「レジ袋有料化」と生活スタイル

全国大学生協連院生委員会  2020.08.19 Vol. 37

キーワードは"価値観の転換”

北海道大学大学院農学院M2の「たくちゃん」です。気候変動に適応し、作物安定生産と環境保全を両立する持続可能な農業を研究テーマとしています。

2020年7月1日から、プラスチック製買物袋の有料化が全国ではじまりました[1]。大学生協でもレジ袋を有料化した店舗が増えましたね。これまで無償提供が主流であったレジ袋が、各事業者が定める金額によって(全国一律ではない!)有料で提供されることの向こう側には、持続可能な社会を実現していくための次のような狙いがあります。

  • 資源循環型社会の形成推進
  • 海洋プラスチックごみ・地球温暖化問題等への行動推進

プラスチック資源利用の議論は、日本に限定しても1995年の容器包装リサイクル法制定をはじめとし、新たな議論ではありません。一方、今回の有料化では、資源の有効利用だけでなく、生活の利便性を考慮した“例外”が存在します。

◆有料化制度の対象外となるプラスチック製買物袋の条件

  • >プラスチックのフィルムの厚さが50µm以上
  • >海洋生分解性プラスチックの配合率が100%
  • >バイオマス素材の配合率が25%以上

今回の例外は「利用していい資源と利用が推奨されない資源」という考え方が出てきたとも言えるかもしれません。しかしながら、大切にしたいことは、特定の資源の利用が「よいか悪いか」ではなく、日々の利用は「本当に必要であるか」「代替の手段はないか」という考え方ではないでしょうか。例えば、必要最低限の利用は容認しつつも、利便性だけを追い求めることでの過度な利用こそ抑制するといった具合です。

「何を当たり前のこととするか」という一人ひとりの価値観が社会ルール・マナーの多くをつくっています。レジ袋有料化も「レジ袋利用を抑制すれば環境保全につながる」でとどまらず、価値観の違いを交流し、これからつくっていきたい社会の姿を考えあうきっかけになることを期待します。

SDGs SDGs

大学生協は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

参考文献

[1]容器包装リサイクル法(平成七年法律第百十二号)の省令改正(令和元年財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省 令第四号, 令和元年12月27日)が令和二年7月1日から施行される。
※有料化に向けては経済産業省HP・ガイドラインが参考になります。

 https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会

次号の発行は8月26日です。Vol.18の続編となる「どう変わった?マイクロプラスチック問題」をお届けします!