全国大学生協連院生委員会 2020.03.04 Vol. 30
奈良女子大学でジェンダー法学の研究室に所属している、M1の「かーりん」です。今回は、私の研究分野であるジェンダーについての話をしたいと思います。
ジェンダーとは、社会的・文化的に形成された性別のことです。みなさんは「女は化粧をして美しくあるべきだ」「男が働いて家族を食べさせるのが普通」などと言ったり言われたりしたことはありませんか?このような性別に基づく偏見をジェンダーバイアスといいます。
突然ですが、世界からみて日本は性差別のない、あるいは少ない国だと思いますか?教育・健康・政治・経済の4分野における男女間の格差を測るジェンダーギャップ指数(2019年)によると、日本は149カ国中121位で,なんと先進国のなかでは圧倒的に最下位!特に管理職労働者数の男女差(131位)や国会議員の男女比(135位)のような、意思決定の場での女性比率の低さが目立っています。先進国というと、経済的な成長にスポットライトが当たりがちですが、日本はジェンダーの観点からみれば、もはや後進国となってしまっているのです。
先ほど述べたジェンダーバイアスは、慣習やマナーとして、そして法や社会システムにまで反映され(ときに強化され)ています。例えば男性が外で働き賃金を得て、女性が家事育児などの無賃金労働に従事することが前提とされた“家族法”などがあります。ゆえに、人々の間で無意識に内面化され、世代を超えて差別構造が再生産されてしまうのです。ジェンダーバイアスに気づかないということは、無意識のうちに差別を温存しているとも言えるでしょう。
私たちにできること、それは“常識”を問い直すことだと思います。まずは「女って〇〇だよね」「男なら〇〇でしょ」と性別で括る語りをやめてみることが、ジェンダーバイアスについて考えるきっかけになるかもしれません。
大学生協連/私たちは持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています
・ 三成美保・笹沼明子・立石直子・谷田川知恵『ジェンダー法学入門(第2版)』法律文化社 2015年
・ 川口章『日本のジェンダーを考える(第2版)』有斐閣選書 2015年
日本経済新聞「男女平等指数、日本は過去最低の121位 政治参画遅れ」2019年12月17日(2019年12月17日閲覧)
ハフポスト「男女平等はまた後退 ジェンダーギャップ指数2019で日本は過去最低を更新し121位、G7最低」2019年12月17日(2019年12月17日閲覧)
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