主催:全国大学生活協同組合連合会 平和と社会的課題委員会
「1000年に一度の災害」と言われた東日本大震災と、それによって生じた福島第一原子力発電所の事故から8年が経過しました。2017年4月1日時点で、帰還困難区域を除いたすべての地域で避難指示が解除されました。しかし、除染や低線量廃棄物の処分もまだまだ途上です。廃炉も政府・東京電力の工程表では目安として40年で完了する計画となっていますが、実際はそれ以上の年月を要するのではないかという推測も多く挙がっています。その他にも、避難者の帰還問題、賠償問題、そして健康被害や農産品の安全性についての風評被害問題など、様々な問題も生じています。そのような諸問題が過去のものでなく現在進行形のものだということを理解し、福島の事故は今もこの先も向き合わなければならない日本社会の大きな課題だということを若い世代を中心により広めていくことが、福島の復興につながります。
普段の生活で原発事故やそれによって生じている問題・課題を思い出すことが少なくなっている今、津波と原子力災害の複合災害を受けた「ふくしま」について正しい情報の理解と共感を広めます。また、被災してもなお地元福島を元気にしようとしている人に焦点を当てます。以上2点を各地での学びにつなげ、「ふくしま」について正しく理解をするきっかけを作るため、ふくしま被災地スタディツアーを開催します。
16会員生協46名(うちブロック参加者10名・連合会参加者2名、生協職員参加2名、教職員1名)、
ツアー事務局4名、コープふくしま2名、石井絹江さん
9/10(火):1日目 JR 東北本線 福島駅発~金谷川駅下車(12:20 発もしくは 13:30 発に乗車ください) |
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13:30 | 福島大学 | S講義棟1回11番教室 受付 |
14:00 | 開会式 福島大学うつくしまふくしま未来支援センター 初澤センター長ご挨拶 |
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14:20 | 1.天野和彦先生14:20~15:10 「東日本大震災・福島におこったこと あのとき避難所は」 2.本多環先生15:20~16:10 「福島の子どもたちから得た『支援知』」 |
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17:00 | ホテル聚楽送迎バス 大学奥の駐車場にて乗車 | |
17:45 | 飯坂ホテル聚楽 | 飯坂ホテル聚楽到着 |
18:30 | 夕食 | |
20:00 | 会議室 | 交流会 ・自己紹介 ・当日の学びの整理・感想交流 |
21:00~ | 終了・各自入浴・就寝 |
9/11(水):2日目 | ||
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飯坂ホテル聚楽 | 各自起床 | |
7:00 | 朝食 | |
9:00 | 集合・出発 | |
9:00 | (時間、立ち寄り先は目安です) | バスツアー(コープふくしま・宍戸副本部長) -浪江町周辺をまわります。 |
12:30頃 | さくらモール | 昼食(各自で) -東京電力廃炉資料館や帰還困難区域を訪問します。 |
15:20 | →出発・飯坂ホテル聚楽に移動 | |
17:00 | 飯坂ホテル聚楽 | 飯坂ホテル聚楽到着 |
17:30 | 講演会:石井農園の石井絹江さん | |
19:00 | 会議室 | 夕食:石井さん、コープふくしま宍戸副本部長と交流 |
20:00 | -当日の学びの整理・感想交流 | |
21:00~ | 終了・各自入浴・就寝 |
9/12(木):3日目 | ||
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飯坂ホテル聚楽 | 各自起床 | |
7:00 | 朝食 | |
8:45 | 集合 ホテル聚楽送迎バス乗車 | |
9:00 | パルセいいざか会議室 | 3日間の振り返りと持ち帰りを考える -地域ごとに交流 -報告会・報告書(伝えたいこと)の計画立て -地域での活動につなげるには?を考えるまとめ・閉会式 |
12:00 | ホテル聚楽送迎バス乗車 | |
福島駅西口 | 解散 |
事前に学習したことや1日目の学びを踏まえ、ツアーを通して特に学び・得たいことを明確にする
初日は福島大学うつくしまふくしま未来支援センターの天野和彦さんと本多環からご講演をいただきました。
最初の天野さんのご講演では“今の”日本の避難所は世界と比較してどうなのか。避難所に移り住むことを人権問題として捉えていく必要がある一方で、日本の避難所は最低限の避難民の命も守ることができないという問題提起もしていただきました。他にも震災当時の福島県についてどんな生活実態があったのかであるとか、上記のような避難所に関する課題や災害に備えることに関しては「想像力」を発揮することで問題解決に繋がっていく可能性がある。避難生活をしているだけではなく、避難所の中での「“交流と”自治“」を活発化することが大事という内容でした。
