ふくしま被災地スタディツアー2018

主催:全国大学生活協同組合連合会 平和と社会的課題委員会

1.開催趣旨

「1000年に一度の災害」と言われた東日本大震災と、それによって生じた福島第一原子力発電所の事故から7年が経過しました。2017年4月1日時点で、帰還困難区域を除いたすべての地域で避難指示が解除されました。しかし、除染や低線量廃棄物の処分もまだまだ途上です。廃炉も政府・東京電力の工程表では目安として40年で完了する計画となっていますが、実際はそれ以上の年月を要するのではないかという推測も多く挙がっています。その他にも、避難者の帰還問題、賠償問題、そして健康被害や農産品の安全性についての風評被害問題など、様々な問題も生じています。そのような諸問題が過去のものでなく現在進行形のものだということを理解し、福島の事故は今もこの先も向き合わなければならない日本社会の大きな課題だということを若い世代を中心により広めていくことが、福島の復興につながります。
普段の生活で原発事故やそれによって生じている問題・課題を思い出すことが少なくなっている今、津波と原子力災害の複合災害を受けた「福島」について正しい情報の理解と共感を広め、各地での学びにつなげるため、ふくしま被災地スタディツアーを開催します。

2.開催概要

日  程:
2018年9月10日(月)14:00 ~ 12日(水)12:30(2泊3日)
開催場所:
福島大学、福島県浜通り地域、飯坂ホテル聚楽
募集定員:
50名
参加対象:
会員生協の組織委員・生協職員、ブロック事務局員

3.参加実績

5ブロック41名、全国大学生協連合会7名(事務局) 計48名
(昨年度:7ブロック27名、全国大学生協連合会5名(事務局) 計32名)

4.当日プログラム

1日目(9月10日)
場所:福島大学S棟S-41教室

■開会、うつくしまふくしま未来支援センター長ご挨拶
ツアー1日目は、2日目の様々な体験の土台となる知識を得るため、福島大学の専門家の先生方から講演をしてもらいました。まずは、未来支援センターのセンター長である初澤敏生さんの挨拶から始まり、未来支援センターについてお話をしてもらいました。

■専門家の先生からレクチャー
東日本大震災の被害に遭った福島の復旧・復興の支援活動を行う「うつくしまふくしま未来支援センター」に属し、放射線・農産物について研究している大瀬先生、被災地の情報をこれからに伝えることについて研究している天野先生の2名の方から、それぞれの専門分野についてお話を頂きました。

「放射線の基礎知識と農産物への影響」…大瀬健嗣特任准教授
福島において今も大きな問題となっている原子力災害という視点からレクチャーが始まりました。大瀬先生のお話では、初めに似た言葉である“放射能”と“放射線”は何が違うのか、半減期とは何かなど,放射能に関する基礎知識を学びました。原発事故後、福島ではどのような状況であるのかという点で、日常や原発周辺における被ばく量を定量的に捉えました。農産物の放射能汚染と,それがなくなった現状までの推移のほか,風評被害の問題を知りました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

「歴史・文化資源を護り、伝える-東日本大震災の経験から-」…柳沼賢治特任教授
文化財を活用した地域づくりについて研究されている柳沼先生からは、重要記録を保存・活用し、未来に伝達する「アーカイブ」のお話をしていただきました。実例を通して,被災文化財等を保存するうえで,分野ごとではなく,コミュニティを単位に保存することで災害を自分ごととして捉えてもらい,将来への教訓としていく工夫を学んだ。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

■企画①「福島県の被害について/1日目の振り返り」
グループ交流(参加動機など含め自己紹介、本日の振り返り)

講演会のあと、福島大学から飯坂ホテル聚楽へ移動しました。
全体で「福島県における原発立地地域の位置について/原発事故後の避難指示区域と避難解除区域の変遷について/(参考資料)震災後の福島大生協の対応」について、大学生協東北ブロック・田中康冶事務局長(震災当時:福島大学生協専務理事)より報告をしていただきました。
報告後は参加動機を交流し、少人数グループに分かれて今日のお話を受けた感想などを交流しました。


2日目(9月11日)
場所:福島県(浜通り)

■バスにて被災地移動教室(ガイド:コープふくしま 宍戸常務・斎藤理事)
ツアー2日目は、1日目に得た知識を持って現地を見てまわりました。ガイドの宍戸常務からは、2日目に回る飯舘村や浪江町、楢葉町の状況が掲載されているニュースの解説をしていただいたり、バスから見える景色に関する情報を教えていただいたりしました。斎藤理事からは休憩時に立ち寄った道の駅でのおすすめお土産などを教えていただき、福島の魅力への理解にもつながったようでした。参加者には線量計が配布され、各地を回る中で数値の変動にも着目しました。放射線という「見えない脅威」について実感する機会となりました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

■子安橋付近(福島第二原発展望)
福島第二原子力発電所が見える場所に降り、地震が発生したときの様子や原発の近くで生活している人々に想いを馳せました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

■夜ノ森地区(帰還困難区域境界)
帰還困難区域とそうでない区域の境界がどんな様子であるかを見ました。バリケードで区切られた先には帰還困難区域として立ち入りできないエリアが広がっており、一方で帰還困難区域でない地域には人が生活している様子があり、そこで生活するか否かについて考えた参加者もいました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

浪江町請戸地区訪問
津波の被害を受けた浪江町の請戸地区を訪問し、バス車内から実際に自分の目で津波の被害を見ることができました。震災発生前は住宅や建物が多く立ち並んでいた地区でしたが、現在はそれらのほとんどが跡形もない状態であり、残されている建物からも津波の被害の大きさを感じることができました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

■浪江駅周辺見学
まだ地震の爪痕が大きく残る地区であり、当時の被害の状況を実感する場所でした。建物の様子を見ながら、「もし自分が被災者だったらこの地に帰ってきたいと思うか否か」について考える参加者もいました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

その他にも、バスから見える大量のフレコンバッグや除染作業に向かう車、除染作業をしている方に自主的に疑問に思ったことを質問する参加者もいました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

参加者の声

■浪江まち物語つたえ隊による講話
原発事故後の先行きの見えない避難生活を老婆の視点で描いた「見えない雲の下で」と,浪江町で受け継がれてきた民話「歯型の栗」を演じていただきました。この後の質疑応答を通して、一被災者からみた被災直後の混乱の様子や,まちの文化を後世に伝えていきたい市民の気持ちを知りました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

参加者の声


3日目(9月12日)
場所:飯坂ホテル聚楽14階 AZUMA

■持ち帰りの時間
このツアー最後の時間では、自分の地域で起こりうる災害について、東日本大震災・福島第一原発事故からの教訓として活かせることを考えました。
自分の大学に戻った後の「参加報告」を想定し作成するワークを設けました。地域別で分かれ、3日間を通して特に周りの組合員に伝えたいことを中心にそれぞれで整理を行いました。

<参加者の声(感想文用紙より)>

参加者の声

参加者の声

次年度の参加者へのメッセージ(感想文記入用紙より)

参加者の声

参加者の声

参加者の声

参加者の声

参加者の声

参加者の声

参加者の声

以上