指している管理栄養士は生活習慣病を予防・撲滅する職でもあると思うので、そこに学生のころから関われるというのは大事だと思っています。管理栄養士になってできることもあるけど、学生のうちからできることもここでならあるなと思って東京農大のTFT-UA入りました。

中村
僕はボランティア活動は高校のころからやっていました。TFTを知ったとき、一般的なボランティア活動とは少し生活が違うと思いました。

四方
具体的にはどんなところ?

中村
自分のしたことが直接誰かのためになるわけではないというところです。高校のころは、例えば花壇の整備とかだと、自分の思うようにやったことが誰かの喜びとかにつながっていくことがボランティア活動の特徴でした。でもTFTは、正直目に見えないものを扱っています。寄付金とかも目の前にあるお金ではないです。そういう、直接的に相手や成果が自分の目が見えないことを「やろうよ」って他人に伝えて巻き込んでいく必要があって、そこは難しいし複雑に感じる。それをどうやっているのだろう?って思いました。

四方
なるほど。面白いですね。

TFT-UAで頑張っていること

吉村
では、TFT-UAの活動の中で頑張っていることを教えてください。

風太
今やっている「#おうちTFTプロジェクト」は、今の情勢でできることが少ない中で絞り出したアイデアだと思います。TFT-UAは各大学の団体を含めると組織全体で考えるとかなりの数の大学生がいます。そういう仲間に、できることがほとんどない中で家でもできることを提案しようと考えて始めました。もちろん反省点はたくさんありますが、ハードルを下げて国際貢献できる機会は広げられたと思っています。

吉村
国際貢献って「すごいこと」っていうイメージがあるけど、めちゃくちゃ「すごいこと」をしないといけないわけではないですよね。

風太
そうなんですよ。

社会に生きる「ワカモノ」として

吉村
今の社会の問題に対して何か興味があることってありますか?

風太
最近の自分のテーマは「共生」。自分は、大阪府の鶴橋の近くに住んでいますが、このあたりは外国人の人が多く住んでいます。そういう環境が当たり前だと思って育ったけど、大学生になっていろんな人と話すうちに知らない人も多い事に気づいたんです。日本人の関心ってそんなものか、と思いました。例えば、「ヘイトスピーチ」の問題もそうだと思っています。韓国が単に嫌いなのではなく、過去に韓国から何らかの被害にあっていってああいう行動をしている人もいます。ヘイトスピーチはもちろんダメですが、ヘイトスピーチの主体者のことを知らずにヘイトスピーチがダメだと言っている人が多くて、それは癪に障るなぁと思っていますね。

吉村
すごい社会に目を向けているなぁ…。僕も似たようなことを考えたことがあります。自分の意見だけでなく、いろんな方向から見ているのはすごいですよね。そうやって考えていく人が増えていくといいなぁと思うし、「国際貢献活動」を見てもそういういろんな視点から考えて進めていきたいなぁと思いました。

どんな大人になりたいですか?

吉村
話は飛びますが、10年後どんな人になっていたいと思いますか?

風太
これといったものに就きたいはないけど、いろんなものを知りたいというのが今の自分です。これという仕事はないですね。警察?農業やる?など、いろいろ考えを巡らせられます。1つだけ言えるとしたら幸せな家庭を持ちたいというのがあります(笑)。目の前にあるもの一生懸命生きたいなぁと今は思っています。

翔子
私は、おかしい事に素直におかしいといえる人ではいたいと思います。3分の1ルールというのがあって、賞味期限までの期間の3分1を過ぎると賞味期限がもっと先でもそこを過ぎたら捨てられる慣習があるんです。法律でもないのに新鮮であることを追求するがゆえに多くの食品が捨てられていきます。こういう問題って、大人になるにつれて捨てる意味も分かるし、新鮮な方を自分も選ぶし、フードロスに加担していく選択もしていってしまいます。妥協してしまうんですよね。おかしいと思っていも、大人になっていろんな事情が分かってくるとあきらめてしまうことがあると思うんです。

風太
わかるわかる。

翔子
そう。でも、それをちゃんとおかしいって言える人でいたいと思っています。

吉村
確かにそうですね。「でもやっぱり…」ってなっちゃいます。そういう風に問題意識は持っていてもなかなか行動に移せない人って多いと思います。「わかってはいるけど…」っていう。そういう人たちは全国に多いと思んですが、どうやったら行動に移せるんでしょうね?

