奨学金の返済が社会に出てから重荷になる。

全国大学生協連院生委員会  2019.03.27 Vol. 14

<奨学金特集②>奨学金が夢を与え、奨学金が夢を奪う。

徳島大学大学院科学機能創生コースM2のとーごーです。

前号に引き続き、奨学金がテーマです。今回は、奨学金という仕組みのもう一つの側面を見ていきます。

毎年2~3月になると奨学金の申請や授業料免除の申込書を持って、友人と一緒に書き方を確認している学生が、極少数に限られずに、割と当たり前に見受けられます。そして、これらの申請について回るのが成績です。成績に応じて授業料が半額免除か全額免除かに分かれます。[1]。また奨学金も同様で、成績について基準が設けられています。成績によってそういった差が設けられるのは当然であり、理解できます。しかし、実態にそぐわない面もあるように思われます。というのは、返済のためのアルバイトと成績上位のキープを強いる仕組みになっているように見えるからです。

以下では、奨学金に絞って話を展開したいと思います。奨学金といえば聞こえはいいかもしれませんが、日本学生支援機構の奨学金は、立派な借金です。卒業時点で負債を抱えて社会に出る事が、どれほどに大きなデメリットとなるかをしっかりと考えなければならないでしょう。また、無利子の奨学金は、借りた分だけを返せばいい仕組みですが、それは地道に返済を進めることができた場合の話です。滞納すれば滞納した分だけ返済額が膨らんでいきます。滞納4か月目からはブラックリストに載ってしまい、クレジットカードの審査などに大きな支障が出ます。現金決済が主流の日本とはいえ、キャッシュレス決済・クレジット決済の流れは、確実に迫っています。そんな社会の中で、ある種のハンデを背負わせかねない仕組みが、今の奨学金なのではないでしょうか。

返済義務のある奨学金を中心とした制度設計は、根本的な問題を何ら解決することのない仕組みに思えてしまいます。経済事情に左右されずに学業を支えるシステムが、社会レベルで設けられるべきではないでしょうか。

[1]成績や所得などの条件は、大学によって異なります。

発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会 院生委員長 小金澤光