激甚災害支援・防災

東北復興・再生通信vol.8

「被災地訪問をふり返って」

顔写真

大学生協東北ブロック事務局長
田中 康治

6月 19日、今年も大学生協福島被災地訪問で富岡町と南相馬市を学生らとともに訪問した。南相馬市では震災直後から同市に入り活動を続けている戸田光司さんから話を聞いた。訪問先であった同市の高見公園で、彼は話を聞く参加者たちに「皆さん、一度目を閉じてみて、いま耳に聞こえるものを感じてほしい」と問いかけた。聴こえてくる子どもたちの声、子どもを見守る親たちの声、どこの街でも聴くことが出来る日常が音となって響いた。

南相馬市への大学生協としての訪問は、私が震災当時に専務理事を務めていた福島大学生協で福島大生たちとともに取り組んだ 2012年の活動以来、毎年何らかの形で行ってきている。南相馬市で復興に向け取り組む方々の中では、ニックネーム「軍曹」として知られている戸田さんとはその 2012年の訪問以来のお付き合いである。戸田さんはじめ南相馬市の皆さんが 2012年から取り組んできた子どもたちの遊び場づくり「みんな共和国」への協力も学生たちとともに行ってきたのだが、この間のかかわりを通じて感じ取ってきたことは、みな普段の生活を、日常を取り戻したいと願っている、その思いに対してどのようなかかわりを持つのかが大切だということだ。当時の南相馬市が、非日常に支配されてしまった状況であったからこそ、子どもたちのた
めに一緒に何が出来るか、話し合いのための訪問を重ね、双方の考えを出し合った。現地からは「大変そうだから」という思いだけでは来てほしくない、「自分のためでもある」ということも意識して来てほしいと話をされた。それでないとこういった活動への関わりが長続きしないこともよくわかっていらっしゃってのことだろう。参加した学生たちも南相馬市で失われている子どもたち、親たちの日常とは何なのかを考えることが、これから教師になる者、公務員となる者、そして将来は親となる者として、いまを生きる者としての日常を考えることにつながっていたように思う。

復興支援活動は、当然ながら一方的なかかわりだけでは「支援」とは呼べず、下手をすると「自己満足」の訪問で終わってしまうこともありえる。これまで戸田さんはじめ南相馬の皆さんとは、福島大生協専務理事として、ブロック事務局長として、双方のやりとりに時間を使いながらとりくみを進めてきた。手間はかかるものであるがこの 5 年間でかかわった学生たちの変化、その後も続く学生たちと現地の方々との付き合いが、引き継がれてきた財産ではないかと思う。蛇足ながらもう一言書いておくと、現在自身がかかわっている定期的な被災三県の訪問は、学生が企画の中心となっている岩手大学を除けば年 1 回の訪問が主であり、本文で触れてきたような企画には出来ていないかもしれない。しかし、それは現在のとりくみを否定するものではない。

参加のハードルを上げ過ぎることもよくなく、きっかけづくりというとりくみも大切だからだ。ぜひ被災地訪問の参加者には、その日 1 日だけの学習かもしれないが、これから自身にとっての関わり方があるのか考える場としてほしい。また企画を準備するにあたって関わっていただく皆さんの協力も期待しています。

未来の大学生応援募金バザー in 仙台会館

7月11日(月)恒例の仙台会館バザーが行われました。
未来の大学生応援募企画のバザーも今年で3年目。目玉の採れたて野菜をはじめ、今年はバザー提供品も多く、淹れたてコーヒーとお菓子も楽しんでいただきました。昼の 2時間に66名が参加してくれました。バザーの売り上げは目標をオーバーし、募金額は24,264円となりました。

【東北大学生協の取り組み】
過去から現在、そして未来へ /防災フェスタ

東北大学生協では、方針の一つ「東北大学と相互に協力し、復興支援と防災意識向上をすすめよう!」という防災月間活動に取り組んでいます。1978 年に起きた宮城県沖地震の 6月を防災月間と定めて、震災復興と防災に関するイベントを、学生委員会・教職員院生委員会・留学生委員会の三つの組織委員会と生協職員が協力しながら行っています。

非常食

防災フェスタでは、震災・防災に対する組合員の興味・関心を高めるために、写真による震災に関する展示や、防災冊子『NAMAZU』の配布、防災グッズの実演、防災クイズなどを行い、300 名以上の参加がありました。中でも印象的だったのは、非常食の試食と読書会の POP の展示でした。非常食は何となく不味いという印象でしたが、実際に食べてみると想像以上に美味しく、組合員も驚いた様子で試食していました。

非常食

読書会では、『聞き書き震災体験―東北大学 90 人が語る 3.11』という本を「学びと成長委員会」の中で読み、その感想を組合員に広めるという取り組みでした。このように震災と復興、防災を呼びかけるうえで、本を活用して学ぶというのは大切なことですね!
多くの組合員が「防災」について考える素晴らしいきっかけづくりとなりました。

