大学院新入生のみなさんへ

辻 洋 先生
(元大阪府立大学学長・大阪公立大学生協理事長)

成長のフェーズを考えよう

辻 洋 先生
辻 洋 先生

辻先生の著書のご紹介
『しなやかにしたたかにシステム思考:学長からのメッセージ』

『しなやかにしたたかに
システム思考:
学長からのメッセージ』

昨年、脚本家の三谷幸喜さんが夏休みの感想文の書き方で興味深い話をされていた。(1)「あらすじ」は不要、(2)「どう思ったか」ではなく、「どう変わったか」を書く、というものだ。言うは易くとも選んだ本によってはなかなか難しい。感想文に限らず、大学院で研究する力についても継続して「どう変わったか」「どう変わっていくか」を自分自身で見つめてみることが大切だ。簡単ではない。

学術研究の世界に入った当初は、先生や先輩からテーマ、調査すべき文献、考察や実験の進め方など全てを学ぶことだろう。一つの成果を出すと、自ら関連文献を収集し、研究の進め方についても自ら計画する力がつき、次のステップでは自らテーマを設定する力をつけることができる。さらに研究力をつけると、後輩に自分の持っているテーマを分けたり、進め方を指導したりする立場になる。

分野にもよるが慌てる必要はない。早く成長する人もいれば、ゆっくり成長する人もいる。経済的な事情や家庭の事情、自身の健康などから制約があっても慌てることはない。コロナ禍や地震などの被害にあっても落ち着いて自身を見つめてほしい。今、自分がどのフェーズにいるか、そして、次にどのフェーズに変わるかを考える習慣をつけてほしい。

成長のフェーズを考えることにより心にゆとりもでき、「何をいつまでにしたい」と言う目標ができてくるはずだ。ダーウィンも言っている。「強いものが生き残るのではない。変われるものが生き残る」と。

辻先生の著書のご紹介
『しなやかにしたたかにシステム思考:学長からのメッセージ』

『しなやかにしたたかにシステム思考:
学長からのメッセージ』

学生の健康で安全なくらしを考える
~こころとからだを支える健やかな学生生活~