翔子
私は何かに違和感を持って「何かをしたい」と思った時点ですごいと思います。これは大学で学んだ話ですが、SDGsって17個のゴールはあるけど具体的にどうしろとは書いていないんですね。国も自治体も企業も、やり方は何千通りもあるんですよ。だから私たちそれぞれにも自分にあった行動の起こし方があると思う。「自分がどういうやり方でその問題に関わりたいんだろう?」って考えれば、どこかの団体に入るとか起業するとか募金するとかそれぞれのやり方が思いつくのかな、と思います。

吉村
確かに、自分なりのやり方ってありますよね。

大川
私がまさにその「行動に移せない人」でした。早い段階から行動力を示していた同期も多い中で自分はTFT-UAが全国のつながりの中で何をしているのかも詳しく知りませんでした。関東コアの運営メンバーになるときも、勉強との両立ができるかで迷ったんですが、先輩に「できる人はできるしできない人はできないよ」って言われたのは大きかったです。そこで、少しでも興味があるならやってみてもいいかなと思いました。まだ自分は大学生でお金をもらって仕事をするわけでもないので、やってみてダメでも取り返しはつく時期かなとも思って勇気を出して活動を始めました。

吉村
中村さんは高校生のころからボランティア活動をしていたとのことですが、どうですが?

中村
人間は考えだすとネガティブ要素を考えだすらしいんですよ。行動しない理由を考えがちなんです。だから、考える前に行動しようと思っています。大学の課題も深く考えすぎずとにかく先にやってみる、みたいな。

一同
笑。

中村
いや真面目な話ですよ。それが難しいんですけど。だからこそ今はまさにそれを心がけています。まずはやろうって考えるようにしています。

吉村
僕もそれが難しいとずっと悩んでいます。

中村
できている人はそういうことが癖づいているなぁと思うからこそ、習慣づけたいです。

全国の大学生のみんなへ

吉村
では最後に、全国の大学生の仲間に向けてメッセージをお願いします。

風太
なかなか活発な活動はできない時期です。活動規模が減ると影響を受ける人が減っているわけですが、でも少しでも動けば少しでも他人に影響を与えられます。だからこそ、やめるのではなくてできることを精一杯やれば誰かのためにはなると思います。僕たちも頑張りたいです!頑張っていきましょう!

大川
頑張っていても考えれば考えるほど、自分がやっていることが本当に意味があるのかとか不安になってくることもあると思います。ですが、行動することには意味があると思うので頑張っていきましょう!

翔子
社会に関心がある人は、自分の行動・活動に対して本当にこれが正解なのか?と思うことがあると思います。学生団体って偽善団体なんじゃないか?という問題意識を持ったこともあります。私は、「誰かのために」ってずっと思っていたけど、これは自分のためにもなっていると思うんです。ボランティア活動に関わっていないときには自分が考えていなかったことを考えるようになっています。無力だから意味がないわけではないと思うんです。周りのためにって思いすぎると視野を狭めてしまうこともあると思います。だからこそ、自分も大切にしてほしいし、誇りを持ってほしい…あれ伝わりますか?(笑)

吉村
伝わります!やりたいと思ったことが義務化して言っちゃって「やらなくちゃ!」ってなってしまうことはよくあると思う。義務感にかられるんじゃなくて、自分なりに自分のためにも誰かのためのも、いろいろ頑張れるといいですね。
今日は、ありがとうございました。

一同
ありがとうございました!