宇宙利用と宇宙環境問題

全国大学生協連院生委員会  2020.09.23 Vol. 42

地球だけではない「環境問題」

富山県立大学大学院工学研究科情報システム工学専攻の松山です。宇宙で起こるある特異な現象を解明するための研究をしています。その中で、宇宙環境問題(宇宙ゴミ問題)が深刻な状況であることを知り、興味を持ったため紹介します。

近年、多くの人工衛星や観測ロケットが打ち上げられたり国際宇宙ステーション(ISS)で実験や研究が行われたりと宇宙探査・開発・利用が進んでいます。例えば、スマートフォンやカーナビゲーションシステムなどでも活用されているGPS。これは衛星測位システムといい、複数の人工衛星からの信号によって位置情報を計算するシステムです。初めて行く場所に行くとき、地図アプリを使用する人は多いと思います。また、出かける前に天気予報を見る人も多いと思います。これらの日常で使っているサービスは衛星なしでは成りえません。

しかし、これらの衛星の打ち上げに使用されたロケットや運用を終えた衛星はどうなるのでしょうか。これらは宇宙ゴミ(スペースデブリ)となります。宇宙では、ある一定の速度を持った物体は地球の重力と重力から逃げ出そうとする遠心力とが釣り合い、宇宙に残り続け、地球の周りを回り続けます。つまり、運用中の人工衛星等と同じようにたくさんのゴミも地球の周りを回り続けているのです。また、デブリ同士の衝突によってさらに小さなデブリが増えます。デブリは超高速で飛翔し、わずか数㎝のデブリでも人工衛星などの宇宙機に衝突すれば破壊されます。運用中の人工衛星に衝突した場合、「GPSを利用して正確な現在地を知る」「外出前に天気予報を見る」等普段通りの便利な生活を送れなくなるかもしれません。

このような問題があることはまだまだ知られていません。地球の周りがゴミだらけになってしまった原因は私たち人間です。だからこそ、宇宙ゴミ問題を認識・理解することが大切です。

SDGs SDGs

大学生協は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています

【参考文献】

JAXA『スペースデブリ問題の解決に向けて』
 http://www.jaxa.jp/projects/feature/debris/
index_j.html

発行元

全国大学生協連合会 全国院生委員会

次号の発行は9月30日です。「『生きる力』と私たちの将来」をお届けします!