全国大学生協連院生委員会 2021.11.03 Vol. 52
こんにちは。京都大学理学研究科で物理学(原子核物理)を専攻しているKJです。不安定な原子核をビームとして取り出すための装置の研究をしています。今回は原発関連で話題に上がるテーマ、放射線は危険なのかというお話です。
放射線を浴びると、健康に悪影響が出るというのは多くの人が聞いたことがあるかと思います。しかし、放射線自体は実は日常的に浴びているものです。地面や海水にも、そこからとれる食物にも放射線を出す物質は含まれます。何もせずとも宇宙からの放射線を常に浴びている状態です。
ここで問題になるのはその「量」です。ベクレルやシーベルトといった単位は聞いたことがあるでしょうか?
・ベクレル(Bq):放射性物質が放射線を出す能力
・シーベルト(Sv):放射線の「人体」への影響
放射線は目に見えないので、専用の機械で測るこのような数値だけがリスクを教えてくれます。特にSvという単位は、人体への影響を表すので、健康への影響を考えるには分かりやすい指標です。短期間に100mSv以上の放射線を浴びると、健康への悪影響が出る確率が上がると言われています。
そのため、原子力や放射線を取り扱う施設などでは、これらの数字が十分小さくなるよう厳しく管理されています。
原発事故を受けて「放射線は危ないもの」という考えを持つ人も多いかと思います。しかし放射線は、工業製品の加工技術への応用や農作物の品種改良、医療における放射線治療など、うまく使えば有用な面もあります。ちょっとでも知識があれば、リスクの捉え方は変わります!
参考:関西電力HP「原子力発電について放射線と放射能」https://www.kepco.co.jp/energy_supply/
energy/nuclear_power/houshasen/index.html
大学生協は持続可能な開発目標(SDGs)を支援しています
全国大学生協連合会 全国院生委員会