次の本多さんのご講演では「福島県の子ども」に焦点を当てたご講演でした。東日本大震災の津波被害や原発事故を受けて遠方の地で避難生活を行うことになってしまう人が多い中で、それらの環境の変化によってもたらされてしまう子どもたちの心にどんな変化が起こってしまうのか、それらの変化がどのような原因からもたらされるのか、ということを話していただきました。その中で、大人はどのように子どもと向き合うことが求められるのか、また大人より年齢が近い私たち学生と子どもはどのように向き合っていくことが必要なのかということを講演いただきました。
ご講演をいただいた後の企画の時間では、お2人のご講演を聞いて、どんなことを思ったのかということを班の中で交流し、翌日のバスツアーに向けてツアー事務局で実施した下見の報告を実施しました。企画後に会場を開放をした際には、多くの参加者が交流している場面が見えました。
石井絹江さんのご講演を聞いて、当時の状況、出来事を知り、“自分”に置き換えて考えられるようになる
バスツアーを受けて考えたことについて理解を深める
2日目はコープふくしまからのガイドをもらいつつ、福島県の浜通り地区を見学しました。ツアーの見学の中で、震災当時の津波被害の実態や原発事故からの避難の状態などをガイドの中で、話していただき、バスから見ている風景が当時はどうだったのかということを考えながらツアーに参加しました。バスツアーの中でコープふくしまが実際に現地の畜産業を営んでいたが、原発事故により非難することになってしまった方にインタビューした動画を見て、原発事故により家や地元を追われることがどんな気持ちなのかということ、今もなお続く避難生活がどれだけ苦しいのかということをインタビューを通して学びました。実際に浪江町を歩いた際には、被害を受けた町がどうなっているのかということを見ることができました。
東北電力の廃炉資料館も見学し、震災当時から現在に至るまでの福島第1原子力発電所を中心とした福島県の原子力発電所についての情報が展示されていました。震災からどのような経緯で事故が発生してしまったのかや実際に現地にいた人はどんな装備をしていたのか、事故を教訓に何に活かしていくのかということの現在決まっているものの構想などが展示の中にはありました。
ツアーを終えて、飯坂ホテル聚楽で企画と石井絹江さんのご講演をいただきました。石井絹江さんのご講演の中では、紙芝居を用いて震災当時から事故が起きてから避難するまでの当時石井さんがいた診療所の様子や診療所での出来事などを話していただきました。また、石井農園の中で販売している作物やどんな商品にしているのか、それらの作物にはどんな効能があるのかということも教えていただきました。「なぜこんなにもがんばれるのか」という質問に関しては、「自分が作る商品を通してみんなが元気になってほしい」という石井さんの想いも聞くことができました。企画の中では前述しているツアーを通して参加者が写真に収めたものを見ながら、その写真を通してどんなことを伝えたいと思ったかということをフリップにまとめました。またテーマセッションも実施し、参加者から募集したテーマで参加者同士が交流しました。テーマの中には「ツアーでの学びについて話すテーマ」や「ツアーの学びを受けてどんな行動をしたら良いか」というテーマで交流ができました。
3日間で得たことを地域や自大学周辺の災害支援・防災にどう活かせられるか考えられる
学んだこと・感じたことをまとめ、地域や自大学へ広められる準備をする
3日目は1日目と2日目の学びを受けて、行動に移す時間でした。この時間は自分たちの地域ではどんなことができるのかということを考える時間だったため、大学ごとではなく地域別で実施しましたが、地域の範囲で考えることが難しい地域は大学ごとに考える時間となりました。3種類のワークを行い、ステップを踏んで、自分の地域に学びを広げる準備をしました。1つ目のワークでは参加者同士で「3日間のツアーを通して学んだこと・感じたこと」を交流しました。2つ目のワークでは本ツアーの開催趣旨に沿って、「自分たちの地域(大学)が抱える災害のリスク」と「福島県に対するイメージ」、そして「それらに対してどんな行動を取っているか」というテーマで自分たちの周りの人を想像しながら考えました。3つ目のワークでは実際に伝えるツールを作成しました。ワークの1つ目がツールの中で伝えたい情報として、2つ目のワークがツールを発信し、伝えたい対象ということでワークを進めました。
ツールは未完成だった地域や大学が多いので完成後に集約をします。
ふくしま被災地スタディツアーの3日間を通して参加者に書いてもらった感想文用紙を抜粋して、掲載しております。
○立命館生協 学生
○龍谷大学生協 学生