「11,263人の科学者が示す気候の変動の危機」

全国大学生協連院生委員会  2020.04.15 Vol. 36

「エネルギー利用」だけじゃない気候変動

北海道大学大学院農学院M1の「たくちゃん」です。専門の土壌学を切り口に、作物安定生産と環境保全を両立できる持続可能な農業を研究テーマとしています。

さて、第1回世界気候会議(World Climate Conference)がスイス・ジュネーブで開催されて40年が経ちました。世界50の国の科学者によって地球温暖化について初めて国際的に討議されたとされ、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の創設(1988)、リオ・サミット(1992)、京都議定書(1997)、パリ協定(2015)にもつながる会議です。そして2019年11月、世界153か国・11,263人の科学者が共著にて一本の論文(https://doi.org/10.1093/biosci/biz088)を発表しました。

論文では、1) 40年前から気候変動は科学的に指摘されており、その要因はデータ指標により示され続けていること 2) 依然として温室効果ガス排出は増加しており、これまで以上に対策が必要となっていると言わざるを得ないこと 3) 抜本的な変革に向けて6つの施策が考えられることが主に述べられています。”地球温暖化を防ぐためにはエネルギー利用を見直すべき”といわれますが、決してエネルギー利用の見直しだけでは解決できないことが明示されている一方、実現可能性を考慮しながら、私たちの社会の形を変えるかもしれない提案がされています。

エネルギー利用の見直しだけでは気候変動の問題は解決しないということが論文では述べられています。しかしながら解決方法だけでなく、解決していく社会がどのようなものであるべきか、そのような社会に生きていくかもしれないからこそ考えたいですね。

1)Short-Lived Climate Pollutants(短寿命気候汚染物質):今後数十年という比較的近い未来において地球温暖化を抑制するために、排出の抑制が着目されている化学物質の総称。大気汚染だけでなく、人間の健康や農業・生態系にも影響を与え、現在までにメタン、オゾン、すす、ハイドロフルオロカーボンなどが特定されている。

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発行元

全国大学生協連 院生委員会

次号の発行は未定です。第5弾もお楽しみに!