(東北ブロック事務局 小林雅行)

福島の被災地を訪問しました

6月19日(日)宮城、岩手、山形、福島から11名の学生と職員が参加して「2016 福島被災地訪問」が行われました。朝9時に仙台駅を出発、常磐自動車道で冨岡町へ。冨岡町周辺で国道6号線〜南相馬市小高区(小高駅と周辺)、常磐線太田駅、相馬駅を見学。南相馬高見公園〜鹿島区周辺で鹿島の一本松と富岡町「殉職警察官の碑」を見学しました。小高駅は7月12日常磐線が再開し居住制限区域が解除されています。

「それじゃあまずワークをしようか」と言って、戸田光司さんは 10分間、公園の中を人と話さずに一人で歩いてみることを提案しました。10分経って初めの場所に戻ってきた参加者はひとりひとり感想を話します。すると戸田さんからまた提案。「今から 1 分間この場所で目をつぶってなんでもいいから感じてみよう」。1分間後、目を閉じて感じたことを交流します。こうして、戸田さんのお話が始まりました。

原発事故が起きてから子どもたちを取り巻く環境が一変したこと、外遊びが出来ず避難所でうるさくすると叱られ、子どもたちはどこにも自分を解放できる場所が見つけられないでいたこと、大人も大きなストレスを抱えて生活しなければならなかったこと。そんな悪循環を見て、子どもたちの遊び場「公園」を作ろう・・と立ち上がったメンバーの一人が戸田さんでした。行政の立案ではなく自分たちが作りたい公園、それを提案し、広く賛同の寄付を呼びかけ、多くの企業が後押ししました。

震災から 2 年後の夏、公園は完成します。南相馬市高見公園と「じゃぶじゃぶ池」。設置団体「みんな共和国」、管理は南相馬市。訪問した日が日曜日だったこともあり、公園の中はたくさんの親子連れで賑わっていました。遊具の中には「健康遊具」というものも備えられています。公園の目の前は仮設住宅。そこに暮らす高齢の方や身体を動かしたい大人たちが、公園で無理なく運動することが出来る遊具です。さまざまな工夫をこらし、住民の憩いの場となった高見公園。原発事故を受けとめ、みんなが少しでも明るく生活できる知恵と工夫を出し合おうという想いが形になった高見公園。

戸田さんのお話は「やってみようと思うことが見つかったら、実際に動き出そう。道はきっと開けるから」と励ましに満ちていました。今回の訪問で被災地の深刻な状況を見学してきた参加者たちに、この南相馬市高見公園で見た子供たちの元気な姿は、笑顔につながる明るい光景と映ったようです。今年の福島被災地訪問は、少人数であったことでより深く、参加者が被災地と向き合えた、そんな訪問になったようです。

昨日までは立ち入り禁止だった浪江駅前。
倒壊した商店はまだ手付かずの状態

富岡町で住民の避難誘導をしていて津波にのまれ殉職された警察官2名の墓碑。
乗っていたパトカーも保存されていました

「未来の大学生応援募金」
2016年 2月〜7月まで寄せられた募金

  • 山形大生協 4,752円
  • 岩手大生協 122,326円
  • 東北学院大生協 216,610円
  • 盛岡大生協 27,624円
  • 弘前大生協 98,382円
  • 福島大生協 114,846円
  • 九州大学生協 14,007円
  • 三重大学生協 15,000円
  • 秋田大生協 9,034円
  • 九州西日本新聞社(アップルケーキ)7,636円
  • みやぎインカレ 6,000円
  • 東北事業連合 8,510円
  • 滋賀大彦根 1,409円
  • 神戸市立工業生協 6,005円
  • 仙台会館バザー24,264円
  • 復興そば 11,069 円 他

◆2016年 7月末日募金総額 1,324,848円

未来の大学生応援募金の目的

① 被災影響の大きい高校(後援会)に大学生活ガイドブックとともに「義援金」として送ります。

② 被災地での「学習支援ボランティア」(東北ブロック主催)の費用に充てます。
 ※岩手県、宮城県、福島県を対象とします

「未来の大学生応援募金」の 振込先は、次の口座にお願いします。
七十七銀行 店コード 100( 普 ) 口座番号 7983492
未来の大学生応援募金 代表 戸田俊浩

この募金についてのお問合せは…電話 022-717-4866(大学生協東北ブロック 事務局長 田中康治)

これからの主な活動

被災地訪問バスツアー

  • 10月16日(日)「いわて被災地訪問」(訪問先検討中)
  • 11月6日(日)「みやぎ被災地訪問」石巻方面(予定)

がんばろう東北!

全国大学生活協同組合連合会 
大学生協東北ブロック

仙台市青葉区柏木1丁目1-41 大学生協仙台会館
電話 022-717-4866 Fax 022-717-4851