北海道大学名誉教授
(前北海道大学保健センター長)
武藏 学
札幌は西と南を山に囲まれ比較的緑の多い街ですが、それでもたまにはどっぷりと自然に漬かりたくなります。そこで、10月半ばの連休に家内と1泊でニセコへドライブに行ってきました。札幌から中山峠経由で2時間弱、羊蹄山(蝦夷富士)の美しい山容を愛で、旬の終わりの落葉キノコ(イグチ)を採っての楽しいドライブでした。特に印象的だったのは泊まったペンションのご主人が朝食後に披露してくれたアルプ・ホルンでした。晴天のきりっとした空気に大きくて暖かいホルンの音が響きます。しばし、スイス・アルプスにいるような牧歌的な気分を味わいました。「ちょっと吹いてみませんか?」のお誘いに生まれて初めて重いホルンを持ち、教えに従って吹いてみました。すると、音が出たのです。トランペットやトロンボーンと同じようにホルンも唇を震わせて音を出すそうです。初めての人で音が出るのは珍しい、とおだてられてその気になり、長く伸ばしたり、短くしたりとすっかり楽しくなりました。
私はクラシックでもジャズでも聴くのは大好きですが、楽器はまったくできません。初めての挑戦で音が出たホルンは自分に向いているかもとうぬぼれたのですが、ニセコならともかく札幌ではアルプ・ホルンは大き過ぎて使えません。しかし、「ホルンはトランペットと同じ」というご主人の言葉を思い出し、思い切って中古品を購入してトランペットを始めました。もちろん、ひどい音です。実は、中学1年生の時にブラスバンド部顧問のクラス担任からトランペットを勧められたことがあったのです。結局、ブラバンには入らなかったのですが、あの時にトランペットをやっておけば良かったという思いを長く引きずっていました。それに、指を動かすことへの集中は気分転換にもなるし、老化防止にもなるそうです。そう言えば、前の職場の臨床心理士の方は楽器を嗜む人が多かったのを思い出しました。中高生の頃に耳にしたベルト・ケンプフェルト楽団の「星空のブルース」を朗々と吹いている自分の姿を夢みつつ、家内とご近所に迷惑をかけているこの頃です。
日本内科学会1、2、日本血液学会1、2、3、日本癌学会、日本臨床腫瘍学会1、死の臨床研究会北海道地方部会常任世話人、全国大学保健管理協会4(1:認定医、2:指導医、3:評議員、4:理事)