あなたの個人情報で無料サービスを買う時代

全国大学生協連院生委員会  2018.09.05 Vol. 08

タダほど怖いものはない

徳島大学大学院科学機能創生コースM2のとーごー「タダほど怖いものはない」

 世の中にはそんなに美味しい話はなく、最終的に代償を払わされることの警句です。しかし、現代社会には無料(タダ)のサービスが溢れています。十年前は非常に高価であったOfficeソフトは、今やインターネット環境さえあれば無料で利用できます。

 無料サービスがあふれる現代において、なぜ無料で利用できるのかを考える人は少ないのではないでしょうか。本記事のタイトルを踏まえると、こうした無料サービスに対しても何らかの代償を払っていることになります。では、一体どんな代償なのか、今一度考えてみましょう。

 正解を述べましょう。「あなたの個人情報」です。さらに言えば、あなただけの情報でなく、あなたの交友関係を含めた情報です。無料のメールサービスは、個人情報の宝庫です。もちろん、こうした個人情報が直接取引されているわけではありません(そう願いたい)。無料サービスを展開する企業は、こうした情報を適切な広告の表示や検索候補の高度化に利用し、広告を出したい人から収益を得ています。

 また昨今、スマートスピーカーが普及し始めています。手が塞がっていても声でタイマーをセットしたり、部屋の照明も制御できます。素晴らしい技術である反面、生活する上で発生するすべての会話(物音も含め)をスマートスピーカーに聞かせていることを意味します。人は、紙に個人情報を書くと残り続けると認識する一方で、声に載った個人情報は近くにいない限り聞けないし、残らないという認識の人が多いはずです。実際そうですが、スマートスピーカーがあれば、声に発した氏名、電話番号、住所といった情報は個人情報として残る可能性があります(実際は、保存されていないが、保存できる機器と性能はそろっている)。

 高機能・高性能デバイスが普及している現代に生きる上で身に着けておくべき知識は確実に増えてきています。

発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会 院生委員長 小澤将也